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2024年09月11日

フォーマットのシフト5ーモンターギュ文法のシュガーリング

 照応表現の指示は、その表現が現れる文脈内で一意に規定されなければならない。そこでRantaは、代名詞を擬似的に範疇化され る表現と見なし、照応の依存領域に関する生成方法を問題とした。 文脈内で形成される命題は、変項が文脈において自由に出現することを認めている。つまり、タイプ理論と同様に命題の力によって、さらに命 題を形成するために、照応の依存関係や前提が所与の命題の真理値を予め仮定することができると考えている。
 文は、命題ではなく形式の判断である。個々の命題は、先行する文脈に依存し、テキストは、形式の文脈として表現される。その際、文に対する証明は、一般的に定項ではなく、変項として生成される。直感主義論理は、テキストのダイナミズムを処理するためにこのような方法を採用している。

花村嘉英(2005)「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より

フォーマットのシフト4ーモンターギュ文法のシュガーリング

 直感主義論理に基づいた簡単なドイツ語の文法を考察する。レキシコンは、基本表現に範疇を割り当てていく。範疇文法は、直感主義のタイ プ理論を形式化する規則である。そしてシュガーリングの規則は、形式化された表現がドイツ語として認知される語彙の連鎖を返す。
 Ranta の文法とMontague文法の違いは、前者がシュガーリングと意味の説明の基礎となる表現を形式化しているにすぎない点である。Montague文法は、 (i) 基本表現を分析榭に結合させ、(ii) 分析樹を単純な文にシュガーリン グするといった二重構造となっている。もちろん、Ranta の文法も意味と形式間のパラレルな関係を要求する。
 まず、多くのドイツ語の表現がタイプ理論の意味で直接レキシコンに導入される。範疇化が存在論の意味を持っているため、各表現に対してタイプ理論の意味合いを作ることができる。また、ドイツ語の量化表現(jederや不定冠詞)の範疇化は排除する。これらの語彙が狽ニΠによる表現を示すことができないため、レキシコンにjederを登録してから、“jeder Mann”を“x”と置換してシュガーリングを掛けていく。 しかし、jeder が強い意味を持つと、Πのシュガーリングに問題が生じる。 jederが弱い意味を持つと、一意な意味がでる。その場合、jederに対する形式表現はΠとなり、不定冠詞は狽ノなる。こうしたシュガーリングの規則の特徴は、擬似的な範疇化によって表現される。擬似的に範疇化された表現を持つと、パージングの規則は、一定の方法でそれを処理することができる。
 レキシコンを考察しよう。普通名詞、固有名詞、動詞および形容詞が範疇化される。語彙登録は、シュガーリングのパターンを示している。レキシコンを持つことによって、名詞の集合や動詞の関数が定義され、上述した煤AΠ、pair、λ、p、qおよびapとい った演算子もそこに含まれる。さらに、SとNという演算子が導入されます。これらは、タイプ理論の命題表現を変数として取り、文章と名詞を返す。
 シュガーリング規則のシステムを見ていこう。対象は、ドイツ語の断片である。[E/F]とは、表現Eを表現Fで置換することを意味する。{E, F,G} は、E、F、G が選択できることを示している。補助規則は、まず、単数の表現を再帰代名詞に戻し、主要な変数としてマークを付け、照応表現の範囲に設定する。次に、SとNの演算子を規定する際、規則(Q)、(C)、 (R) が重要になる。規則(Q)は、直感主義のタイプ理論の量化表現をドイツ語の文章にシュガーリングする規則である。規則(C)は、狽ニΠを限量詞というよりも連結詞と見なして、結合と条件 のシュガーリングを処理する。規則(R)は、表現が、関係代名詞によつ て修飾された名詞にシュガーリングが掛かることを説明している。最後 に形態操作の説明である。VF動詞(3人称単数現在)、名詞の目的格 ACCと所有格GEN、不定冠詞INDEF、人称代名詞PRON、関係代名詞 REL、再帰代名詞REFLが、シュガーリングの規則のための形態操作とし て導入される。

