2011年01月30日
「ふたつの伝説」
今日は、2つの伝説を比べてみます。
時代や場所が異なるにもかかわらず、共通点が非常に多いというものです。
この手の伝説の類はいろいろありますが、今日はこの2つを。
ただ、ものすごく長くなってしまいました。お時間にゆとりのある方だけどうぞ。
ひとつめのお話です。
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《 復活王オシリス 》
時代:紀元前3500年より前
場所:エジプト
エジプトの王オシリスは、古代エジプト神話に登場する神の一柱。
人々に文明をもたらし、あらゆる有益な技術を教え、食人風習や人身御供(生贄)の風習を廃止させ、人々に初めて「法」というものを教えたとされる。
オシリスは エジプトを離れ、世界を旅することで他国にも同じように文明の恩恵を与えた。
また、野蛮人に対面した際などには、決して力で法を認めさせようとはせず、議論で説得することを好んだ。
しかし、義理の弟セトに率いられた廷臣(ていしん)72名が企てた陰謀によって、殺害される。
その舞台は、エジプトに戻ったオシリスのために開かれた宴の場。
そこには木製の箱が置かれ、この箱にぴったりと入る客には金貸が贈られるというゲームが行われた。
この箱は、並外れて体格のいいオシリスの身体に合わせてつくられていたため、招かれた客が一人ひとり箱に入ってみたところで、サイズが合うはずがない。
オシリスの番となり、そこに横たわった彼が箱から出る前に、共謀者たちが飛びかかり 蓋を閉め、釘を打ち、溶けた鉛を隙間から流し込み、空気が入らないようにした。
箱はナイル河に放り込まれたが、沈むはずの箱は 何故か浮いたまま流れてゆき、遠い海岸に流れ着いた。
オシリスの妻 女神イシスはあらゆる魔法を使うことで知られるが、それを駆使して 箱を探し出し、沼地の秘密の場所に隠した。
しかし 沼地を捜しまわり、それを見つけ出した義理の弟セトは、凶暴な怒りにまかせオシリスの死体を14に切り刻み、あたり一面に撒き散らした。
女神イシスは、あきらめることなく再び夫の救出に向かう。
そして、小さなパピルスの茎でつくった船に乗り、ついに死体の破片を探し出した。
バラバラになっているオシリスの身体をつなぎ合わせ、魔法で生命を吹き込む。
生き返ったオシリスは冥界の王となる・・・
で、こちらが、ふたつめのお話です。
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《 スヌパ・ビラコチャの伝説 》
時代:13世紀
場所:南アメリカのペルー、ボリビア(チチカカ湖周辺)、エクアドルが中心
スヌパ・ビラコチャは、インカ帝国でスペインによる侵略とキリスト教の布教がされるまで信仰されていた神。
当時無秩序だったアンデス地方の人々にいかに生活するかを示し、人々に慈愛や親愛を説いた。
ビラコチャは人々に慈愛だけでなく農業を教え、灌漑水路を造り、トウモロコシの作りかたや家畜の飼い方も教えた。
更に、行く先々で数多の病人を治した医師でもあった。
ある時、ナスカ地方の村で見慣れぬ白人を恐れた村人が石を投げると、不思議な武器を使い、その場を凌いだ。
しかし この時、深手を負ったビラコチャは、共謀者たちによってトトラ草でできた船に乗せられ、チチカカ湖に流されてしまう。
その船は、水流のないはずの湖でありながら、驚くべき早さで消え去り、とどめを刺そうとやってきた共謀者の残党たちは仰天する。
船はそのまま流され、コチャマルカの岸に流れ着く。
そして、そこにあるサグアデーロ川に乗り、海岸アリカまで漂流した・・・
(インディオ達の言い伝えによると、
その時までそこに川はなかった。船が岸に激突したことで川ができたのだとされている。)
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いかがでしょうか。
共通点は、以下のような点です。
・両方とも文明をもたらした
・超能力もあったが、なるべく使うのを避けていた
・両者とも陰謀で殺された
・両者とも船のようなものに入れられた
・両者とも川に流され漂流した
・両者とも最終的に海岸に漂流した
これらを単なる偶然と考えるか。
ビラコチャの伝説が、何らかの形でエジプト神話の伝説を知り、
それを真似て創作した話なのか。。。
ってところに、この伝説の謎と魅力があります。
44は、古代史を探っていると
記録を残す方法として「口伝」が最善と考えられていたように感じます。
例え石碑や書物に記録を残そうとも、
壊されたり、盗まれたり、改ざんされたりすることで、正確な足跡を残すことはできません。
人類が手にしている不変の意思伝達方法「言葉」であれば、
時代とともに「主語」は変わってしまっても、
その考えは変わることなく伝わり、語り継がれていくのではないかと思うのです。
同じ話でも、大筋は同じ内容のまま伝えられていく中で、
文字は それを補う程度のものに過ぎないということです。
現在よりも さらに発達していた巨大な文明の存在もまた、この陰にあるのかもしれません。
となれば、現在の私達は なんと不完全な記録の残し方をしているのでしょう。
太古への想いは膨らむばかりです。
