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2022年01月29日

モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正15

 関数実現(Functional Realization: FR)は、タイプaとマルチセットS(有限回繰り返される同一要素を含む集合)を入力都市、関数適用の際、要素の複数買いの使用を禁止する制限およびタイプaのILの適切な表現を条件とする集合が出力となる。* こうして(10)のID規則、それに対するLP規則、素性に関する諸条件、(15)のタイプ割り当ておよびタイプ駆動の翻訳を経て、(11‘‘)の木が認可される。

(11‘‘)  S, lesen‘(ein‘(Buch‘))(ein‘(Mann‘))
         △             
NP, ein‘(Mann‘) VP, lesen‘ (ein‘(Buch‘))
    △       △
Det, ein‘ N1, Mann‘ V [2], lesen‘ NP, ein‘(Buch‘)
    |           △
 Ein N[1], Mann‘ liest Det, ein‘ N1, Buch‘
       

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正」より

モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正14

 統語カテゴリーに意味タイプを割り当てた後で、PTQのように、ここに翻訳規則は設定されない。まず、カテゴリーCの語彙項目(α)の翻訳が(16)の部分木により認可される。*

(16) C,α‘
     ↓
     α

 次に、Cラベルの接点の娘の翻訳を結ぶ際に、(16)のタイプ駆動の方式が採用されている。*

(17)α∈ME(a, b), β∈ME a, →α(β)∈ME b

 (17)は、α、βがそれぞれ意味タイプ<a, b>、<a>を持つILの有意表現ならば、α(β)は、bタイプの有意表現となることを示している。例えば、(15)のS、NP、VPタイプのILへの翻訳は、(18)となる。
 
(18)
1 FR:(S, {NP‘, VP‘}m)={ VP‘(NP)}
2 FR:(NP, {Det‘, N‘}m)={ Det‘(N)}
3 FR:(VP, {V[2]‘, NP‘}m)={ V[2]‘(NP)}

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正」より

モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正13

3.2 タイプと翻訳

 PTQは、統語カテゴリーと意味タイプ(ILの有意表現の意味上のクラス分け)間に準同形または構成性の写像を持つが、GPSGでは、双方をつなぐ関数タイプを準同形としては扱わない。これは、1.2.1にも示したように、GPSGでは、統語カテゴリーが意味構造の反映のない素性値指定の場合からなる複合体と見なされているからである。関数タイプによる(10)の統語カテゴリーに対するタイプ割り当ては、(15)になる。但し、複合タイプには、簡略化のためにカテゴリーラベルを用い、Sは、文カテゴリーを、Sは、内包タイプを表している。

(15)
1 TYP(S):
2 TYP(NP): , t>>
3 TYP(N1): , t>>
4 TYP(Det):< N1, NP>
5 TYP(VP):

 ここでは、Dowty et al (1981)に従い、PTQで採用されている個体概念(s, e)の代わりに単に個体(e)を当てている。表現のタイプ付与は、モデル内でのそのタイプの可能な支持対象(D)の決定につながる。指示対象は、モデル理論のプリミティブな要素(個体(e), 真理値(t), 内包または指標(s))からなり、例えば、D(指標(s)(可能世界(i)と時点(j)の対)の集合からtタイプの集合への関数と読む)は、命題を、Dは、個体の集合を、D<s, , t>>は、個体の集合の属性を表す。

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正」より

モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正12

3  意味論

3.1 GPSGの意味論

 モデル理論の枠組みで優位表現に対し指示対象を回帰的に定義していくGPSGの意味論は、Montague Grammar 同様、真理条件意味論および可能性世界意味論を備えている。しかし、若干の修正は見られ、以下でその点を考察していく。

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正」より

2022年01月28日

モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正11

 CAPは、部分木の娘同士の素性間を受け持つ。例えば、部分木の文末のうち、因数であるカテゴリーの素性を関数であるカテゴリーに引き渡す役割を果たす。* この種のCAPが作用して、(14)のNP素性がVPに伝わる。HFCは、部分木の語彙的主要部となる娘カテゴリーにその親カテゴリーが待つ主要部素性を受け渡していく。*
 HFCは、部分木の語彙的主要部となる娘カテゴリーにその親カテゴリーが持つ主要部素性を受け渡していく。

(11‘) S[N, -][V, +][V[FIN]]
         
NP[N, +][V, -][PLU, -][PER, 3] VP[N, -][V, +][V[FIN]][PLU, -]
             
