ソコロフなら もうここにはおらんよ
物騒なモノを出すな
酒がマズくなるだろうが
あんた 例の侵入者だろう?
さすがは資本主義の犬
人間の礼儀を知らん
お前は?
私を知らんのか?
それでよく工作員がつとまるな
まあいい
私はアレクサンドル・レオノヴィッチ・
グラーニン
一言で言って 偉大な男だ
我が連邦最高の兵器開発者であり
栄光あるグラーニン設計局の局長でもある
レーニン勲章だ
最も優秀な労働者へ
社会主義労働英雄の称号と共に
贈られる最高の栄誉
私の輝かしい実績に対して授与されたものだ
偉大な共産主義社会建設のため
私は大戦中から様々な兵器を作り出してきた
下劣なナチどもを追い散らすことが
できたのも 私のおかげと言っていい
今 お前らがSS-1Cと呼んで
恐れおののいている
道路移動型弾道ミサイルシステムの
基礎を作ったのも私なのだぞ
随分酔ってるな
酔おうとしてるだけだ
今はコイツを飲る以外にすることがない
奴のせいだ
奴?
ソコロフだよ
あんたの目当ても奴なんだろう
奴のせいで私は全権を奪われた
私の研究もお払い箱だ 見ろ!
画期的な移動核ミサイルシステム…
二足歩行戦車
二足歩行戦車?
歩く戦車 ロボットだよ
猿から人への進化における
ミッシングリンクの話を知ってるか?
この技術は歩兵と兵器をつなぐ歯車になる
まさに金属の歯車
兵器は革新的な進化を遂げる…
偉大な金属の歯車なのだ!
金属の歯車…
だが私はタダでは引かんぞ
泣き寝入りはゴメンだ
私はこの資料をアメリカの友人に
送ってやるのだ
何だと?
ここの連中は後悔する
そして自らが標的となったとき 身をもって
私の偉大さを思い知ることになるのだ!
そう 私の研究はソコロフの下品な
シャゴホッドとは志が違う!
戦車にロケットエンジンなぞつけて
どうする!?
それでソコロフは
そもそも戦車に付加すべきなのは
ロケットなどではない!
…これを見てみろ
いい靴だ
違う!
脚だ!! どこへでも移動できる
脚なのだ!!
人類が直立歩行したようにな!
それこそが真の革新だ!
あんたもそう思うだろうが!?
だが上層部の馬鹿どもはソコロフを選んだ
そのソコロフはどこに?
私の研究は廃止
『賢者の遺産』もソコロフに回された
何の話だ?
『賢者の遺産』だ
あんた『賢者達』を知らんのか?
大佐はその莫大な『遺産』を引き継いだのだ
ヴォルギンの親父が『賢者達』の
マネーロンダリングを担当していた
奴の親父は大戦後のどさくさに紛れて
それらの『遺産』をいただいた
ヴォルギンはそれを違法に相続したんだ
軍の予算など取るに足らん
この設計局のあらゆる兵器開発費は
全てその大佐の懐から出ている
ここで生まれた数々の兵器が遺伝子となって
やがて人類の戦争の形を変えていくだろう!
私の研究資金もその『遺産』から出ていた
…出ていたんだ
金も人員も全てシャゴホッドに回され
いよいよ明日最終試験だ
ソコロフがヴォルギンの本拠地
大要塞グロズニィグラードの兵器廠で
最終調整している間 私はここで
敵のスパイ相手に酒を飲むしかない
…ソコロフはそこに移されたのか?
ああ
シャゴホッドもそこにあるんだな?
そうだ
おい?
…グロズニィグラードへ行く気か?
あの要塞は文字通り鉄壁だ
だろうな
死ぬぞ
そのつもりはない
待て!
なんだ?
人の話を聞け
手を貸してやろうというんだよ
なんだって?
誉めてくれた礼だ
俺が何を褒めた?
