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episode〜桜の木の下で〜
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2008年08月11日
涸沢キャンプ場で
そろそろ怖そうな話のネタも尽きてきたので
友達の話をひとつ。

高校生の頃、山岳部だった中島くん(仮名)は
夏山合宿で北アルプスの穂高連峰に行くことになりました。

計画では最初にいっきに涸沢キャンプ場まで登り
そこをベースに奥穂高、北穂高へアタックというものでした。


初日、涸沢キャンプ場に着きテントを張って食事をとるころには
あたりは既に真っ暗になっていたそうです。

食事の後始末をし、水場からテントまでの坂道を
ヘッドランプの灯りだけをたよりに友達と歩いていたときのこと。

突然、前を歩いていたはずの友達の姿が忽然と
消えてしまったのだそうです。

驚いてあたりにランプをかざしてみたのですが
友達の姿はどこにもありません。

そんなとき中島くんの脳裏にこんな話が浮かんできました。

涸沢キャンプ場に登る途中で
暗くなってしまい難儀をしていたところ
ふと前を歩いている人に気づき
その人をたよりにロッジまでたどり着くことができた。
お礼を言おうとロッジの人に尋ねると

「あぁ、それ=幽霊よく出るんですよ」

とか

霧の中、ザイテングラードを歩いていたら
足音だけの幽霊がロッジまで誘導してくれた。

とか。

もしかして、さっきまで一緒に歩いていた
友達だと思っていたのも幽霊困った

そう考えていると中島くんの足元から
さも苦しそうな声が聞こえてきたのだそうです。

「ちょっと、手ぇかしてくれぇぇ」

見ると、友達が足を踏み外して
坂下の石垣にひっかかっていましたとさ笑顔



何を隠そう、この足を踏み外した友達というのは
私のことです落ち込み

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