2008年08月19日
福島の旅館
これも友達の話。
たっくん(仮名)が子供の頃
家族四人で福島のある旅館に泊まったときのこと。
深夜にたっくんは目を覚ましました。
眠れないままぼーっと天井を眺めていると
何やら白いもわっとしたものが飛んでいるのをみつけました。
「何だありゃ」
そう思っていると白もわはどんどん数を増していきます。
白もわは最初無秩序に飛び回っていましたが
だんだん円を描くように回りはじめ
そのうち円の中に何かが見えてきました。
その何かはこちらに近づいているらしく
どんどん大きくなってきます。
よく見ると人のようです。
左手には何か持っています。
「やばい、殺される」
そう思ったたっくん、逃げようとしましたが
お決まりの金縛りでまったく動けません。
人影はどんどん近づいてきます。
それは焼け焦げた着物を身につけ
長い髪を振り乱した女の人でした。
女の人はどんどん近づいてきます。
左手に持っているものも見えてきました。
それは首のない赤ん坊の体でした。
パニくって逃げようともがきましたが
体は動きません。
女の人はどんどん近づいてきます。
とうとう女の人の顔が目の前まで迫ってきました。
「もうだめだ」
そのとき、たっくんの足に激痛が走りました。
その瞬間、金縛りが解け飛び起きると
隣で寝ていた弟が
「あ、悪ぃ。トイレ」
といって部屋を出て行ったそうです。
残ったたっくん、あたりを見回しましたが
すでに女の人の姿も白もわもありませんでした。
たっくんは弟に足を踏まれたことで
難を逃れたのでした。
翌朝。旅館の人にこの話をしたところ
「あぁ。この辺りは戊辰戦争のときの被害が酷かったからねぇ」
と、こともなげに言われたそうです。
おしまい。
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