靴だ
タチアナに貰ったこの靴を
誉めてくれた礼だよ
要塞への侵入ルートを教えてやる
…そのかわり 必ず奴を連れ出し
シャゴホッドを破壊してくれ
グロズニィグラードの下には
地下壕が張り巡らされている
それをうまく使えば内部へ潜り込めるはずだ
山岳地帯に行くといい
地下壕への入り口がある
こいつをやろう
あんた
ここへ来るのに倉庫を通っただろう
ああ
そこに鍵がかかった扉があったはずだ
覚えているか?
…
これを使えば その扉が開けられる
その向こうは広大な密林だ
その一番奥から山岳地帯へ登ることが出来る
一度倉庫まで戻れ
それから鍵のかかった扉を開けて
先へ進むんだ
わかったか?
なぜ俺に協力を?
私はソコロフのように亡命を考えた事など
一度もない
私は――
この国が好きだ
この土地を愛しておる
他で暮らす事など考えられん
私はこれからもこの偉大な祖国の
英雄でいたいのだ
隅へ追いやられ朽ち果てていくなど
耐えられん…
もう夜明けだ
急ぐといい
私はもう少しここで飲ませてもらう
資本主義に!
オタコン、あの二本脚のシロモノだが、これまでのメタルギアに
比べるとかなり雰囲気が違うな。
うん。だけど厳密に言うと、そいつらはメタルギアじゃないんだ。
メタルギアじゃない? どういうことだ。
君がこれまで対峙してきたメタルギアは、基本的に核戦力の中核として
整備されるべく開発、製造されてきた機体ばかりだった。
例外的にRAYという存在があったけど、あれだって元々は、世界各国に
出現したメタルギア亜種を撃退するために産み出された、対メタルギア兵器だ。
核戦略の枠組みの中で、その重みをはかられる存在であることに変わりはない。
だけど、冷戦の終結から既に四半世紀。世界は激化する地域紛争や
非対称戦をくぐり抜けて、いまや戦争経済の時代に突入している。
メタルギアという兵器の存在意義、概念も時代に合わせて変化、
いや進化したんだ。
核攻撃プラットフォームとしての機能に加え、小回りがきいて、市街戦闘に
大量投入可能、歩兵に随伴・協働できる能力を持つメタルギアが求められ、
それに対する回答として生まれたのが月光だ。
月光の場合、派生型や任務内容によっては、核兵器の搭載オプションを
必ずしも備えない。だから正確にはメタルギアじゃないんだ。
過去の、核攻撃を主任務としたメタルが全廃されたというわけじゃないけど、
今の世界で二足歩行兵器と言えば月光タイプを指すと思って間違いない。
サイズが小さくなっても、こいつは獰猛な猛獣だ。
決して軽くみちゃダメだよ。
ああ、侮るつもりはない。
Mk.Uは、君のミッション遂行をサポートする為に用意した。
武器・アイテムの運搬、偵察、君のコンディションチェック、
マップデータの提供、周囲の戦況分析など、多岐に渡る
サポート能力を持たせてある。
カムフラージュの設定、装備の変更もメニュー画面で実行可能だ。
メニュー画面へ入るには、STARTボタンを押せばいい。
このメタルギアMk.Uには、ずっとスネークを追走させる。
必要な時はいつでも呼び出してくれ。
ところでオタコン、何故わざわざメタルギアなんて名前を?
名前をメタルギアにしたのは、REXを開発した過去を忘れないためだ。
だけどMk.Uは大量破壊兵器じゃない。
君の活動をサポートする遠隔機動端末だよ。
テクノロジーをうまく使えば有効利用できるって事を証明したい。
きっと半世紀も経てばMk.Uみたいな相棒が社会を豊かにしているはずだ。
今じゃ、スナイパーの観測手の3割はロボットだ。
アシモフのSFではないけど、『鋼鉄都市』の時代が実現したんだ。
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