花村嘉英(2005)「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より

フォーマットのシフト3ーモンターギュ文法のシュガーリング

 テキスト内のダイナミズムを処理するために、直感 主義論理を導入する。直感主義論理は、その基礎にタイプ理論を持っていますが、ここでは、多形(polymorphic) の夕イプ理論を採用する。また、直感主義論理における範疇文法は、 演算子を規定する役割がある。文法構造は、 Montague の PTQ とは異なり、シュガーリングと意味の説明のための形式化が存在するだけである。対象表現は、単文、条件文 そしてテキストになる。
 ここでは、直感主義論理に基づいた簡単なドイツ語の文法を導入する。 直観主義は、論理の系統の中で様相論理などと共に多値論理のグループに属し、やはり量化の表現に真理値を割り当てる上で古典的な二値論理 では不十分であるという立場を取る。また、直感主義を用いた自然言語に関する証明は、コンピュータのプログラムにも通じる方法であり、 Ranta は、Montague の PTQ を土台とした英語の断片を提示している。ここで導入するドイツ語の文法は、レキシコン、範疇文法そして シュガーリングを構成要素とする。
 まず前提として、テキストのダイナミズムを直接反映するために、 Ranta は、Matin-Löf のタイプ理論を取り入れた。 Matin-Löf の動機は、統語論と意味論を数学によって明確にするという立場から、 直感主義の数学とプログラミング間をつなぐために(例えば、argument とinput、valueとoutput、x=eとx:=e、関数の合成とS1;S2、条件の定義と if B then S1 else S2、回帰の定義とwhile B do Sなど)、直感主義のタイプ理論を考案した。
 直感主義のタイプ理論は、命題の表現を持っています。まず複合命題を考えてみよう。これは、領域Aの中で解釈される述語計算の(ヨX)と(Vx) に相応する。但し、タイプ理論が述語計算に比べてより形式的となっている点に違いがある。それは、タイプ理論が、命題や判断(または主張)を明確にするためである。命題は、判断の一部ですが、その逆になることはない。ここで、A: propは、 命題Aが適格な式であるという判断を意味している。a: Aは、Aが真で あるという判断である。つまり、aはAの証明になる。こうした判断は、 例えば、疑問文などに生じることがある。
 演算子狽ニΠは、ドイツ語の文章を形式化する場合、述語計算の(ヨX) や(Vx)と同じ方法で使用される。つまり、直感主義タイプ理論の量化表現を含む命題をドイツ語の文章へシュガーリングする規則と原子的な命題のシュガ ーリングの規則により、派生できるようになる。
 しかし、自然言語を処理するためにタイプ理論をさらに豊かにする必要がある。そのように定義すれば、一般化された関数のタイプ(x:α)ß の中で判断ができるようになる。判断は、変項に対するタイプ割り当ての中で行われる。そして、仮定の連鎖は、例えば、判断Jが文脈の中で実行される場合、変項は、自由にJの中に現れることになる。また、判断Jが文脈の中で行われ、定項が変項と置換 される場合、判断が文脈に依存することはない。
 断片的なドイツ語の文法を記述する準備として、最後に演算子狽ニΠ をさらに高いレベルで考察する。それは、これらの演算子がドイツ語の レキシコンに含まれるからである。狽ヘ、変数として集合と集合上で定義される命題関数を取り命題を返す。集合の統語表記は、(A,B)となる。また、演算子pairを使用して(A,B)の要素が形成される場合は、 要素a: AとB(a)の証明が必要になる。次に要素Aと証明B(p(c))から c:(A,B)を生成する投射の演算子pとqが導入される。これらの演算子は、規範的なものではない。Πは狽ニ同じタイプの演算子ですが、 範疇の割り当てから単形の規則を導くために、単形のλI抽象化とap演算子が挿入される。

