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2017年10月16日

「450年先」を見据える英国ロイヤル・オペラの長期戦略

Forbes より

「450年先」を見据える英国ロイヤル・オペラの長期戦略

「オペラは金持ちの道楽」 と敬遠する人が多いのは、 日本だけでなく欧州も同じ。 では、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスの客席が、 毎晩賑わうのはなぜか。 その背景には、世界を見据えた長期目線の戦略があった。 午前10時半。 ロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)の舞台上では、 黒ずくめのスタッフがせわしなく行き交い、 着々と作業を進めている。 舞台に組まれているのは、 円形劇場を思わせる3階建てのセットだ。 客席では、 あちこちに据えられた8台のテレビカメラが 出番を待っている。 人気絶頂のテノール歌手、 ヨナス・カウフマンがここで ヴェルディ作曲『オテロ』のタイトルロールに 初めて挑戦する。 本人が「エベレストを登るよう」 と表現する究極の難役だ。 今夜、 その瞬間を 世界がリアルタイムで見届けることになる。 ただ、 舞台上に組まれたセットは、 初日を1週間後に控えた 『トゥーランドット』のもの。 皇帝を乗せる宙吊りの玉座が、 頭上からゆっくり降りてくる。 リハーサルを終えたらすべて解体し、 『オテロ』のセットを組み、 夜7時半の公演を迎えるという。 これに加え、 ヴェルディの 『椿姫』と モーツァルトの 『ポントの王ミトリダーテ』も公演中だ。 ROHのアレックス・ビアードCEO(54)に言わせれば、 「まるでエクストリームスポーツ」 のように劇場内はめまぐるしい。

変化を象徴する存在

ROHが拠点を構える 英国ロンドンのコベント・ガーデンで、 初めてオペラが上演されたのは1732年のこと。 1892年に 「ロイヤル・オペラ・ハウス」と名づけられ、 いまや世界有数の歌劇場として知られるようになった。 オペラとバレエの公演数は 年間約320回にのぼり、 入場者数は70万人を超える。 ロンドンのコンサートホールでは、 空席が目立つクラシック音楽の演奏会も少なくないが、 ROHは96%という入場率を誇る。 ちなみに、テムズ川の反対側にある演劇の殿堂、 ナショナル・シアターの入場率は88%だ。 非営利法人によって運営されているROHの収入は、 年間1億3110万ポンド(約192億円)。 米メトロポリタン・オペラの 3億1075万ドル(約344億円)にはかなわないが、 ウィーン国立歌劇場の 1億1771万ユーロ(約154億円)を上回る。 収入は右肩上がりで、17年連続で黒字を達成している。 ROHの収入の約2割は、 アーツ・カウンシル・イングランド(ACE) からの助成が占める。 ACEは文化・メディア・スポーツ省所管の外郭団体で、 芸術文化の振興を目的とする。 ROHはどの組織よりも多くの資金を ACEから受け取っている。 その理由は、 オペラやバレエが 群を抜いてコストのかかる芸術だからでもあるが、 ROHがロンドンだけでなく全国で、 ひいては全世界で文化的に重要な役割を果たし、 次世代の育成にも熱心に取り組んでいるからだという。 「ROHは、 常に時代の先を見据えていて、 変化を象徴する存在です」 とACEの広報担当者は話す。

