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2019年08月27日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <7 預ける>
預ける
梨央の実家は東京でも指折りの高級住宅街だった。大きな家で夫婦と姉の三人の暮らしだ。夕方の4時ごろ家に着いた。家では義母がびっくりしながらも喜んでくれた。「多分寄ってくれないと思ってたの。浜野さんでも皆さん待ちかねでしょうから。」と言いながら満面の笑みだった。義父が慌てふためいて帰ってきた。「おお、元気そうだな。」とこちらも興奮気味だ。
「まあ、ゆっくりして と言いたいが浜野のお宅は大丈夫か?こちらが先でも問題ないのか?」と聞かれて「実は浜野へは戻らないでこのまま神戸へ帰ろうかと思います。」というと表情が変わって「じゃあ梨央はどうするんだ?梨央が一人で浜野のお宅に行くのか?」と聞いてくる。
「実は梨央さんを土曜日まで預かっていただけないでしょうか?」と言い終わらないうちに義父は立ち上がっていた。「梨央はうちの娘だ。預かってくれなんぞといわれなくてもうちで引き受ける。気に入らなければはっきり言えばいいんだ。いい加減な口の利き方しやがって。」とわめき散らした。
「いや違います。落ち着いてください。」「なんで落ち着けるんだ。」ここに仲裁に入ったのは義母だった。「落ち着いて。あなた落ち着いて。とにかく何がいけなかったのか言っていただかないと。」といった。
梨央が「私ね今別居するなんてできないのよ。」というと、義父と義母はまるでコントのように同時に動作が止まった。
「気に入らないという話ではないんです。梨央さんに神戸に来てもらいたいんです。梨央さんを浜野の家に一人で置くのは酷な話です。あの家では梨央さんの神経が持ちません。神戸の私の部屋の片づけを済ませたら迎えに来ます。神戸の部屋は寝に帰っていた部屋でして、何もありません。少し片づけないと梨央さんが寝るスペースもないんです。夫として妻の梨央を預かってくれませんか?というお話をしています。」というと、義父と義母は座りなおして「どういうことだ?君はご実家と関係が悪いのか?」と聞かれた。
「私ひとりが先妻の子供です。今の母は後妻で妹達はその子供です。お恥ずかしい話ですが私は両親とは不仲です。両親に梨央を預けるわけにはいかないんです。」
「君のご家庭の事情は聞いている。しかし、そんなことは今頃いう話じゃないじゃないか。もっと最初に決めておくことじゃないか。」
「いや、あの、それは私の至らないところでして、その、自分がこういう風に思うことになるとは思ってもいませんでして。」
「君、何を言ってるのかわからん。」
梨央が「パパあのね、私が離れたくないってお願いしたの。」というと、「お前は黙っていなさい!」と一喝した。
「つまり、妻と別れて暮らすのが辛いということが分かっていませんでして。」
「もう少し単刀直入にいえんのかね」
「つまり、梨央と別れて暮らすのが嫌だということです。このまま神戸へ連れて帰りたいが、明日出勤なので梨央を全く知らない場所で一人ぼっちにすることはできないということです。」
「そういってくれるとわかりやすい。確かに全く知らない場所に一人ぼっちにするのは心配だ。気を使ってくれてありがとう。」といわれたときには、汗だくになっていた。
「もう籍が入っていることだし、呼び捨てにすることは、まあ構わんが」と変なコメントもついてきた。隣で義母が泣いていた。梨央を見ると真っ赤な顔をして大汗をかいていた。
続く
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梨央の実家は東京でも指折りの高級住宅街だった。大きな家で夫婦と姉の三人の暮らしだ。夕方の4時ごろ家に着いた。家では義母がびっくりしながらも喜んでくれた。「多分寄ってくれないと思ってたの。浜野さんでも皆さん待ちかねでしょうから。」と言いながら満面の笑みだった。義父が慌てふためいて帰ってきた。「おお、元気そうだな。」とこちらも興奮気味だ。
「まあ、ゆっくりして と言いたいが浜野のお宅は大丈夫か?こちらが先でも問題ないのか?」と聞かれて「実は浜野へは戻らないでこのまま神戸へ帰ろうかと思います。」というと表情が変わって「じゃあ梨央はどうするんだ?梨央が一人で浜野のお宅に行くのか?」と聞いてくる。
「実は梨央さんを土曜日まで預かっていただけないでしょうか?」と言い終わらないうちに義父は立ち上がっていた。「梨央はうちの娘だ。預かってくれなんぞといわれなくてもうちで引き受ける。気に入らなければはっきり言えばいいんだ。いい加減な口の利き方しやがって。」とわめき散らした。
「いや違います。落ち着いてください。」「なんで落ち着けるんだ。」ここに仲裁に入ったのは義母だった。「落ち着いて。あなた落ち着いて。とにかく何がいけなかったのか言っていただかないと。」といった。
梨央が「私ね今別居するなんてできないのよ。」というと、義父と義母はまるでコントのように同時に動作が止まった。
「気に入らないという話ではないんです。梨央さんに神戸に来てもらいたいんです。梨央さんを浜野の家に一人で置くのは酷な話です。あの家では梨央さんの神経が持ちません。神戸の私の部屋の片づけを済ませたら迎えに来ます。神戸の部屋は寝に帰っていた部屋でして、何もありません。少し片づけないと梨央さんが寝るスペースもないんです。夫として妻の梨央を預かってくれませんか?というお話をしています。」というと、義父と義母は座りなおして「どういうことだ?君はご実家と関係が悪いのか?」と聞かれた。
「私ひとりが先妻の子供です。今の母は後妻で妹達はその子供です。お恥ずかしい話ですが私は両親とは不仲です。両親に梨央を預けるわけにはいかないんです。」
「君のご家庭の事情は聞いている。しかし、そんなことは今頃いう話じゃないじゃないか。もっと最初に決めておくことじゃないか。」
「いや、あの、それは私の至らないところでして、その、自分がこういう風に思うことになるとは思ってもいませんでして。」
「君、何を言ってるのかわからん。」
梨央が「パパあのね、私が離れたくないってお願いしたの。」というと、「お前は黙っていなさい!」と一喝した。
「つまり、妻と別れて暮らすのが辛いということが分かっていませんでして。」
「もう少し単刀直入にいえんのかね」
「つまり、梨央と別れて暮らすのが嫌だということです。このまま神戸へ連れて帰りたいが、明日出勤なので梨央を全く知らない場所で一人ぼっちにすることはできないということです。」
「そういってくれるとわかりやすい。確かに全く知らない場所に一人ぼっちにするのは心配だ。気を使ってくれてありがとう。」といわれたときには、汗だくになっていた。
「もう籍が入っていることだし、呼び捨てにすることは、まあ構わんが」と変なコメントもついてきた。隣で義母が泣いていた。梨央を見ると真っ赤な顔をして大汗をかいていた。
続く
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