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2023年06月23日

RCサクセション『BEAT POPS』による坂本龍一氏追悼の試み(中編)

しかし、メンバーが写ってる『BEAT POPS』のジャケット写真なんすけど、なんと言うか、

気味悪いとか、けっして言わないでくださいよ、

正直かなり・・・あくまで良い意味なんすけど、

なかでもリードボーカルでバンドの中心メンバーでもある忌野清志郎(いまわのきよしろう)がいちばんキモいしな、もちろんええ意味やけど、

「良い意味」付けたら何でもありなんすか、

大好きなエアロスミスのリードボーカル、スティーブン・タイラーの口元も、かなりキモいし…ええ意味やけど、

スティーブン・タイラーの娘さん、お父さんに似なくてホンマ良かったすね、

ロックスターは異様なことがプラスイメージにつながったりするけど、女優さんはなあ・・・

ちなみに、聖飢魔Uのデーモン閣下(かっか)がよそ行きの気味悪さなら、RCサクセションはふだん着というか、

このアルバムの音作りもそうやけど、日本のロック界の頂点を極めた余裕か、もともとのバンドのキャラなのか、無理して異様さを気取るというより、等身大のにじみ出してくる気味悪さというか、出てくる音も飾り気がまったく無くて、必要最小限の音と歌詞だけで勝負していて、どこまでもスカッとわかりやすく、むし暑い日本の夏にもピッタリ、

ちなみに、アルバム全10曲を、中編・後編にわけて取り上げていくわけですが、どこらへんから、

この中編では、よりヘビーな曲から順序不同で取り上げて、後編はより軽くて元気の出る曲でまとめよう、

じゃあどう見ても、アルバム中もっともヘビーな8曲目から、

G ナイ・ナイ

ノイズまじりのラジオから『BEAT POPS』が流れていて、リアルな咳(せき)が長く続いて、ようやく曲が始まれば、いきなり「夢も希望も無い、なにも無い」という、

夏風邪をひいて鼻が詰まって、夢も希望もまったく感じられなくなったヒトにピッタリすね、じっさいそんなつらい状況は無いほうが良いに決まってますけど、

ポップミュージック特有の軽い乗りとビートがプラスに作用して、どんな落ち込んだ状況でも、不思議とそのまんま救われてるような・・・「鍋(なべ)から吹き出しそうな…今にも垂(た)れてきそうな…あったかいスープを…」たくさん飲んで、早よ良うなっておくれやしておくれやっしゃ、

日本のロックシーンに登り詰めたけれども、1982年当時の忌野清志郎は肝臓をひどく病んでいて、あと数年の命と医者からも告げられたそうで、

ウィキペディアによると、「東洋医学療法を手当たりしだい実践して、奇跡的に健康を取りもどし・・・」とあるけど、ある意味、西洋医学の医者から見放されたことで命拾(いのちびろ)いしたのかも、

自転車にハマるのもこの頃すか、

いや2000年とあるから、20年近くもあとのこと、

残念すね、2009年には他界されてるんから、わずか10年にも満たない自転車人生、

チラッと見たことあるけど、メチャ軽くて高級そうなロードバイクで、バンドのライブツアーの途中にも、自分だけ自転車で移動したり、奥の細道のルートをたどってみたり、ハワイのイベントにも参加したりと、

奇(く)しくも(不思議なことに)、坂本龍一と同じ咽頭(いんとう)ガンで、58才の若さで天国に旅立ったんすね、

つぎも同じようにヘビーな、

A トラブル

歌詞によれば、「オレのせいでもない、誰のせいでもない…」トラブルが転がり込んで来たみたいで、

これもヘビーな曲やけど、前曲同様、ロックでポップなビートのおかげで、落ち込むことなく聴いてられる・・・後期ロマン派の作曲家が同じ内容を曲にしたら、聴いたとたん首くくって死んでまう恐れがあるけど、

じっさい、自分らの身の回りにも、いわれのないトラブルに巻き込まれるケースって、けっこうありますし、

YouTubeのドラレコ(ドライブレコーダー=車載カメラ)特集やないけど、こっちはちゃんと運転してるのに、信じられんほどええ加減な運転に巻き込まれて事故るケースなんて、いくらでもあるしな、

クルマだから軽傷で済んでるけど、これがバイクなら確実に重症かあの世行きという事故もそうとう多く、

数年前まで、真剣に中型バイクの免許取ろうかと思ってたけど、あれだけ危険なシーンをつぎつぎ見せらると、やっぱり周囲の音も敏感に察知できて、煽られずにゆっくり走れて、お財布にもメチャ優しい『自転車』が最高や…おまけに自分のカラダも思うぞんぶん動かせてストレス発散になるし、

じゃあ、次なるヘビーな曲へ、

C 恐るべきジェネレーションの違い (Oh,Ya!)

