2020年09月10日
薬剤師資格なし・未経験でもMRに転職できるの?
MRとは、Medical Representatives(メディカル・レプレゼンテイティブ)の略で、日本語に訳すと「医薬情報担当者」です。
2020年7月〜のTBS系火曜ドラマ「私の家政夫ナギサさん」でMRという仕事を知った、なんとなくイメージがわいた、という方もいらっしゃるかも知れませんね(私も楽しく見ていました♪)
多くは製薬会社に所属し、自社製品(医薬品)がどのような病気にどの程度の効果を持つのか、副作用はないか、どれくらいの量を投与すべきか、他の薬との併用は可能か…といった情報を医師や薬剤師に提供し、製品の普及・売上アップに貢献する役割を果たします。
MRは、医師をはじめとする医療従事者に対し医薬品の情報提供を行う、製薬企業における営業職と呼べる職種です。
「業界が安定している」「年収が高い」といった理由から、他業界からMRへの転職を目指す人も多くいますが、実際に転職は可能なのでしょうか?
結論から申し上げますと、薬剤師やMRの資格なし・MR未経験の方のMRへの転職は可能です。
ただ、どうしても即戦力を求めている企業が多いため、武田薬品や第一三共、ファイザー、ノバルティスといった大手製薬メーカーは「MR資格保有者」を応募条件に挙げることも多いのも事実。
しかし、MRを目指すのを諦めることはありません!
ここでは、未経験でもMRに転職できる人の条件や、MRに転職した場合のメリットをお伝えしていきます。
【資格なし・未経験でもMRに転職できる】
「情報提供する相手が医師や薬剤師」という点から、医学部・薬学部出身でないと務まらないのでは…と不安に思うかもしれませんが、そんなことはありません。
なぜなら、MRとして転職した場合、ほとんどすべての企業が「MR認定資格」の取得を義務としているからです。
資格試験に向けた学習を通し、MRにとって必要な医薬品の知識を身につけることができるため、経験や知識がないことを不安に思う必要はありません。
もちろん理系出身者であれば歓迎されますが、MRは元々文系出身者がかなり多くの割合を占める職種。「2016年版MR白書」(MR読売センター)によると、MRの半数以上は文系出身者です。
【MRの勤務先】
大きく3つに分けられます。
■ 新薬メーカー
■ 後発医薬品(ジェネリック医薬品)を製造・販売しているジェネリックメーカー
■ これらメーカーから販売業務を受託しているCSO(医薬品販売業務受託機関)
です。
【職場の特徴】
※未経験でも採用の可能性が高い順に並べています。
■CSO
CSOに所属するMRは「コントラクトMR」と呼ばれ、CSOと正社員契約を結んでいます。
コントラクトMRはCSOから各メーカーへと派遣され、担当プロジェクトが終わるまで派遣されたメーカーで勤務します。1つのプロジェクトの期間は大体2〜3年です。
担当プロジェクトごとに職場と担当製品が変わるため、さまざまな疾患領域・製品に対する知識・経験を身につけることができます。また、CSOには教育研修制度が整っている企業が多く、未経験の人がMRとしての第一歩を踏み出すにはうってつけ。年収は大体500万円からスタートします。
■ジェネリックメーカー
後発医薬品(ジェネリック医薬品)とは「先発医薬品と同じ有効成分で効能・効果、用法・用量が原則同一であり、先発医薬品に比べて低価格な医薬品」のこと。
これら医薬品の情報提供を行うのがジェネリックメーカーのMRです。既知の効能・効果を持つ薬を取り扱うため、新薬のメーカーほど深い情報は求められません。中途採用のハードルも新薬メーカーより低く、未経験の方にとってはチャレンジしやすいと言えます。
ジェネリック医薬品メーカーの給料は新薬メーカーほど高くはありません。20代半ばでおよそ450万円ほど。
もちろん企業によってはこれ以上出るところもあります。新薬メーカーほど高くないとはいえ、他業界から見ると十分高い水準と言えるでしょう。
■新薬メーカー
新薬メーカーとは、新薬の開発・製造・販売を行う医薬品メーカー。薬・疾患領域に対する知識を深く身につけ、担当領域のプロフェッショナルとなることができます。
年収も高く、30代で1000万円超えも珍しくありません。
しかし、未経験から新薬メーカーのMRを目指すのはかなり難しいのが現状です。そもそも未経験OKの求人が少なく、かつ、募集があったとしても多くの希望者が集まるため、倍率も非常に高いのです。
まずはコントラクトMRになり、MRとしての知識や経験を身につけてから新薬メーカーに挑戦する…というキャリアプランを立てる未経験MRの方も少なくありません。
【MRの5つの特徴】
1、高収入が狙える
MRの年収は、他業界と比べても高い部類に入ります。
未経験からの転職の場合、初年度の年収は450〜550万円程度。これにプラスして営業日当(外勤手当)が支給されるケースも多いようです。
営業日当は1日あたり2,000〜3,000円が相場です。
また、若手〜中堅層で600〜800万円、管理職になると1000万円を超える企業も。他業界に比べ給与水準は全体的に高いと言えるでしょう。
さらに、大手製薬メーカーであれば、家賃の8割を会社が負担するなど住宅補助が充実している場合もあります。
2、景気に左右されにくい
製薬業界は景気に左右されにくい業界として知られています。
病気の治療は生きていくうえで欠かすことはできず、景気の良し悪しとは関係ありません。むしろ、高齢化の進展に伴い、医療や医薬品に対する需要は今後も高まっていく見通しです。
治療法が確立していない疾患も多く、新しい薬の開発が求められています。
3、高い専門知識が身につく
MRは、医師のニーズをくみ取り、必要な情報をまとめて提供するのが仕事です。
例えば、医師が薬の使い方に悩んでいる場合には、患者の症状や疾患の原因を踏まえた適切な情報提供を行う必要があり、それには医薬品や疾患に関する深い専門知識が不可欠です。
1人のMRが担当する領域や製品数は企業によって異なりますが、高度な専門知識が求められるのはどの企業でも変わりません。
4、社会貢献度の高い仕事ができる
MRの仕事は、医師を通して患者の命に関わる非常に重要な仕事です。
「自分が提案した薬で患者さんが良くなったと聞いて、とても嬉しかった」「より良い薬を提案することで、社会に貢献できていると感じる」など、社会貢献度の高さが仕事の魅力と語る現役MRは多くいます。
「やりがいある仕事をしたい」「人に感謝される仕事をしたい」…そんなあなたにはMRという仕事がピッタリかもしれません。
5、価格交渉がない
MRは一種の営業職ではありますが、医薬品の価格交渉をすることはありません。価格交渉・販売、納品業務は、「MS」と呼ばれる医薬品卸売業者の営業担当者が行います。
MRは、純粋に情報提供・情報収集するのが仕事ですから、自身の知識やスキルをフルに活かした仕事が可能です。
「価格だけで判断される製品を扱う営業に、やりがいを感じられない」「顧客への提案力をもっと高めたい」といった方には魅力的な仕事と言えるでしょう。
医療費が年々増加していく中、まだまだ製薬企業は大きく市場規模を拡大させています。
人材は常に必要とされているので、我こそは!と強い気持ちがある方は、ぜひ正しい情報を得た上でチャンスを最大限に生かしていただければと思います。
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