花村嘉英(2005)「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より

フォーマットのシフト2ーモンターギュ文法のシュガーリング

 Montague文法の意義は、表現力のある形式論およびそのような形式論と英語の断片との関係になります。つまり、分析樹の定義とシュガーリングによる英語の断片の表記が問題になるが、内包論理への翻訳は、構成性(フレーゲ原理)を基に進んでいく。但し、本書は、テキストとの マージを念頭に入れていることもあり、それほど強く構成性を意識することはない。
 次に、しばしばダイナミックMontague文法と評される論理文法 (discourse representation theory (DRT)と dynamic predicate loeic (DPL))が登場する。これらの対象表現は、例えば条件文になるが、どうして Montague文法の手法ではこうした表現の分析に可能性がないのかが議論される。例えば、不定冠詞を含んでいる分析樹が内包論理に翻訳されると、存在限量詞は含みますが普遍限量詞は含まない形に翻訳される。これは、形式化が派生上構成性の問題を含んでいるためである。つまり、Montague文法の手法を用いても普遍限量詞への翻訳は説明できない。そこで、Kamp は、Montague文法とは異なる構成性を持った談話表示理論を開発し、述語計算への翻訳により意味が決まる中間レベルの談話表示を提案した。Groenendijk と Stokliof は、その流れにのって、テキストまで含めた文法構造を表記するために、ダイナミックな述語論理(DPL) と呼ばれる形式論を採用した。 統語論についていうと、DPL は DRTより論理定項の数が多く、意味論は、モデルも用語の解釈も同じだが、割り当て関数の扱いに違いがある。 つまり、DPLでは、割り当て関数が全体の関数として機能し、部分的な割り当てにも対応できるようになっている。

花村嘉英(2005)「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より

フォーマットのシフト1ーモンターギュ文法のシュガーリング

 通常、人文科学で言語学を研究する場合、人文の柱とTの逆さの認知科学の柱を並べて調節していく。また、認知科学の柱には、文系と理系の分析方法が両方含まれている。
 文学作品における作者の推論を考察するには、まず、読んで思うという自然言語の情報があるため、それを作家の執筆脳とマージさせて、何れかの理系の手法に通じるようにしなければならない。ここでは、マージの手法として論理計算を想定しているため、自然言語と論理言語間にある翻訳技法を紹介する。例えば、 Richard Montagueは、PTQという論文の中で樹形図から論理式への翻訳と自然言語の表現を導く「シュガーリング」という方法を採用した。このステップを踏むことにより、テキストのダイナミズムを論理言語によって処理する方法が次第につかめてくる。同時に、Thomas Mannのイロニーが少しずつ論理文法とマージしていく。
 ここでは作品を通して作者の推論を考察するために、自然言語を論理言語で表現する(またはその逆の)方法を考えていく。有名な例は、 MontagueがPTQの中で採用した翻訳技法シュガーリングである。この方法は、コンピュータ言語学でいうバージングの逆の処理になる。
 Montagueは、一階の述語論理によってすベての真理条件が記述できない点を克服するために、可能世界により指示対象が決まる内包論理へと述語計算を拡張した。確かにこの方法は生成的である。まず、分析樹を定義し、次にそれを英語の文へ変換する。つまり、ここで一義的な構造が壊されていくことになる。この処理は、コンピュータ用語に相応してシュガーリングと呼ばれている。Prolog (宣言型言語で、何が計算されるのかが問題となる自然言語処理システム)などによるパージングは、この逆の処理である。
 ここでは、Montague文法とパージングによる言語処理の関係およびそれらの相互作用を見ていく。こうしたステップを踏むことにより、Thomas Mannの推論自体がより具体的になっていくからである。次節と組み合わせて、テキストのダ イナミズムを論理言語で処理する方法およびその発展の様子も簡単に説明する。

