2018年03月15日
「学校であった怖い話」から見る恐怖−学校であった怖い話(SFC)
かつて「スーパーファミコン」ソフトに「学校であった怖い話」というゲームがあった。
当時は「かまいたちの夜」などの所謂「サウンドノベル」(商標の関係で、以下ノベルゲーとする)の知名度が格段に上がったので、これもノベルゲーとして発売された。尚シナリオの方は「別の意味での伝説」も打ち出したので、いつかこちらで紹介できたらと思っている。
このゲームは「マルチエンディング」を採用していて、何番目の誰の話、という、一人当たり七つの怖い話を聞ける。勿論一人一人に話を聞くというコンセプトなので、最低7周する必要があるわけだ。さらにいうと特定のストーリーで特定のキャラに話を聞かないと発生しないストーリーもあるので、こだわりだしたらきりがない。
更にその話ごとの選択肢でもオチやバッドエンディングが変わっていくので、かなり長いこと遊んでいられるシステムとなっている。
尚この学校であった怖い話(以下学怖)には「PS版」、「アパシー」といった派生作品が多くある。この文章はスーパーファミコン版に準じていることをご了承頂きたい。
ではここでキャラクターの紹介が必要だろう。リンク先に詳しい性格等は書き出されているので是非一度は覗いてみると、面白さが増すだろう。
主人公・坂上修一 主人公で聞き手。新聞部の一年生で、参加者は福沢以外先輩に当たる。
新堂誠・ある意味最もスタンダートな物語を聞かせてくれる。
荒井昭二・映画や花の様な学校の話がメイン、物静かで繊細な物語が多い
細田友晴・トイレのエキスパート(公式)、全体のクォリティが高くあなどれない怖さを持つ。
風間望・人をおちょくっている話が多いが、選択肢によっては……
岩下明美・人の弱みにつけ込んだ怖い話が多く、気分を害することも
福沢玲子・日常にある怖い話で、都市伝説が多い
……おわかりいただけただろうか。
そう、語り手として登場するキャラは全部で六名しかいないのだ。つまり一話から六話は各キャラから話を聞くのだが、七話目は……。
この七話目がネックで、基本六話目のキャラクターが話して(?)くれるのだが、全く怖くない人もいれば、最強に怖い人もいるのだ。
個人的に好きな七話目は二人。荒井と新堂の話である。双方とも怖いの方向性が微妙に違う為、被らないで楽しめること、物語の完成度が非常に高いことが相まって、人気の七話目ともいえるだろう。
概要は物語詳細のリンクが二軒ともあったので、こちらに貼っておくことにする。。終わり方や話の行方は是非プレイするか、「学校であった怖い話テキストサイト」でさわってみてほしい。怖い話が好きな人はきっと気にいるだろう。
新堂 七話目 荒井 七話目
さて、「「学校であった怖い話」から見る恐怖」である。元々このゲームは、幽霊などより人間が一番怖い、というコンセプトも含んでいる物語である。このコンセプトは新堂の七話目から伺えるだろう。怖い話を銘打っているので様々な形の怖い話を集めている、その傾向をざっくりとした分け方をしてみた。
・人間の性(さが)の恐ろしさ→新堂・岩下
・人間の中でも、特に人間性の恐ろしさ→風間・福沢
・心霊的な怖さ→荒井・風間
大体のカテゴリはこうなっている。最終的に人間の恐ろしさ=元人間である幽霊の恐ろしさ=人間が生み出す化物の残虐性という三角形が出来るようになっている。
さて、恐怖とは自身が理解できない部分と共鳴することで生まれる。心霊の恐怖は見たことが無いものへの妄想、人間性の恐ろしさは自分に降りかかる可能性のある人間への妄想。だが人間の性は自身にも持ち合わせているのだから恐怖はないのではないだろうか?
実はこのゲームでの人間性の恐怖は、物語だけから見られる内容ではない。語り部である新堂と岩下の人間性なのである。
実際にゲームをプレイする、もしくはテキストを読んだ事があるならわかるだろう。彼らはこちらの心に絡みついてくるのだ。最も新堂がその実力を発揮するのは、七話目と隠しシナリオなのだが……。この恐怖は他の四人のものとは異なり、実際に心臓を掴まれた様な息苦しさを感じる。この二人に限定したら、きっと物理的な危険を感じるだろう。
新堂と岩下をメインとしておいてはいるが、全員にそういった要素がある部分が最も恐ろしいポイントになっている。恐ろしいのは人間かも知れない、しかし一番恐ろしいのは、この六人のような人間が存在する事なのだ。
めっちゃ名曲が多いのも重要ポイント。
(ニコニコ動画より転載)
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