2017年09月08日
雑感 〜続・入浴介助「スピードと安全性と負担軽減」〜
読者の皆様、こんばんは。
朝・夕は「雲助」として利用者の送迎。
日中は「三助」として「入浴介助」な毎日です。
リコー CX1
何処の介護現場でも「人員不足」は深刻です。
そんな中、「入浴介助」。
高齢者介護施設においては、法令でも利用者に対して週2回の「入浴」または「清拭」が義務付けられています。
今年に入り、約150回程度、入浴介助に携わって、様々な技法を身に付けてきました。
約150回中、半数以上が所謂、「ワンオペ」での「洗い番(利用者の洗髪・洗身・浴槽の出入りの介助)」でしたが、「続きを読む」で公開する「入浴の心得」を実行して、極度な疲労や腰痛といった症状も今のところありません。
他の職員よりも安全かつ、スピーディーに入浴介助をこなすことができ、若手の介護職員や看護師、機能訓練の職員などからも、わりと評判が悪くないようです。
所謂「一般浴」の場合は、1時間に平均12〜15名、「特浴(ハーバード浴・臥床式)」の場合は1時間に平均7〜8名の利用者を「ワンオペ」で入れることができています。
さて、その内容は…。
・〜は実際に行う介助の内容と技術。
※〜はエビデンス(根拠)・理由・留意点・補足など。
脱がせ・着せ編
・脱がす際には上衣と下着(上)は一気に、頭を先に通す。
※利用者に麻痺や拘縮がある場合は、患側(悪い方)の上肢から脱がす。
・上衣や下着(上)は袖口から引っ張り脱がす。
※表皮剥離や擦過傷の予防のため。
・靴と靴下も片方ずつ、一気に脱がす。
※一回ずつ下肢を持ち上げれば済み、スピーディーで介助者の負担が少ない。
・車椅子上で下衣を脱がす際には、片方ずつ臀部を持ち上げて下衣を脱がす。
その際、オムツのテープ部分やリハパンを持つと良い。
※臀部と車椅子の間に少しでも空間ができれば、片方ずつ脱がすことができる。
・オムツはテープを外し確実に固定、リハパンは脇をちぎっておく。
※上記に加えて、陰部の下の方に押し込んでおく。
・上記状態により、シャワーチェアへの移乗の際に、オムツが勝手に落ちる。
※一人で移乗できるので、他の介助者を呼ばずに済み、スピードアップ。
・身体の水滴を拭く際には、擦らず、押さえるようにして行う。
※表皮剥離・擦過傷の予防。バスタオルの吸水性を活用。
・利用者に着せる順番はオムツ類 → 靴下 → 下衣 → 下着(上)→ 上衣。
※靴下を先に履かせることで、下衣との摩擦を軽減する。
上衣や下着(上)が前開きでなく「かぶり」の場合は車椅子に移乗してから着せる。
・ドライヤーは一度、髪をとかした後、壁際で行う。
※髪をとかすことで、髪同士の密着をほぐし、乾かしやすい状態にする。
壁から温風が反射するため乾くのが早い。
・ハーバード浴(特浴・臥床式)ストレッチャーからベッドへの移乗は「お姫様抱っこ」が意外と楽(特に身体の緊張が強い利用者)。
※介助者の力、利用者の状態など安全に配慮する必要があるが、他の介助者を呼ぶ必要がないため、スピードアップ。
洗い編
・洗う順番は頭部 → 背部 → 胸部・腹部 → 下肢 → 陰部 → 臀部。
※汚れている蓋然性が高い部分を後回しにすることで、タオル一枚で洗い終えることができる。
真菌(水虫)などの感染症によっては、洗う順番を適宜、変更して対応する。
・座っていられる利用者と自立度が高い利用者の組み合わせなら、二人同時に洗うことができる。
※利用者を連れてくる順番や組み合わせに配慮する。
・頭を洗う際には左右交互にお湯をかけ、かけている側の耳を押さえる。
※両方の耳を押さえるのは難しいが、片方ずつなら無理がなく、耳に水が入らない。
・拒否がない場合(あっても?)は、洗髪のすすぎの際に、顔も介助者の手でこする。
※眼脂が取りやすくなり、男性の場合は髭を蒸らすことができる。
・洗髪後には乾いたタオルを用いて、頭を念入りに拭く。
