b.いやいや、「ズ」にアクセントつけて語尾思いっきり上げるんすよ、ジャズッ、
a.こうか、じゃず?
b.いや、ジャは小さくズにチカラ入れて、「ジャズっていうのはね」
a.もうええわ、そもそも読者に分かりづらいわ、
b.で、今日はクレンペラーの隠れ名盤ってことで、ステレオ録音された色んな作曲家の第九シンフォニーの中でも、イチ押しはドボルザークの第九って、マジすか、
a.これだけ手あかのついた名曲をこれほど新鮮に響かせる実力は並大抵のもんやない、これを聴いてしまうと本場チェコフィルの鳴らす新世界すら頼りなく感じてしまう、
b.クレンペラーの新世界交響曲か、出だしから例によって我が道を行くスローテンポ、そして角ばったメロディーライン、
a.第一楽章はふつう省略する主題提示部の反復もやってるから、なおさら長く感じる、
b.どこが魅力なんすか、
a.どこっていうより、すべてが完璧に素晴らしい、ブルックナーの8番同様、不当に評価されない名演中の名演といって間違いない、もう新世界は聴き飽きたっていう人にこそお勧めしたい、こんな立体的で透明感があってココロに訴える演奏は今後出てこないかも・・・
b.そういえば、クレンペラー自身、第2次世界大戦中アメリカに亡命してたんすね、
a.そうだったなあ、そんな実体験も手伝って、なおさら心に沁みる名演になったのかも、
b.具体的にどの辺が素晴らしいんすか、
a.第3楽章の22秒と28秒に同じ音型でホルンが鳴るけど、その各5音目に強くアクセントを入れることで、この場面がしっかり立ち上がる、
b.そんな大事なホルンなんすか、
a.それまでの三楽章をここでまとめ上げるほど大事なホルン、ここでしっかり区切ると気持ちがスッキリして、次の終楽章へすっと入って行ける、
b.すっきり気分も入れ変わってからの終楽章か、
a.第4楽章はたいてい感情の高ぶりのまま指揮者もオーケストラも前のめりになるんやけど、
b.クレンペラーはいきなり出だしから垂直に立ち止まってますね、自由の女神像のように、
a.いつも正確に燃え上がろうとする大魔神ならではの出だし、
b.それにスローテンポも関係するけど、ふつうの演奏では隠れて聞こえないような色んなフレーズがハッキリ分かる、
a.細やかに色んな味がしてる、たとえば2分28秒から35秒までの7秒間とっても、弦楽パートにフルートがしっかり絡んで、この辺の美しさはただもんやない、
b.取っつき悪いけど、なかなかいけますね、この直後、2分47秒から54秒までの7秒間も、木管パートがハッとするほど主張するし、弦楽器に負けない味、ていうか全体に木管、アジ濃い〜っすね、
a.クレンペラーは大編成のオーケストラで埋もれてしまう木管群を際立たす努力をいつも欠かさなかった、だから他とひと味ちがった透明な響きになるし、大音量でも味わいが細やかになるんや、
新世界シンフォニーはCD8に入っています。
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