ステキなおじ様物語「職場で出会ったすてきなジェントルマン」: 大人男子情報局　ダンディーライオン

2024年02月27日

ステキなおじ様物語「職場で出会ったすてきなジェントルマン」

素敵なおじさまの必須アイテム：香水

ニックネーム：ゆり子

年齢：４５歳
　　　
爽やかな香り
私が、まだ２０代の後半だった頃に、すてきな男性がいました。
年齢は、４０代後半で奥さまと娘さんがいる人でした。

その男性はとてもジェントルマンな人で、私は密かに憧れの気持ちを抱いていました。

Ｆ谷さんという人で、外見は中肉中背で、とても爽やかな笑顔をした人でした。
側にいくと、フワッと柑橘系の香りがして、いわゆる中年男性が使うような、香りのきついものではなく、優しい香りでした。

そして、いつも穏やかな口調で、年下の私にも丁寧な言葉で話しかけてくれました。
髭反りの跡なども見えず、スーツもいつもパリッとしていて、とても清潔感がある人で、時々、うっとりと見惚れることもありました。

そして、その清潔感を感じさせてくれたのが、あの爽やかな香水の香りだったと思います。
すれ違ったときに、ほのかに香ってきて、他の中年男性とは違った印象になりました。

気遣い

Ｆ谷さんのことを素敵だなって思ったのは、その気遣いです。
私たちのチームが残業で遅くなった時のことです。帰ろうとすると、Ｆ谷さんが来て、全員分のハンバーガーとコーヒーを買ってきてくれました。

たまたま近くを通っただけだからと言って、笑顔で皆の輪の中に入り、仕事の進み具合や悩みごとを聞いてくれたんです。

Ｆ谷さんの穏やかな口調は、とても安心感があって、皆、不安なことや困ったことがあったら、F谷さんに相談していました。

私も、仕事で大きなミスをしてしまい、もしかしたら自分にはこの仕事が向いていないのではないか。

もしかしたら、別の仕事を選んだ方がいいのではないかと不安な気持ちをＦ谷さんに聞いてもらいました。

Ｆ谷さんは、黙って私の話を聞いた後に、私の考えを否定しました。

「仕事でミスをすることはたくさんあります。私だってあるんです。

でも、その失敗はあなたが成長するための大切なステップに繋がります。大丈夫。皆、同じなんです」
心がスッと軽くなるようでした。

皆、自分と同じような経験をしてきたんだと思うと、不思議に悩んでいた自分がちっぽけに感じたんです。
それから、ミスをしないように努力をするようになりました。

Ｆ谷さんは、誰に対しても優しい人でした。女子社員のなかでも人気が高くて、バレンタインの日にはチョコレートがたくさん入った紙袋がF谷さんの机の上には置かれていて、その人気っぷりはすごかったです。

Ｆ谷さんが声を荒げたところなんて、１度も見たことはありませんでした。いつもニコニコと穏やかで、安心感を感じる人でした。

話しかけられる度にドキドキしている自分は、まるで女子高生みたいでなんだかとても恥ずかしかったです。

家族想い
そして、とても家族を大切にしているところもF谷さんの素敵なところでした。

実は、彼がいつもつけている香水は、奥さまからのプレゼントだったのです。結婚記念日に必ずくれるんだと、嬉しそうに話していました。

毎日愛妻弁当を持ってきていて、食後には必ず容器を軽く洗っていくのです。

どうしてか理由を聞いてみたら、この方が妻の負担が軽くなるからだと言っていて、そこがまたすてきでした。

でも、奥さまを大切にしている姿に、ときには切なくなることもありました。

現在、Ｆ谷さんは定年を迎え、奥さまや娘さんと暮らしています。

そして、私はこの年齢になっても、困ったことがあると、ついついＦ谷さんに相談してしまうのです。

やはり、今も穏やかな笑顔で私の話を聞いてくれます。そして、今もやはりあの香水の香りがしているのです。

こんなジェントルマンなすてきな人と出会えて、本当に良かったと思っています。"