※ドライヤーの時間短縮のため。
・顔を拭く際、濡らしたタオルはあまりきつく絞らない。
※眼脂が取りやすくなり、男性の場合は髭を蒸らすことができる。
・掻痒感(かゆみ)がある部位は、石鹸やボディーソープを用いない。
※界面活性剤の成分が、必要な皮脂まで流してしまうため。
・背部を洗う際にはタオルで円を描くようにする。
※縦方向・横方向など直線で洗うよりスピーディー。
・胸部・腹部を洗う際には、乳房の下や段腹・ビキニラインなどしわの部分も念入りに洗う。
※きれいに洗えていないことが多い。
・下肢を洗う際、上に上げれば、片側ずつだが足の付け根と臀部を洗うことができる。
※介助者一人で対応できるため、スピードが向上する。
・両手や足の指の間もしっかりと洗う。
※嫌がる利用者が多く、意外と洗っていない人が多い。
・シャワーチェアの陰部部分の穴やスリットなどを利用し、臀部の下に手とタオルを潜り込ませるようにして、陰部や臀部を洗う。
※介助者一人で対応できるため、スピードが向上する。
体重等で上記が困難な場合は、穴やスリットの位置へ洗いたい部分を移動させながら洗う。
・利用者の姿勢・体勢を直す場合は、背部と臀部に泡がついている状態で行う。
※石鹸の滑る性質を利用して、皮膚とシャワーチェア・ストレッチャー等との摩擦を軽減する。
・特に腋下(脇の下)はきちんと泡を流す。
※浴槽(一般浴の場合)に入る場合、腋下を抱えるので、滑らないようにするため。
・身体の泡を流し終えたら、洗身に使用したタオルを床に置き、シャワーを当て続ける。
※泡まみれのタオルをすすぐ時間の短縮。意外とタオルに付着した便も落ちる。
・浴槽に入る際には湯温を確認し、健側(良い方)のやや遠めに浴槽用の手すりつける。
※利用者の安心と、利用者が沈んでしまうなどの事故予防。
遠くを掴むよう利用者に意識させると、浴槽に入れやすい。
・利用者が浴槽に入っている時間は、浮いて・沈んでいないか監視。髭剃り(男性)を行う。
※浴槽での事故は、身体が浮いて溺れるか、沈んでお湯を飲んでしまう事例が多い。
・利用者を浴槽から出す場合は、利用者の脇に介助者の手を入れ、少し引き上げると、「浮力」で勝手に浮いてくるので、浮きだしたら一気に引き上げる。
※浮力を上手に使うことで、介助者の負担を軽減する。
・最終の利用者が出たらすぐに、浴槽のお湯を抜く。
※後片付けに入るまでの時間を短縮する。
後片付け編
・風呂桶・洗面器に洗剤を適量入れ、シャワーを勢いよくかけて、泡立てる。
※スポンジに直接洗剤を付けるより、あらかじめ泡が立っているのでスピーディー。
・順番はシャワーチェア・ストレッチャー → 浴槽備品(手すり・マットなど)→ 浴槽 or 床。
※浴槽のお湯が抜けきらない場合があり、上記の順番が効率的。
・浴槽や床などの「泡」を流すのは、介助者の手足を洗ったあと、最後に「一気」に行う。
※何度も同じ場所を流す羽目になるため。
・浴場に「通常の水道」がある場合は、シャワーでなくそちらを使用する。
※水道の方が「水圧」が高いため、スピーディーに泡を流せる。
とりあえず以上です。
また「気づき」があれば追記しますね。
特に経験年数が浅い介護職員の方々の参考になれば幸いです。
介護の腕に自信のある方からは失笑されてしまう内容だと思いますが、「人員不足」で十分な教育を受けられない方々のために公開しました。
そんなことを、午前・午後の入浴介助と残業が終わり、子供たち寝顔とbeats(ヘッドフォン)から聞こえる「かぐや姫」の「神田川」、「ふたりで行った横町の風呂屋」のフレーズに癒されているところです。
お名前.com
介護の資格講座なら福祉の教室『ほっと倶楽部』
「人員不足」や「低賃金」や「3K」が常につきまとう介護現場。
そこで困った時の「神頼み」。
「パワーストーン」の「タイガーアイ」や「ルチルクオーツ」などのブレスレットを毎日、身に着けて出勤しています。