450年の歴史、450年の未来

ROHは、 年間12作品を 40カ国以上の 約1500カ所におよぶ映画館へ ライブ中継している。 国内だけで430カ所を超え、 英国のどこにいても50km圏内に ROHの舞台をリアルタイムで観られる場所があるという。 カウフマン主演の 『オテロ』は、 今年の目玉だ (日本では生中継ではなく、 9月8日より全国で順次公開予定)。 メトロポリタン・オペラをはじめとした 一部の歌劇場のほか、 演劇のナショナル・シアターなども ライブ中継を行っており、 映画館で舞台を楽しむという行為は ますます定着しつつある。 それは、 テレビ放映やDVDで鑑賞するのと 同じ体験ではない。 BBCでプロデューサーとして長年活躍し、 現在ROHで映像関連の責任者を務める ピーター・ジョーンズはこう話す。 「舞台鑑賞は、 本質的には共同体活動。 世界中で同じ瞬間を共有しているという感覚は格別です」 さらに、 年に3回は国内15カ所で 無料の野外パブリックビューイングを行う。 同時に、YouTubeでライブ配信する場合もある。 となると、まさに世界の津々浦々で、 当代きっての歌手やダンサーが 大舞台に臨むその瞬間を目撃できるというわけだ。 最も大規模な パブリックビューイングの会場が、 ロンドンの観光名所トラファルガー広場だ。 巨大なスクリーンを前に、 開演の数時間前から上映を心待ちにする人々の ピクニックが始まる。 オペラハウスの客席は 白人が大半を占めるが、 広場に集まった観客は、 人種の多様なロンドンそのもの。 劇場では見かけることのない ベビーカーの子供もいる。 初めてオペラの野外上映に来た マーリーン・サントゥス(28)は、 「たまたまネットでオペラの動画を見たら、 歌がキャッチーで 衣裳がきれいだったから来てみようかと思って」 と話す。 「オペラは金持ちが観るもの」 と思っていたが、 印象が変わったという。 友人を誘って来たエライザ・プリティマン(24)は、 「急な残業もあるし、 前もって高いチケットを買わなくても、 ふらっと来られるのがいい」と語る。 観る方にとっては気軽かもしれないが、 桁違いの数の観客を前にする 歌手やダンサーにのしかかるプレッシャーは 尋常ではない。 「彼らは失敗を恐れて 安全運転するかと思いきや、 意外とそうでもない」 とジョーンズは話す。 「なぜかダンサーはいつもより 高くジャンプするし、 歌手は普段以上に歌にエネルギーをこめるんです」 プレッシャーがかかるのは、 ジョーンズをはじめとする 裏方スタッフも同じだ。 何しろ生中継なので、 失敗は許されない。 バレエなら、 リフトされたダンサーのつま先が 画面から切れないように、 身長や脚の長さから見当をつけておく。 モーツァルトの喜劇オペラなら、 笑いを誘う歌手とリアクションをする 歌手の両方の表情をとらえて 初めて笑いが成立するので、 カメラの切り替えを綿密に計算する。 これだけ大がかりで 莫大な費用のかかるものを 野外上映やYouTubeで 惜しげもなく無料公開するのはなぜか。 ビアードCEOはこう話す。 「劇場の座席数は限られています。 オペラには450年の歴史があり、 この先450年も続くはず。 だとすれば、 新たな観客を惹きつけて オペラハウスとの長期的な関係を持ってもらうことは 非常に重要です」 ROHは特に、 映画市場が急成長中の中国に注目している。 昨年、中国での映画館上映は 3作品にとどまったが、 今年は6作品に拡大する。 直接劇場に来る人を増やすことだけが 観客を増やす手段ではない。 劇場外でそれに近い体験ができるとなれば、 地球全体が客席になるわけだ。