時代や場所が異なるにもかかわらず、共通点が非常に多いというものです。
この手の伝説の類はいろいろありますが、今日はこの2つを。
ただ、ものすごく長くなってしまいました。お時間にゆとりのある方だけどうぞ。
ひとつめのお話です。
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《 復活王オシリス 》
時代:紀元前3500年より前
場所:エジプト
エジプトの王オシリスは、古代エジプト神話に登場する神の一柱。
人々に文明をもたらし、あらゆる有益な技術を教え、食人風習や人身御供(生贄)の風習を廃止させ、人々に初めて「法」というものを教えたとされる。
オシリスは エジプトを離れ、世界を旅することで他国にも同じように文明の恩恵を与えた。
また、野蛮人に対面した際などには、決して力で法を認めさせようとはせず、議論で説得することを好んだ。
しかし、義理の弟セトに率いられた廷臣(ていしん)72名が企てた陰謀によって、殺害される。
その舞台は、エジプトに戻ったオシリスのために開かれた宴の場。
そこには木製の箱が置かれ、この箱にぴったりと入る客には金貸が贈られるというゲームが行われた。
この箱は、並外れて体格のいいオシリスの身体に合わせてつくられていたため、招かれた客が一人ひとり箱に入ってみたところで、サイズが合うはずがない。
オシリスの番となり、そこに横たわった彼が箱から出る前に、共謀者たちが飛びかかり 蓋を閉め、釘を打ち、溶けた鉛を隙間から流し込み、空気が入らないようにした。
箱はナイル河に放り込まれたが、沈むはずの箱は 何故か浮いたまま流れてゆき、遠い海岸に流れ着いた。
オシリスの妻 女神イシスはあらゆる魔法を使うことで知られるが、それを駆使して 箱を探し出し、沼地の秘密の場所に隠した。
しかし 沼地を捜しまわり、それを見つけ出した義理の弟セトは、凶暴な怒りにまかせオシリスの死体を14に切り刻み、あたり一面に撒き散らした。
女神イシスは、あきらめることなく再び夫の救出に向かう。
そして、小さなパピルスの茎でつくった船に乗り、ついに死体の破片を探し出した。
バラバラになっているオシリスの身体をつなぎ合わせ、魔法で生命を吹き込む。
生き返ったオシリスは冥界の王となる・・・
で、こちらが、ふたつめのお話です。
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《 スヌパ・ビラコチャの伝説 》
時代:13世紀
場所:南アメリカのペルー、ボリビア(チチカカ湖周辺)、エクアドルが中心
スヌパ・ビラコチャは、インカ帝国でスペインによる侵略とキリスト教の布教がされるまで信仰されていた神。
当時無秩序だったアンデス地方の人々にいかに生活するかを示し、人々に慈愛や親愛を説いた。
ビラコチャは人々に慈愛だけでなく農業を教え、灌漑水路を造り、トウモロコシの作りかたや家畜の飼い方も教えた。
更に、行く先々で数多の病人を治した医師でもあった。
ある時、ナスカ地方の村で見慣れぬ白人を恐れた村人が石を投げると、不思議な武器を使い、その場を凌いだ。
しかし この時、深手を負ったビラコチャは、共謀者たちによってトトラ草でできた船に乗せられ、チチカカ湖に流されてしまう。
その船は、水流のないはずの湖でありながら、驚くべき早さで消え去り、とどめを刺そうとやってきた共謀者の残党たちは仰天する。
船はそのまま流され、コチャマルカの岸に流れ着く。
そして、そこにあるサグアデーロ川に乗り、海岸アリカまで漂流した・・・
(インディオ達の言い伝えによると、
その時までそこに川はなかった。船が岸に激突したことで川ができたのだとされている。)
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いかがでしょうか。
共通点は、以下のような点です。
・両方とも文明をもたらした
・超能力もあったが、なるべく使うのを避けていた
・両者とも陰謀で殺された
・両者とも船のようなものに入れられた
・両者とも川に流され漂流した
・両者とも最終的に海岸に漂流した
これらを単なる偶然と考えるか。
ビラコチャの伝説が、何らかの形でエジプト神話の伝説を知り、
それを真似て創作した話なのか。。。
ってところに、この伝説の謎と魅力があります。
44は、古代史を探っていると
記録を残す方法として「口伝」が最善と考えられていたように感じます。
例え石碑や書物に記録を残そうとも、
壊されたり、盗まれたり、改ざんされたりすることで、正確な足跡を残すことはできません。
人類が手にしている不変の意思伝達方法「言葉」であれば、
時代とともに「主語」は変わってしまっても、
その考えは変わることなく伝わり、語り継がれていくのではないかと思うのです。
同じ話でも、大筋は同じ内容のまま伝えられていく中で、
文字は それを補う程度のものに過ぎないということです。
現在よりも さらに発達していた巨大な文明の存在もまた、この陰にあるのかもしれません。
となれば、現在の私達は なんと不完全な記録の残し方をしているのでしょう。
太古への想いは膨らむばかりです。
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