朝・夕は「雲助」として利用者の送迎。
日中は「三助」として「入浴介助」な毎日です。
リコー CX1
何処の介護現場でも「人員不足」は深刻です。
そんな中、「入浴介助」。
高齢者介護施設においては、法令でも利用者に対して週2回の「入浴」または「清拭」が義務付けられています。
今年に入り、約150回程度、入浴介助に携わって、様々な技法を身に付けてきました。
約150回中、半数以上が所謂、「ワンオペ」での「洗い番(利用者の洗髪・洗身・浴槽の出入りの介助)」でしたが、「続きを読む」で公開する「入浴の心得」を実行して、極度な疲労や腰痛といった症状も今のところありません。
他の職員よりも安全かつ、スピーディーに入浴介助をこなすことができ、若手の介護職員や看護師、機能訓練の職員などからも、わりと評判が悪くないようです。
所謂「一般浴」の場合は、1時間に平均12〜15名、「特浴(ハーバード浴・臥床式)」の場合は1時間に平均7〜8名の利用者を「ワンオペ」で入れることができています。
さて、その内容は…。
・〜は実際に行う介助の内容と技術。
※〜はエビデンス(根拠)・理由・留意点・補足など。
入浴の心得
脱がせ・着せ編
・脱がす際には上衣と下着(上)は一気に、頭を先に通す。
※利用者に麻痺や拘縮がある場合は、患側(悪い方)の上肢から脱がす。
・上衣や下着(上)は袖口から引っ張り脱がす。
※表皮剥離や擦過傷の予防のため。
・靴と靴下も片方ずつ、一気に脱がす。
※一回ずつ下肢を持ち上げれば済み、スピーディーで介助者の負担が少ない。
・車椅子上で下衣を脱がす際には、片方ずつ臀部を持ち上げて下衣を脱がす。
その際、オムツのテープ部分やリハパンを持つと良い。
※臀部と車椅子の間に少しでも空間ができれば、片方ずつ脱がすことができる。
・オムツはテープを外し確実に固定、リハパンは脇をちぎっておく。
※上記に加えて、陰部の下の方に押し込んでおく。
・上記状態により、シャワーチェアへの移乗の際に、オムツが勝手に落ちる。
※一人で移乗できるので、他の介助者を呼ばずに済み、スピードアップ。
・身体の水滴を拭く際には、擦らず、押さえるようにして行う。
※表皮剥離・擦過傷の予防。バスタオルの吸水性を活用。
・利用者に着せる順番はオムツ類 → 靴下 → 下衣 → 下着(上)→ 上衣。
※靴下を先に履かせることで、下衣との摩擦を軽減する。
上衣や下着(上)が前開きでなく「かぶり」の場合は車椅子に移乗してから着せる。
・ドライヤーは一度、髪をとかした後、壁際で行う。
※髪をとかすことで、髪同士の密着をほぐし、乾かしやすい状態にする。
壁から温風が反射するため乾くのが早い。
・ハーバード浴(特浴・臥床式)ストレッチャーからベッドへの移乗は「お姫様抱っこ」が意外と楽(特に身体の緊張が強い利用者)。
※介助者の力、利用者の状態など安全に配慮する必要があるが、他の介助者を呼ぶ必要がないため、スピードアップ。
洗い編
・洗う順番は頭部 → 背部 → 胸部・腹部 → 下肢 → 陰部 → 臀部。
※汚れている蓋然性が高い部分を後回しにすることで、タオル一枚で洗い終えることができる。
真菌(水虫)などの感染症によっては、洗う順番を適宜、変更して対応する。
・座っていられる利用者と自立度が高い利用者の組み合わせなら、二人同時に洗うことができる。
※利用者を連れてくる順番や組み合わせに配慮する。
・頭を洗う際には左右交互にお湯をかけ、かけている側の耳を押さえる。
※両方の耳を押さえるのは難しいが、片方ずつなら無理がなく、耳に水が入らない。
・拒否がない場合(あっても?)は、洗髪のすすぎの際に、顔も介助者の手でこする。
※眼脂が取りやすくなり、男性の場合は髭を蒸らすことができる。
・洗髪後には乾いたタオルを用いて、頭を念入りに拭く。
※ドライヤーの時間短縮のため。
