2016年09月20日
本って何のために読むの?と道を見失いかけていた僕に一筋の光を照らした「星野リゾートの教科書」中沢 康彦
このブログのメインコンテンツは今のところ書評です。
ブログの目指すところは「人生を素敵に面白く生きるためのツールとして、自分自身の心と体に響いたものを広く紹介していく」ことですが、同時に読書記録としての用途も兼ねて、書評を多めに書かさせていただいています。
そこそこ多くの本を読んでいるのではないかと思っていますが、本を読みブログを書き、仕事をして人生を生きている中でとある疑問を常に抱えています。
「本を読んだことのうち実生活で使えていることが相当少ない」
「自分は一体、何のために本を読んでいるのか」
興味があって本を読むわけですが、例えば会社経営やマネジメントに関する本を読んで知識を得たとしても、会社経営者でない以上は本の内容を大々的に活用できる機会なんてありません。
しまいには、
本を読む意味なんてないんじゃないかなあ。
何ならこのブログももう止めてしまってもいいんじゃないかなあ。
なんてことも考えるようになっていました。
そんな時に書店で手に取ったのがこの「星野リゾートの教科書」で、内容的に、本について、本との付き合い方について、大いに悩んでいる私にはぴったりの本でした。
これはぜひ紹介したい!ということで、記事を書かせていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
衝撃を受けた導入部
課題に直面するたびに、私は教科書を探し、読み、解決する方法を考えてきた。それは今も変わらない。星野リゾートの経営は「教科書通り」である。
星野リゾートの星野社長については、NHKの「プロフェッショナル」で見て以来何度もテレビや書籍で目にすることがあり、私の中では「旅館再生の達人」「高級旅館ブームの火付け役」といった認識をしていました。
更に言えば、「星野社長独特の視点・考えで会社を動かし、その実行力で次々と成功を収めてきた」という天才的な人物だと考えていました。
「型破りな人物」というイメージで見ていました。
ところが、星野社長自身はそれを「教科書通り」の経営であるというのです。
それが本当だとすると、型破りではない。むしろ型通り・・・。私の認識はガツンと大きく揺さぶられました。
それは一体どういうことなんだろう?
具体的には?
気が付けばこの本の世界に一気に引き込まれていました。
教科書としての”本の使い方”
星野社長の考えは先ほど引用した部分に端的に表されています。
それを補強する根拠として、星野社長はこのように語っています。
私が参考にする教科書の多くは、米国のビジネススクールで教える教授陣が書いたものだ。彼らは「ビジネスを科学する」という思想の下、数多くの企業を対象に手間と時間をかけて事例を調査し、そこから”法則”を見つけ出し、理論として体系化している。その内容は学問的に証明され、一定条件のもとでの正しさはお墨付きなのだ。
改めて言われるとその通りです。
でもそれは本当なんだろうか?というような、考えがいつもどこかにありました。
今までの自分の読書体験
読んだ時は「なるほど」「面白い」「勉強になった」と感じます。
印象深い本を読んだときは興奮した状態のようになり、一時的に「何かをしよう・・・!」というやる気のようなモノが自分の中に湧いてきたような感覚を覚えます。
・・・で、それで終わり。
というのが自分の読書体験の大半だったように思います。
名著として名前が知られている本、今年一番売れている本、有名なあの人の本。
そんな本を読み、自分の知らない知識を得て、自分の中の何かを変えられるのではないか・・・期待を抱きながら、それを満たすことはほとんど出来ていませんでした。
そして、
本を読む意味なんてないんじゃないかなあ。
何ならこのブログももう止めてしまってもいいんじゃないかなあ。
と考えるようになっていたのは最初に書いたとおりです。
それを星野社長は、本をビジネスの教科書として読み込み(読書)、課題を解決するための手法として用いてビジネスを動かしているという(結果)・・・。
自分が読書を通じてしたかった事は、正にこれだと思いました。
読書という行為は無駄なものなんかではなく、自分自身を前へ進めるための道具であり、武器になるんだと。
じゃあなぜ星野さんにとって読書は意味のあるものになり、自分にとっては意味の薄いものになっているのだろうか?と考えました。
その答えも実はこの本の中に書かれていたんです。
本への向き合い方
まず第一に、本を読むという行為の目的がどこにあるのかです。
再び引用します。
課題に直面するたびに、私は教科書を探し、読み、解決する方法を考えてきた。
この箇所から、読書をするにあたっての目的意識が明確化されているということが分かります。
星野社長は「課題を解決するための手段とするため」に本を読むのです。
一方、自分は、「何となく面白そうな」「ためになりそうな」本を読んでいるに過ぎないと感じました。
次に、読書を行うにあたっての具体的な方法論です。
自分は「手当たり次第に本を読む」、ただそれだけでした。
読書論的な本を読んだこともありますが、実際に取り組むにはちょっと難しい(手間がかかると感じる・・・)ものも多く、結果的には「ただ読んで印象的だったことをメモするだけ」という状態でした。
あとはこのブログに記事を書くくらい・・・ですね。
これについても星野社長は明確な方法論を示しています。
紹介すると長くなるので見出しのみ引用しますと、
”ステップ1 本を探す 書店に1冊しかないような古典的な本ほど役に立つ”
”ステップ2 読む 1行ずつ理解し、分からない部分を残さず、何度でも読む”
”ステップ3 実践する 理論をつまみ食いしないで、100%教科書通りにやってみる”
という事です。
特にステップ3に凄みを感じました。言うのは簡単ですが、これ、本当に難しい事だと思います。勉強方法とかなら分かりますが、星野さんは経営者ですから、それはつまり会社の動きを「100%教科書通りにやってみる」という事で、相当な信頼を置かなければ出来ません。
相当な信頼を・・・あ、そうか、つまりそれをステップ1,ステップ2で確かめているのかもしれません。
どれだけ本に対して真摯に向き合っているのかを痛感させられます。
でもそれは逆に言えば、それだけ本から得るものが大きいということを星野社長は知っているという事です。
まとめると、
・明確な課題・問題意識を持つ
・それを解決するための教科書として相応しい本を探す
・その内容を全力で理解し、徹底的に実践する
これが星野さんが行い、そして自分自身が出来ていなかった「本への向き合い方」です。
まとめ
本を「教科書として使う」という考え方は、自分にとって衝撃的な内容でした。
そして具体的な方法論も端的に書かれている。
この本を読むことで、私は、
・読書という行為の可能性を知る。
・本を自分自身の糧に変えていくために必要な事柄を知る。
という2つの大きな気付きを得ることが出来ました。
この本に出会えて良かったです。
また今日から、本を読み、ブログを更新していく意欲が湧き上がってきました。
頑張ります!(勝手に・・・)
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