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2017年12月20日

ラフ集合からThomas Mannの「魔の山」を考える5

3 まとめ

 周知のように、ラフ集合は、表形式のデータからどのような知識を抽出できるのかを問題にする。例えば、近似の観点から見ると、対象となる概念の肯定的な側面と否定的な側面を持つ知識を抽出することに特徴がある。一方、縮約の立場から見ると、概念の肯定的な側面を表現する最小限の属性集合を求めることに特徴がある。 
 現在作成しているThomas Mannのイロニーに関するDBは、1 「計算文学入門の概要」中でも示した通り、彼のイロニー自体が物事を肯定的にも否定的にも考察することから、ラフ集合によるアプローチは面白いと考えられる。また、ラフ集合の考え方を基とするテキストマイニングについては、Thomas Mannのイロニーが読み取れるような文章を抽出しながら話を進めれば、計算文学において価値のある基礎研究となるであろう。

花村嘉英 (2017)「ラフ集合でThomas Mannの「魔の山」を考える−テキストマイニングのトレーニング」より

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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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