・顔を拭く際、濡らしたタオルはあまりきつく絞らない。
※眼脂が取りやすくなり、男性の場合は髭を蒸らすことができる。
・掻痒感(かゆみ)がある部位は、石鹸やボディーソープを用いない。
※界面活性剤の成分が、必要な皮脂まで流してしまうため。
・背部を洗う際にはタオルで円を描くようにする。
※縦方向・横方向など直線で洗うよりスピーディー。
・胸部・腹部を洗う際には、乳房の下や段腹・ビキニラインなどしわの部分も念入りに洗う。
※きれいに洗えていないことが多い。
・下肢を洗う際、上に上げれば、片側ずつだが足の付け根と臀部を洗うことができる。
※介助者一人で対応できるため、スピードが向上する。
・両手や足の指の間もしっかりと洗う。
※嫌がる利用者が多く、意外と洗っていない人が多い。
・シャワーチェアの陰部部分の穴やスリットなどを利用し、臀部の下に手とタオルを潜り込ませるようにして、陰部や臀部を洗う。
※介助者一人で対応できるため、スピードが向上する。
体重等で上記が困難な場合は、穴やスリットの位置へ洗いたい部分を移動させながら洗う。
・利用者の姿勢・体勢を直す場合は、背部と臀部に泡がついている状態で行う。
※石鹸の滑る性質を利用して、皮膚とシャワーチェア・ストレッチャー等との摩擦を軽減する。
・特に腋下(脇の下)はきちんと泡を流す。
※浴槽(一般浴の場合)に入る場合、腋下を抱えるので、滑らないようにするため。
・身体の泡を流し終えたら、洗身に使用したタオルを床に置き、シャワーを当て続ける。
※泡まみれのタオルをすすぐ時間の短縮。意外とタオルに付着した便も落ちる。
・浴槽に入る際には湯温を確認し、健側(良い方)のやや遠めに浴槽用の手すりつける。
※利用者の安心と、利用者が沈んでしまうなどの事故予防。
遠くを掴むよう利用者に意識させると、浴槽に入れやすい。
・利用者が浴槽に入っている時間は、浮いて・沈んでいないか監視。髭剃り(男性)を行う。
※浴槽での事故は、身体が浮いて溺れるか、沈んでお湯を飲んでしまう事例が多い。
・利用者を浴槽から出す場合は、利用者の脇に介助者の手を入れ、少し引き上げると、「浮力」で勝手に浮いてくるので、浮きだしたら一気に引き上げる。
※浮力を上手に使うことで、介助者の負担を軽減する。
・最終の利用者が出たらすぐに、浴槽のお湯を抜く。
※後片付けに入るまでの時間を短縮する。
後片付け編
・風呂桶・洗面器に洗剤を適量入れ、シャワーを勢いよくかけて、泡立てる。
※スポンジに直接洗剤を付けるより、あらかじめ泡が立っているのでスピーディー。
・順番はシャワーチェア・ストレッチャー → 浴槽備品(手すり・マットなど)→ 浴槽 or 床。
※浴槽のお湯が抜けきらない場合があり、上記の順番が効率的。
・浴槽や床などの「泡」を流すのは、介助者の手足を洗ったあと、最後に「一気」に行う。
※何度も同じ場所を流す羽目になるため。
・浴場に「通常の水道」がある場合は、シャワーでなくそちらを使用する。
※水道の方が「水圧」が高いため、スピーディーに泡を流せる。
とりあえず以上です。
また「気づき」があれば追記しますね。
特に経験年数が浅い介護職員の方々の参考になれば幸いです。
介護の腕に自信のある方からは失笑されてしまう内容だと思いますが、「人員不足」で十分な教育を受けられない方々のために公開しました。
そんなことを、午前・午後の入浴介助と残業が終わり、子供たち寝顔とbeats(ヘッドフォン)から聞こえる「かぐや姫」の「神田川」、「ふたりで行った横町の風呂屋」のフレーズに癒されているところです。
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「人員不足」や「低賃金」や「3K」が常につきまとう介護現場。
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