お悩み相談 精神科医のつぶやき アドバイス

こんにちは。
今日はバイトの日。
バイトといっても精神科医としてのバイトです。
内容は施設を回り、往診をしていきます。
これについてもいろいろと書くことあるなあ。
でも今日は今日見た患者さんのことについて
初診の方がおられたのですが、「統合失調症」のかたで昭和60年ころに発症。その後治療されて母と二人暮らしを続けていました。今回は母親の入院ということで施設に入居となったそうです。
聞くと症状は発症の時からそこまでひどくはなかったようですが薬を飲み続けこれまで病院にかかっていたそうです。処方されている薬をみてもそこまで多いわけではなく、
ああ、軽めの方で落ち着いておられるんだなと一安心。現在困っていることもなくこれからよろしくお願いしますということで施設を後にしました。
でも後から考えてみると、母の見舞いにも行ける状態なのに行っていなかったり、症状も落ち着いており、一人暮らしもできないこともなさそうだなと思ってみたり。
見舞いに行ったり、一人暮らしをするのはもちろん個人の自由でそうするのが普通などとは決めつけられませんが、なんとなくこの方はその選択肢すらなかったのではと思いました。
統合失調症の薬、周囲の環境サポートなどは年々進歩しています。
今から30年前と今では治療の流れというか予後はだいぶ違うように思います。
薬は副作用もできるだけ少なくなってきていますし、今はLAI（Long Acting Injection）持効性注射剤といって月に1度だけ注射をするだけで毎日薬を飲む必要のない抗精神病薬もあります。これがうまく導入できたかたは社会復帰を目指し、仕事をしたり、一人暮らしをしたり、さまざまな『人間らしい』生活を送っていけるようになります。また、社会制度もいろいろとできつつあり、障碍者雇用や日々のサポート、デイケア、作業所などがあげられます。
今回であった患者さんもこれだけの環境があればまた今の状況とは変わってたのかなと考えると、医療の進歩はすごいなという気持ちと悲しい気持ちで複雑です。
ただ、これから発症する患者さんは一人でも多く、できるだけ生活していきやすい環境になっていけばいいなと思います。

薬物だけでなく治療をしたいという方はこちら。



注；ブログないの発言は個人の見解です。すべての方に当てはまるわけではありません。

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