Det N1 [N, +][V, -][PLU, -][PER, 3] V[N, -][V, +][V[FIN]][PLU, -] NP
 Ein Mann       liest         ein Buch
N[N, +][V, -][PLU, -][PER, 3]

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正」より

モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正10

2.2.4 FFP、CAP、HFC

 これらは、木の中での素性の分布を決定する普遍的な制約である。FFPは、部分木の親カテゴリーの足素性がその娘の足素性のユニフィケーションに等しいことを示してくれる。*足素性は、NP[NULL, +]/NPというカテゴリーのSLASH素性や関係代名詞の素性値指定[WH[WHMOR R]]などに現れる。NULLは、空のX2を導く(13)のメタ規則により認可される。

(13)スラッシュ終端メタ規則1(Slash Termination)
   X→W, X2
    ⇩
X→W, X2[NULL, +]

(14) S
                  △
NP[PLU, -] → VP
△ liest ein Buch
NP[PLU, -] S
ein Mann △
NP[WH[WHMOR R]] S/NP
| △
N[WH[WHMOR R]] NP[PLU, -] →VP/NP
dessen die Welt △
NP[NULL, +]/NP V
e bedarf

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正」より

モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正9

2.2.3 メタ規則

 メタ規則は、基本的なID規則だけでは表現できない、ID規則からID規則への関係(受身、等値、スラッシュな)を扱う。その適用範囲は、語彙的ID規則に限られている。また、この規則は、回帰的には使われない。その数を有限とすることで文脈自由の性質を保つのである。*

(12)主語-助動詞倒置メタ規則(Subject-Aux Inversion: SAI)
V2[[SUBJ, -]] →W
V2[[INV, +], [SUBJ, +]] →W, NP

(12)のメタ規則は、(10)4のようなID規則から文カテゴリーSを平らなS構造へと展開する。Wは、ID規則の中の任意のカテゴリーを表す変数である。また、素性値指定[INV, +]は、[VFORM[FIN]](時制)を素性値指定[SUBJ, +]は、[N, -], [V, +], [BAR, 2]を含意している。*

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正」より

モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正8

 ID規則は、語彙的と非語彙的に分かれる。前者には、H[n](nは整数)という語彙的主要部が導入され、SUBCATとBARの素性があるが、後者に下位カテゴリー化はない。

(10)
1 S→X2, H[SUBJ, -]
2 NP→Det, N1
3 N1→H[1]
4 VP→H[2], NP[ACC]

 (10)の規則は、LP規則(Det

モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正7

2.2.2 ID規則とLP規則

 親とそれが直接支配する娘とからのみ構成される部分木は、ID規則により写し出される。ID規則の担う情報は、親と娘の直接支配関係だけで、部分木の構成要素間の線的順序は、LP規則に委ねられる。こうした情報の二分化は、ドイツ語などに比べてより語順が自由な言語の場合*、従来のPSGでは、一度に一つの規則が述べられるだけで、句構造を全て列挙しなければならなくなるゆえに取られた措置である。* 

(9) PSG GPSG
A→BCD ID規則  LP規則
B→BDC A→B, C, D B

モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正6

素性間には、その一定の依存性を表したFCRがある。*

(7)
FCR1 [BAR, 0] =[N]&[V]&[SUBCAT]
FCR2 [BAR, 1] ⊃~[SUBCAT]
FCR3 [BAR, 2] ⊃~[SUBCAT]
FCR4 [NULL, +] ⊃[SLASH]

 FCR1は、あるカテゴリーが[BAR, 0](語彙的主要部)となるには、N、V、SUBCATに関する素性の指定がある時に限るという意味である。FCR2とFCR3は、語彙的主要部の当社が下位カテゴリー化をせず、SUBCATの値を持つことはないといっている。また、FCR4により、NULLから足素性値SLASHが導かれる。NULLは、FFPの説明の際、再び取り上げる。
 素性と素性値が取る通常値を指定するためにFSDがある。*

(8)FSD1 ~[NULL]
FSD2 ~[NOM]
FSD3 [INV, -]

 FSD1とFSD2は、素性[NULL]と素性値[NOM]が有標であることを、FSD3は、限られた場合に等値が起こることを表している。

花村嘉英(2022)「モンタギュー文法からGPSGへ-イディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正」より
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花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书-面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)-シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎-主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』-魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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