花村嘉英(2005)「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より

トーマス・マンの「魔の山」の多変量解析−クラスタ分析と主成分10

6 まとめ 

 データベースの数字を用いてクラスタ解析から得られた特徴を場面ごとに平均、標準偏差、中央値、四分位範囲と考察し、それぞれ何が主成分なのか説明できている。そのため、この小論の分析方法は、既存の研究とも照合ができ、統計による文学分析が研究をさらに濃いものにしてくれている。

【参考文献】
片野善夫 ほすぴ162号 知っているようで知らない五感のしくみ−視覚 日本成人病予防協会 2018
加藤剛 多変量解析超入門 技術評論社 2013
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から 森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 華東理工大学出版社 2018 
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
Thomas Mann Der Zauberberg Fischer 1986

トーマス・マンの「魔の山」の多変量解析−クラスタ分析と主成分9

【カラム】
A平均1.6 標準偏差0.26 中央値1.5 四分位範囲1
B平均1.1 標準偏差0.3 中央値1.5 四分位範囲1
C平均1.6 標準偏差0.49 中央値1.5 四分位範囲1
D平均1.5 標準偏差0.5 中央値1.5 四分位範囲1
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.35 やや低い、標準偏差0.28低い、中央値1.5普通、四分位範囲1普通
CD 平均1.55 普通、標準偏差0.5普通、中央値1.5普通、四分位範1普通
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
Bの数字が他と比べて低いため、トーマス・マンは、クロコフスキーの人当たりについて詳述している。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 6.5、視覚+それ以外、直示、新情報、未解決 → 場面の始まりは未解決が多い。
A 5.5、視覚+それ以外、直示、新情報、解決 → カストルプ同志になる。 
B 4.5、視覚+それ以外、直示、旧情報、解決 → クロコフスキーがからかう。
C 5.5、視覚+それ以外、直示、旧情報、未解決 → 疑いの表明ではない。
D 7、視覚以外、直示、新情報、未解決 → 人間と健康が調和するか疑った。
E 6、視覚以外、直示、旧情報、未解決 → 浸潤が関心ではない。
F 7、視覚以外、比喩、新情報、解決 → 二義的である。
G 7、視覚以外、直示、新情報、未解決 → カタルは三義的。
H 4、視覚、直示、旧情報、解決 → 普通の回診。
I 5、視覚、直示、新情報、解決 → カストルプ一定の平時地にすっかり慣れる。
【場面の全体】
 視覚情報は6割であり、脳に届く通常の五感の入力信号の割合よりも少ないため、視覚意外の情報、特に聴覚も問題解決に役立っている。

花村嘉英(2019)「トーマス・マンの「魔の山」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

トーマス・マンの「魔の山」の多変量解析−クラスタ分析と主成分8

◆場面2  クロコフスキーの回診
"Sie scheinen überrascht, mich zu sehen, Herr Castorp", hatte er mit baritonaler Milde, schleppend, unbedingt etwa geziert und mit einem exotischen Gaumen-r gesprochen, das er jedoch nicht rollte, sondern durch ein nur einmaliges Anschlagen der Zunge gleich hinter den oberen Vorderzähnen erzeugte; A1+2B1C2D2

"ich erfülle aber lediglich eine angenehme Pflicht, wenn ich bei Ihnen nun auch nach dem Rechten sehe. Ihr verhältnis zu uns ist in eine neue Phase getreten, über Nacht ist aus dem Gaste ein Kamerad geworden..." (Das Wort "Kamerad" hatte Hans Castorp etwas geängstigt.)  A1+2B1C2D1

"Wer hätte es gedacht!" hatte Dr. Krokowski kameradschaftlich gescherzt... "Wer häte es gedacht an dem Abend, als ich Sie zuerst begrüßen durft und Sie meiner irrigen Auffassung - damals war sie irrig - mit der Erklärung begegneten, Sie seien vollkommen gesund." A1+2B1C1D1

Ich glaube, ich drückte damals etwas wie einen Zweifel aus, aber, ich versichere Sie, ich meinte es nicht so!
 A1+2B1C1D2

