(掲載)2023年7月12日
分譲マンション管理組合において一概に「コミュニティー費」といっても、その徴収が有効かどうかは、その目的や使途によってケース・バイ・ケースだと言えるようです。
日本経済新聞の「ホーム法務Q&A」に7月11日次のように掲載されており、管理組合では、これを参考にしてマンション居住者間のコミュニティ形成を促進し、マンションの安全と快適な生活を維持するために取り組みましょう。
『 実際に、管理規約でコミュニティー費の徴収を規定し、それが主に区分所有者及び居住者のみが参加できるハロウィーンパーティーに充てられているマンションにおいて、これに不満を持った住民が、コミュニティーからの脱退とコミュニティー費の支払い義務がないことの確認等を求めて裁判を起こした事案がありました。
この事案で裁判所はまず、マンションの管理組合は建物、その敷地及び付属施設の管理又は使用に関する事項について規約で定めることが可能であることを確認しました。そして、本件パーティーでマンションの住人が互いに交流を持つことにより、一定の防犯効果を期待し、マンションの資産価値低下を防止するとの考え方には一定の合理性があると指摘しました。
その上で、アルコールをはじめとする飲食物に係る費用についてコミュニティー費から支出しておらず、本件パーティーへの支出をもって一部の住人らによる懇親会に支出するものと同視することもできないため、コミュニティー費は管理規約で定めることができる事項であると判断し、原告にはコミュニティー費を支払う義務があると結論づけました。
ただ、この裁判の事案では、コミュニティー費が管理費とは別に管理規約に規定されており、その使途もハロウィーンパーティーに限定されていました。もし仮にコミュニティー費がパーティー参加者に提供される飲食物などにも使われていたのであれば、裁判の結論は異なっていたかもしれません。』
(出典)日本経済新聞 2023/7/11 コミュニティー費の支払い義務、規約や目的・使途で判断
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