他業界の顧客戦略をウォッチ

一方で、 劇場に足を運ぶ人の多様化も目標の一つだ。 そのために重要なのが、 価格設定だという。 ROHのチケットは、 44%が50ポンド以下、 35%が40ポンド以下、 29%が30ポンド以下で販売されている。 これなら ロンドンのウェストエンドで ミュージカルを観るよりよっぽど安い。 たとえば、 カウフマン主演の『オテロ』は、 最も高いチケットが 270ポンドだったが、 一方で15ポンドの席も用意されていた。 また、普段ROHには来ない層を呼び込むため、 最高ランクの席を 50ポンドに設定したバレエ公演もある。 各公演のチケット価格をどう設定するかは、 顧客データによって決めているという。 アンケートも集めているが、 それよりも重要なのは購入履歴だ。 ROHは日本のコンサートホールのように チケット販売を部分的に 外部へ委託したりしないので、 すべてのチケットが ROHのボックスオフィスを通して購入される。 そのため、 観客一人ひとりについて、 来場の頻度や好みの演目など、 詳細まで把握できる。 どういった演目のどの席に需要があるかに注目すれば、 価格設定の精度が高められるわけだ。 また、 劇場に足を運びやすくする という意味で大きいのが eチケット制度である。 ROHでは、 もちろん紙での発券も可能だが、 携帯端末で eチケットを提示するだけで入場できる。 英国の文化施設で これに踏み切ったのは ROHが初めてだったという。 eチケット制度がなかったり、 あっても 印刷してくる必要があったりする施設も多いが、 これは必然的な施策だったと ビアードCEOは話す。 「たとえば、 航空会社はずいぶん前から eチケット制度を導入しています。 私たちはより 良い顧客体験を提供したいだけ。 ほかの業界がどうやって 顧客を取り込んでいるか、 常にウォッチしています」 700万回再生されたオペラ曲 いまや ROHの来場者は48%が ロンドン外の居住者であり、 マーケティングツールとして 有効なのはやはりソーシャルメディアだ。 担当者のメル・スペンサーによると、 ツイッターやフェイスブックなどを通じて、 週に100万人以上が ROHのオンラインコンテンツを目にしている。 コンテンツを作る際に注意するのは、 「オペラやバレエについて 相手に知識があることを前提にしないこと、 “上から目線”にならないこと」 だと同氏は言う。 また、 ツイッターでは、 公演ごとにハッシュタグを作って 投稿を呼びかけている。 たとえば、『オテロ』なら #ROHOtelloとつけて 感想を投稿してもらう。 もちろん、 好意的なコメントばかりではない。 「否定的な投稿を阻止することはできない。 思い入れがあるからこそ 意見をシェアしたいわけで、 それはすばらしいことです」 とビアードCEOは語る。 最も成功しているのが YouTubeチャンネルで、 登録者数は26万人を超え、 5万人弱にとどまる メトロポリタン・オペラを含め、 他の歌劇場に圧倒的な差をつけている。 たとえば、 『カルメン』の有名な曲「ハバネラ」の動画は、 700万回近く再生されている。 また、人気の歌手やダンサー、 指揮者などが登場する 「インサイト」と呼ばれるトークイベントや バレエの公開リハーサルは、 1時間半近くの内容が 丸ごとアップロードされていて、 見ごたえ十分だ。 また、 ロンドン外の潜在顧客と同様に重視しているのが、 若い世代である。 現在、 「ROHステューデント」 として1万9000人以上の学生が登録しており、 1〜25ポンドという安さで チケットが買える。 年に一度は 学生だけを対象にした公演も行っており、 昨シーズンは、 バレエ『フランケンシュタイン』を上演。 その際、 イマーシブ・シアター(体験型演劇)で 世界を席巻している劇団「パンチドランク」と手を組み、 フランケンシュタインの格好をした役者が 客席をさまようなど、 観客が舞台に“巻き込まれる”ような工夫を凝らした。 それだけでなく、 全国の子供向けに オペラやバレエに関連する各種コンテストを開催し、 優勝者を劇場に招待している。 ビアードCEOは次世代への投資についてこう説明する。 「若いうちに興味の種をまいておけば、 仕事や家庭で忙しい 20〜30代は劇場から足が遠のいても、 40〜50代になって種が育ち、 戻ってきてくれるかもしれません」 ROHが常に未来を見据えて 投資してきたのには訳がある。 「オペラの本場」 といえばやはり イタリアやドイツで、 ROHは“後発組”とも言える。 フランセス・ドナルドソン著 『20世紀のロイヤル・オペラ・ハウス』 (未邦訳) によると、 ようやく 一流の歌劇場として 認識されるようになったのは、 ゲオルグ・ショルティが 音楽監督を務めた1960年代で、 「この頃になって、 外国から超一流の歌手や指揮者が ロンドンに来たがるようになった」 という。 その後も 決して順風満帆だったわけではない。 特に1990年代半ばには チケットの売れ行きが伸び悩んだ。 ビアードCEOはこう話す。 「まず何より、 当時は劇場の老朽化が著しかった。 舞台裏の設備もひどいものでしたが、 劇場内にエアコンがなかったので 夏は不快で、 座席によって入り口が別々だったり、 バーが快適でなかったり。 ちゃんとお金をかけていないのが 見え見えでした。 それに、 演奏の水準にもムラがありました」 そんな状況から、 1億7800万ポンドをかけた 劇場の改装に踏み切った。 何よりも“顧客体験”に投資することで、 軌道に乗ることができた。 人材への投資も重要だ。 2002年には、 ベルギーの王立モネ劇場の音楽監督だった アントニオ・パッパーノを 音楽監督として招聘した。 年間73万ポンド超とも報じられる 彼の報酬が批判の的になることもある。 だが、 カウフマンがオテロ役に初挑戦する場として ROHを選んだ理由は パッパーノへの信頼にほかならない と公言しているように、 ROHにもたらす価値は計り知れない。 ROHは現在、 中劇場「リンベリー・スタジオ」の改装を含め、 大規模な工事を実施している。 完了は2018年9月の予定である。 絶えず観光客などで賑わう コベント・ガーデンと劇場を カフェやレストランでつなぎ、 チケットを買わずとも オペラハウスの“魔法”を ちょっぴり体験できるようにするという。 劇場からロンドンの街へ、 ロンドンから全国へ、 全国から世界へ─。 隔てる壁を打ち壊し、 限りなく外へと展開していくのが、 現代の劇場の姿だ。
オペラが好きという人や 見たことがあるという人の 数の割に 一度見れば好きになり また病みつきになるひとは 多いと思う。 伝統あるものとはそういうものだ。 チケットが高いとか そういう 恐ろしく現実的な 理由だけで 見たことがない。 見たいと思わない 状態ができている。 海辺に行けば より美味しい海産物が より安く手に入るように ヨーロッパに行けば より安く より内容の良いものを 経験することができる。 また ウイーンの国立歌劇場などのように 立ち席だったら200円くらいで 鑑賞できるところもある。 立ち席のチケットは 予約も何もなしに 窓口で 「シュティープラッツ ビッテ」 と言えばいいだけだ。 椅子はないが 音楽学生が 楽譜を見ながら鑑賞するための 譜面台はある。 ここでは オペラの魅力と鑑賞方法を ご案内するのが目的ではない。 この記事読んで 思ったのは RHOの運営の仕方に 日本人が 色々と参考にすべき点があるからだ。 もちろん日本でも ネットの使い方など 同じようなことは 始まってるし もっと先進的な方法を とっているところもある。 しかし 外見的な方法論は似ているが その意識はけっこう違っている。 何が違うかということを 一言で言えば PRの方法が 文字媒体や画像媒体に 頼るのではなく 体験そのものを PRの材料に使う考え方だ。 そういう意味での積極的な見方が これだけマルチメディアが 溢れた世の中では必要だと思うし それがまた 新たな文化を作り出して 世の中を活性化して行くものだと思う。 働き方改革と合わせて 必要になってくることは 生産性の向上だ。 それは 良い方向へ進めば 生活を活性化して 幸福度をあげることに繋がる。 楽しいものを 楽しめない 仕組みの 世の中は 楽しくない。
posted by sachi at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | エンタメ
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