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2023年10月25日

自転車という乗り物について(中編)『不便(ふべん)だからこそ奥深く楽しい』

ところでこの4台中、最も異色なのが、コロナ給付金で購入した、ジオス・ビンテージピスタという、シングルスピード(=ピストバイク・無変速自転車)、

自転車に目覚めて四半世紀(しはんせいき=25年間)、フロント3速、リアは7速8速9速と、変速付きの自転車ばかりやもんな、

なんでまたこんなキワモノっぽい(=ごく少数にしか受け入れられないような)自転車を購入したんすか、

まずは見た目の美しさから、どうしても欲しくなり、もうひとつは、重いとされるクロモリフレームでありながら9sを割る軽さに感動して、最後は幅25oの細いタイヤは1度も経験が無かったんで、

じゃあ変速機が無いという点に魅力を感じたわけではないと、

そう、乗るまではいったいどんな感じがするのかまったくの未知数で、

で、じっさい走らせてみてどうでした、

じっさいに乗ってみないと分からない予想外の楽しさ、というか変速が無いだけで、これほど深く自転車と付き合えるようになるとは、正直自分でもビックリするくらいで、

じゃあ大正解ってことすか、

ずいぶん遅くなってからの経験になったけど、ほんまシングルスピード(ピストバイク=無変速自転車)に出会えて良かった、

ぱっと見、不便そうなだけに見えますが、違うんすか、

変速が無くなって不便になったからこそ楽しいというか、たった一つのギア比だけであらゆる道を走ることになるんで、全身が心地よい緊張感に包まれるというか、

どういうことすか、

今までなら変速まかせで、こぎ方が相当ええ加減でもごまかしがきいたけど、変速が無くなると、その不便さをぜんぶ自分がしょいこむから、走る道に合わせて多様なこぎ方が必要になって、登り坂が近づけば、それに負けないスピードやトルクを全身で確保する必要も出てくるし、走行中の感覚が変速がある時のひと回りもふた回りも鋭くなって、ああ生きてるなあという感覚がより強くなる、

じゃあ、幅25oのメチャ硬いタイヤも、そのマイナス面はすべてプラスに転じると、

細くて硬いタイヤなんで、ちょっと荒れた路面でも正確に突き上げが来るから、これを全身で器用に受け流しながら走ることになるし、細くて硬いからちょっとした路面の突起でも即転倒の危険があって、感覚がより鋭くなるし・・・なもんで、そんな悪路をやりくりしながら出会う、舗装したてのなめらかな路面はより感動的に感じるし、わずかな時間走っても、旅したような充実感が得られる、

ちなみに、タイヤ幅を25oから28oにしたら面白さが半減して即25oにもどしたというのは、

28oのほうがショック吸収性も安全性も向上するけど、その反面、登り坂や加速時にダンシング(=立ちこぎ)する場面では、28o幅より25o幅のタイヤのほうが、左右にヒラヒラと車体を倒しながらよりシャープにチカラを路面に伝えやすいんで、この鋭い力強さは25oでしか味わえない魅力があって、

ところで、ピストバイクは固定ギアというイメージですがそのへんはどうすか、

コアな(より極めようとする)ライダー達は、固定ギアがメインで、さらトリックとかワザを極めようとすれば、ハンドルからブレーキやワイヤーケーブルを取っ払ってクルクル回るようにしたり・・・自分の場合、坂の町に住んでるせいもあって、固定ギアだといずれ大転倒をやらかしそうで、子供の頃から慣れ親しんだフリーギアのままやけど、それでもじゅうぶんに魅力的、

じゃあ固定ギアにことさらこだわる必要も無いと、

というか、あまり言う人も居ないけど、フリーギアのピストバイクで無いと味わえない快感もあって、たとえば下り坂を固定ギアでくだる場合、ペダルを強制的に回し続けることになって、快感どころか危険と苦痛ばかりという地獄のような状況になるわけで、その点フリーギアなら、足を休めて、鳥が滑空(かっくう)するように、景色を楽しみながらひたすら下り坂のスピードを楽しめるわけで、

ちなみに、もともと付いてたフロント44t・リア16tをより軽い、フロント50t・リア20tに交換したのは、そんな登り坂のために、

山がちなエリアに住んでるから、たいていの登り坂はそれほど苦しまないでも登れるようにしたかったのがひとつ、もうひとつは、見た目的にフロントの歯数が多い方がカッコいいというのもあって、

でも、平坦(へいたん)な道ではペダル軽すぎて足が回り切るという、

そこも考えようで、こんな機会でも無いと、わざわざ高回転でペダリングすることもないし、そうなればスムーズなペダリングの練習にもちょうど良いし、回転数を上げさえすれば、けっこうなスピードも出せるわけで、

より軽めのセッティングのほうが、場所を選ばず多彩な走り方もできて、なおかつヒザや腰への負担も軽くなると、

変速が無いぶん、トルクをかけて走る場面が多くなるんで、軽めのギア比のほうが長く付き合えるんちゃうかなあ・・・もっとも、たまにはフラットな道ばかり探して、重めのギア比でゆったり流すのも楽しいし、固定ギア(コグ)にしても、安全をじゅうぶん確保した上で乗り方がわかり始めたら、もっと楽しくなるはず、

ピストの代名詞 FUJI『FEATHER(フェザー=羽根)』の開発にもかかわったピスト業界の御意見番。東京時代は写真関係の仕事をされていて現在でもフィルムカメラの熱心なユーザーさんです。       


イタリアデザインはそのままに、実質的な企画・製造・組み立ては日本と台湾が行う自転車メーカー GIOS(ジオス)。純粋なイタリア製じゃないとのマイナス評価もあるけれど、価格的・品質的にこの組み合わせがベストに思えるのは自分だけか・・・ちなみに唯一の弱点である石より硬いサドルは、より上質な走りと健全な股間(こかん)のためにも、1万円の上乗せになりますが、カラダにやさしく美しいイタリアSMP社製に交換することを強くオススメします。


(後編に続く)
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