2015年02月06日
花森安治伝
花森安治伝 津野海太郎著
「今夏の戦争に、女の人は責任がない。
それなのに、ひどい目にあった。
僕には責任がある。
女の人がしあわせで、
みんなにあったかい家庭であれば、
戦争は起こらなかったと思う。
だから、君の仕事にぼくは協力しよう。(「暮らしの手帖」と半世紀)」
暮らしの手帖の前身「スタイルブック」からの相棒大橋鎮子氏への言葉である。
花森安治(1911〜1978年)
「暮らしの手帖」編集長。ジャーナリスト。戦時中の1941〜45年まで大政翼賛会宣伝部に所属。
「欲しがりません勝つまでは」などの戦時標語の採用(東京在住の男性が小学生の娘の名前で応募した作品を花森が採用したものである。)に関わり、政府の戦意高揚政策に協力。(大和書房・「平和のための名言集」−早乙女勝元編)
豪放な性格、反骨精神と奇矯ながら、真摯な行動でも知られ、数々の逸話を残す。おかっぱ頭やスカート姿を貫いたのもその一端である。
今現在も発行され続けるこの雑誌は、名物の「商品テスト」はなくなったものの
創刊時の志を堅持しながら続いている脅威の雑誌である。
創刊号のあとがき(花森の相棒の大橋鎮子氏による文)は、今の私たちの心にぐっと迫ってくる名文である。
いまだかつてこんなに実直で等身大のあとがきを私は見たことがない。
「この本は、けれども、きつとそんなに売れないだろうと思います。私たちは貧乏ですから、売れないと困りますけれど、それどころか、何十万も、何百万も売れたら、どんなにうれしいだろうと思いますけれど、いまの世の中に、何十万も売れるためには、私たちの、したくないこと、いやなことをしなければならないのです。この雑誌を、はじめるについては、どうすれば売れるかということについて、いろいろのひとにいろいろのことを教えていただきました。私たちには出来ないこと、どうしても、したくないことばかりでした。いいじやないの、数はすくないかも知れないけれど、きつと私たちの、この気持ちをわかつてもらえるひとはある。決して、まけおしみでなく、みんな、こころから、そう思つて作りはじめました。でも、ほんとは、売れなくて、どの号も、どの号も損ばかりしていては、つぶれてしまうでしよう。おねがいします、どうか一冊でも、よけいに、お友だちにも、すすめて下さいませ。(後略)」
やりたくないことをやって
何気ない「暮らし」を戦闘に巻き込んでしまった
花森氏の懺悔と義憤の雑誌がこの「手帖」なんでしょう。
暮しの手帖 2015年 02月号 [雑誌]
一戔五厘の旗
「今夏の戦争に、女の人は責任がない。
それなのに、ひどい目にあった。
僕には責任がある。
女の人がしあわせで、
みんなにあったかい家庭であれば、
戦争は起こらなかったと思う。
だから、君の仕事にぼくは協力しよう。(「暮らしの手帖」と半世紀)」
暮らしの手帖の前身「スタイルブック」からの相棒大橋鎮子氏への言葉である。
花森安治(1911〜1978年)
「暮らしの手帖」編集長。ジャーナリスト。戦時中の1941〜45年まで大政翼賛会宣伝部に所属。
「欲しがりません勝つまでは」などの戦時標語の採用(東京在住の男性が小学生の娘の名前で応募した作品を花森が採用したものである。)に関わり、政府の戦意高揚政策に協力。(大和書房・「平和のための名言集」−早乙女勝元編)
豪放な性格、反骨精神と奇矯ながら、真摯な行動でも知られ、数々の逸話を残す。おかっぱ頭やスカート姿を貫いたのもその一端である。
今現在も発行され続けるこの雑誌は、名物の「商品テスト」はなくなったものの
創刊時の志を堅持しながら続いている脅威の雑誌である。
創刊号のあとがき(花森の相棒の大橋鎮子氏による文)は、今の私たちの心にぐっと迫ってくる名文である。
いまだかつてこんなに実直で等身大のあとがきを私は見たことがない。
「この本は、けれども、きつとそんなに売れないだろうと思います。私たちは貧乏ですから、売れないと困りますけれど、それどころか、何十万も、何百万も売れたら、どんなにうれしいだろうと思いますけれど、いまの世の中に、何十万も売れるためには、私たちの、したくないこと、いやなことをしなければならないのです。この雑誌を、はじめるについては、どうすれば売れるかということについて、いろいろのひとにいろいろのことを教えていただきました。私たちには出来ないこと、どうしても、したくないことばかりでした。いいじやないの、数はすくないかも知れないけれど、きつと私たちの、この気持ちをわかつてもらえるひとはある。決して、まけおしみでなく、みんな、こころから、そう思つて作りはじめました。でも、ほんとは、売れなくて、どの号も、どの号も損ばかりしていては、つぶれてしまうでしよう。おねがいします、どうか一冊でも、よけいに、お友だちにも、すすめて下さいませ。(後略)」
やりたくないことをやって
何気ない「暮らし」を戦闘に巻き込んでしまった
花森氏の懺悔と義憤の雑誌がこの「手帖」なんでしょう。
暮しの手帖 2015年 02月号 [雑誌]
一戔五厘の旗
タグ:#暮らしの手帖#花森安治
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