Ich will mich nicht scharfsichtiger hinstellen, als ich bin, ich dachte damals an keine feuchte Stelle, ich meinte es anders, allgemeiner, philosophischer, ich verlautbarte meinen Zweifel daran, daß 'Mensch' und 'vollkommene Gesundheit' überhaupt Reimworte seien. A2B1C2D2

Und auch heute noch, auch nach dem Verlauf Ihrer Untersuchung, kann ich, wie ich nun einmal bin, und im Unterschied von meinem verstehten Chef, diese feuchte Stelle da"- und er hatte mit der Fingerspitze leicht Hans Castorps Schulter berührt - " nicht als im Vordergrunde des Interesses stehend erachten.
A2B1C1D2

Sie ist für mich eine sekundäre Erscheinung...Das Organische ist immer sekundär..." Hans Castorp war zusammengezuckt. A2B22D1

"Und also ist Ihr Katarrh in meine Augen eine Erscheinung dritter Ordnung", hatte Dr. Krokowski sehr leicht hinzugefügt. "Wie steht es damit? Die Bettruhe wird in dieser Hinsicht gewiß rasch das Ihre tun. Was haben Sie heute gemessen?"  A2B12D2

Und von da an hatte der Besuch des Assistenten den Charakter einer harmlosen Kontrollvisite getragen, wie er ihn denn auch in den folgenden Tagen und Wochen beständigt trug:  A1B1C1D1

Dr. Krokowski kam dreiviertel vier Uhr oder auch schon etwas früher über den Balkon herein, begrüßte den Liegenden auf mannhaft heitere Art, stellte die einfachsten ärztlichen Fragen, leitete auch wohl ein kurzes, persönlicher bestimmtes Geplauder ein, scherzte kameradschaftlich, - und wenn alles dies eines Anfluges von Bedenklichkeit nicht entbehrte, so gewöhnt man sich endlich auch an das Bedenkliche, falls es in seinen Grenzen bleibt, und Hans Castorp fand bald nichts mehr gegen das regelmäßige Erscheinen Dr. Krokowski's zu erinnern, das nun einmal zum stehehnden Normaltage gehörte und die Stunde der großen Liegekur apostrophierte. A1B1C2D1

花村嘉英(2019)「トーマス・マンの「魔の山」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

トーマス・マンの「魔の山」の多変量解析−クラスタ分析と主成分7

【カラム】
A平均1.8 標準偏差0.45 中央値2.0 四分位範囲2.0
B平均1.1 標準偏差0.32 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均1.5 標準偏差0.47 中央値1.5 四分位範囲1.0
D平均1.6 標準偏差0.55 中央値2.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.45普通、標準偏差0.3 低い、中央値1.5普通、四分位範囲1.5高い
CD 平均1.55 普通、標準偏差0.5普通、中央値1.75高い、四分位範囲1.0低い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
CとDのバラツキが大きいということは、新情報及び問題未解決が多いことから、「クロコフスキーの講演」の場面でテンポよく情報が流れているが、問題帰結の因子は次の場面に持ち越しになっている。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 7、視覚、直示、新情報、未解決 → 場面の始まりは未解決が多い。
A 5、視覚以外、直示、新情報、解決 → 聴いて愛の力を確認している。
B 7、視覚以外、直示、旧情報、解決 → 専門のテーマなので当然である。
C 5、視覚以外、直示、旧情報、未解決 → 勝手違いの感じ。
D 7、視覚以外、直示、新情報、未解決 → 真昼間にする話題なのだろうか。
E 7、視覚+視覚以外、直示、新情報、未解決 → 歌うように話す。
F 6、視覚以外、比喩、旧情報、未解決 → 色々な意味で愛を語る。
G 6、視覚以外、直示、旧情報、解決 → ハンス・カストルプは愛など口にしない。
H 5、視覚以外、直示、旧情報、未解決 → 愛が水気の多いミルクみたいに聞える。
I 5、視覚以外、直示、新情報、解決 → クロコフスキーは妄想を打破し啓蒙に乗り出す。
【場面の全体】
 全体では、視覚情報が1割で脳に届く通常の五感の入力信号の割合よりもかなり低いため、視覚意外、特に聴覚の情報が問題解決に役立っている。

