2020年09月17日
構造素子 樋口恭介 ハヤカワ文庫JA
「現代SF100年の類い稀なる総括」と、派手に煽ってあったので、手に取ってみた。
始めは何がなんやらわからない。そのうち、どうやら多元宇宙っぽい話なのかなと当たりをつけて読み進めるも、メタ小説、記号、哲学、言語とかがちりばめられて、慣れるまでに時間がかかった。
結末に近づくにつれて、親、子、世代、時代、文化、学術などが「言葉」に収束してゆく様は見事。始めに「言葉」ありきで、「言葉」から生成される「物語」は「歴史」や「文化」や「社会」などを生成する。すべての源は「言葉」。読み終わると、その言説に納得してしまいます。
とにかく読みにくくてわかりにくい小説だけど、巻末の補記と梗概を読むとかなりすっきりして、「なるほどー、読み返してみようかな」と思わせる。全体的に巧妙な仕掛けの一冊。読後感はかなり気持ちいいです。
価格:1,122円 |
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