『Oh,Ya! 』とアパートの『大家(おおや)』をかけてるんやけど、今の若い世代にこの掛詞(掛けコトバ)が分かってもらえるかどうか、

我々が最後の世代じゃないすか、アパートの大家さんっていう存在をリアルタイムで知ってるのは、

コンピューター、インターネット、さらに携帯電話の登場によって、人間関係はどんどん希薄になって来たけど、オレらが学生のころは、基本的な娯楽の王者はまだまだ麻雀(マージャン)で、正方形のこたつを4人で囲み、タバコのけむりが濛々(もうもう)と立ち込める安アパートの一室で、なけなしのお金を賭(か)けあって何時間も過ごすわけで、

『徹マン』(てつまん=徹夜マージャン)というコトバがあったり、どうしても4人そろわないときは、イマイチ盛り上がりに欠ける『サンマ』(3人麻雀)で我慢したり、

4人そろって夜中にずっとマージャンやってると、だんだん疲れてきて、深夜に何でもない話で爆笑したりして、どう考えてもそうとう近所迷惑なわけで、ある日、我慢の限界を越えたアパートの大家さんが怒鳴り込んで来るわけで、

このままでは、マジでアパート追い出されるから、2人で静かに遊べる野球盤に切り替えるんやけど、これもこれでヒマな学生が集まって来てリーグ戦になり、マージャン以上の大騒ぎになってしまい、状況はさらに悪化、

最後は、いちばんの親友というか悪友と、深夜ひっそり花札(はなふだ)やって過ごしたなあ・・・最初から勉学ひとすじの学生生活であれば、そもそもこんな騒動自体、回避できたけど・・・ほんまアホアホな学生で、すんませんでした、

そんなとき、親友のラジカセからよく流れてたのが、RCサクセションの『BEAT POPS』、そして坂本龍一がYMO加入の翌年1979年6月21日にリリースしたソロアルバム『サマー・ナーヴス』、これもいまだに色あせないポップな名曲ぞろいや、

日本語に訳すと『夏の神経症』…アルバムジャケットの教授も、むち打ち用のコルセット、首に巻いてますけど、

タイトルやジャケットとは真逆の内容で、どこまでも夏らしく、YMOのメンバーになったばかりで、これから世界的ミュージシャンに羽ばたいて行こうとする充実した雰囲気にあふれていて、氏のソロアルバム中、もっとも青春を感じさせてくれる名作、

1980年代なかば、任天堂の地元京都での学生生活に話をもどしますと・・・当時、花札(はなふだ)といえば任天堂なわけで、まさにファミコン前夜といいますか、女装したいかりや長助みたいなアパートの大家さんといいますか・・・忌野清志郎のひどく病んだ肝臓じゃありませんが、倒産寸前に追い込まれた任天堂が、ファミコンでV字回復をとげて世界的大企業にのし上がっていくという、まるでウソみたいなサクセスストーリーが、夜な夜な音も立てずに花札(はなふだ)やってた、まさにこの街から巻き起こったんすね・・・ということで、次は中編最後の曲になりますが、

H 君を呼んだのに

ここまで来ると、ヘビーな状況も、落ち込んだ気分もほとんど薄れて来て、

ここで始めて「バイク」にまつわる歌詞が、

「バイクを飛ばしても、どこへも帰れない、バイクを飛ばしても、帰りつづけるだけの、ぼくらは寄り道をしてるんだ」・・・なんのこっちゃ、

目的地も特に決めずに、あっち寄ったりこっち寄ったりの、あてもない放浪(ほうろう)の旅ってことじゃないすか、

帰るべき家も無いみたいな・・・ここでも体調不良の一節がリアルやなあ、「クスリを飲んで眠れ、副作用で起きて」と、

日本ロック界の頂点を極めたものの、実際はそれほど幸せじゃなかったんすね、

アメリカのジャズメン達も、人気が出るほど欲深いプロモーター(興行主(こうぎょうぬし))に使い回され、過労でヘロヘロになり、そこへつけこむように麻薬密売人が現れ・・・儲けたギャラはごっそり麻薬に消えて、心身ともボロボロにされてこの世を去っていくという、

いちばんヘビーな8曲目の『ナイ・ナイ』にもこんなフレーズが、

「・・・いくら稼(かせ)いでもしょうがない、君が行っちまうなら意味が無い・・・あんなにたくさんあったのに、みんな燃えて無くなっちまった・・・」

YMOのワールドツアーにしても、スケジュールがあまりに過密で、観光するどころか、今ここがどこなのかもハッキリしないまま移動につぐ移動の連続で、坂本龍一ほかスタッフ全員、時間に追われて泣きそうだったとも、

というわけで、中編ではヘビーな順に4曲まとめてお送りしました・・・後編では、明るく前向きな残り6曲を取り上げて、坂本龍一氏の追悼に充(あ)てたいと思います・・・ちなみに、後編でとりあげる予定の残り6曲は以下のようになっております、

@ つ・き・あ・い・た・い
B こんなんなっちゃった
D エリーゼのために
E SUMMER TOUR(LIVE AT 横浜球場/1982)
F あの夏のGoGo
I ハイウェイのお月様
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