花村嘉英(2019)「トーマス・マンの「魔の山」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

トーマス・マンの「魔の山」の多変量解析−クラスタ分析と主成分6

◆場面1 クロコフスキーの講演

Was redete denn Dr. Krokowski? In welchem Gedankengange bewegte er sich? Hans Castorp nahm seinen Verstand zusammen, um aufs laufend zu kommen, was ihm nicht gleich gelang, da er den Anfang nicht gehört und beim Nachdenken über Frau Chauchats schlaffen Rücken Weiteres versäumt hatte. A1B1C2D2

Es handelte sich um eine Macht... jene Macht... jurzum, es war die Macht der Liebe, um die es sich handelte. Selbstverständlich!  A2B1C2D1

Das Thema lag ja im Generaltitel des Vortragszyklus, und wovon sollte Dr. Krokowski denn auch sonst wohl sprechen, da dies nun einmal sein Gebiet war. A2B1C1D1

Etwas wunderlich war es ja, auf einmal ein Kolleg über die Liebe zu hören, während sonst immer nur von Dingen wie dem Übersetzungsgetriebe im Schriffbau die Rede gewesen war. A2B1C1D2

Dr. Krokowski erörterte ihn in einer gemischten Ausdrucksweise, in zugleich petischem und gelehrtem Stile, rücksichtslos wissenschaftlich, dabei aber gesanghaft schwingenden Tones, was den jungen Hans Castorp etwas unordentlich anmutete, obgleich gerade dies der Grund sein mochte, weshalb die Damen so hitzige Wangen hatten und die Herren ihre Ohren schüttelten. A1+2B1C2D2

Insondeheit gebrauchte der Redner das Wort "Liebe" beständig in einem leise schwankenden Sinn, so daß man niemals recht wußte, woran man damit war und ob es Frommes oder Leidenschaftlich-Fleischliches bedeutete, - was ein leichtes Gefühl von Seekrankheit erzeugte. A2B2C1D2

Nie in seinem Leben hatte Hans Castorp diese Wort so oft hintereinander aussprechen hören, wie hier und heute, ja wenn er nachdachte, so schien ihm, daß er selbst es noch niemals ausgesprochen oder aus fremdem Munde vernommen habe. A2B1C1D1

Das mochte ein Irrtum sein, - jedenfalls fand er nicht, daß so häufige Wiederholung dem Worte zusatten käme. Im Gegenteil, diese schlüpfrigen anderthalb Silben mit dem Zungen-, dem Lippenlaut und dem dünnen Vokal in der Mitte wurden ihm auf die Dauer recht widerwärtig, eine Vorstellung verband sich für ihn damit wie von gewässerter Milch, - etwas Weißbläulichem, Labberigem, zumal im Verglich mit all dem Kräftigen, was Dr. Krokowski genaugenommen darüber zum besten gab. A2B1C1D2

Denn soviel ward deutlich, daß man starke Stücke sagen konnte, ohne die Leute aus dem Saale zu treiben, wenn man es anfing wie er. Keineswegs begnügte er sich damit, allgemein bekannte, doch gemeinhin in Schweigen gehüllte Dinge mit einer Art von berauschendem Takt zur Sprache zu bringen; er zerstörte Illusionen, er gab unerbittlich der Erkenntnis die Ehre, er ließ keinen Raum für empfingsamen Glauben an die Würde des Silberhaares und die Engelsreinheit des zarten Kindes.  A2B1C2D1

花村嘉英(2019)「トーマス・マンの「魔の山」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
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プロフィール
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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