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2016年08月08日

歴史を知らなければ今を読み解くことはできないんですよ?と当たり前の事を強く実感させる本でした。「世界史の極意」佐藤 優

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またもや元外交官シリーズ、といいますか佐藤優さんの本です。
我ながら好きだな・・・と思ってしまいますが、面白いのでしょうがない。

佐藤さんの本はどこか読後に刺激物の残滓があるというか、ふらっと寄った書店で目に入った時に「また読みたい」という欲がふっと湧いてくるんですよね。
いやいや不思議。

どんな本だった?


「世界史をアナロジカルに読み解く」ということをテーマに、三章構成で書かれた本でした。
アナロジカルとは、”類比的な視点で捉える”という意味です。
アナロジー的(類比的)な思考を養うことで、世界の動きを捉える力を身に付けていくことが必要であると説き、そのための過去の事例として「帝国主義」「民族問題」「宗教紛争」についての解説をしていくという本になっています。

過去の歴史にこういう事があった。
今を分析すると、その時の状況に似ている。
だとすると、次はこういう様に動いていくと考えられる。


まあ、平たく言うとこんな感じでしょうか。
こういう風に見ていく目を養い、また、類比的思考の元になる基礎知識を増やしていきましょうという事です。

ただ、どちらかというと”類比的思考の元になる基礎知識”の方が分量的には多いですね。
宗教、民族に関する記述・分析はさすが佐藤さんと唸らせるもの。
佐藤氏の本を読むこと10冊くらいにはなったでしょうか、私のような歴史オンチにも出てくる単語の意味が少しずつ分かるようになってきて、面白く読めるようになってきました。

読むことで得られたもの


民族とか、宗教とか、普段何気なく使っている言葉ですが、その成り立ちや言葉の背景にあるものの片鱗が少し理解できたように思いました。
佐藤氏は”宗教改革とウクライナ危機はつながっている”の箇所では、宗教改革から派生した地域内の宗教の違いが今に残り、そのことがウクライナ危機の一つの背景になっていると指摘していました。
事件の表面だけを見るのではなく、その背景にどのような問題があるのかを分析していくことで、事件が意味する本来の姿が見えてくるという事をありありと見せられた気がしました。

文系の世界も実は奥が深い、と今更ながら痛感させられます。
文系の学問というのは、実は、人間そのものの存在を追求していく学問なのかもしれないと感じました。

こんな時にまた読みたい


第三章の”宗教紛争を読み解く極意”は、イスラム教、キリスト教の歴史上のポイントを分かりやすくまとめていると感じました。
この本は手元に置いておき、何度か読み返して理解しておきたいと思います。

私のように「高校生以来歴史の勉強はしていない」というような人には、歴史の勉強の本来の意味を突きつけてくる、割と威力のある、そんな本でした。
タグ:佐藤優
posted by 霧島もとみ at 2016年08月08日 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本:教養
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他人との距離感をいつも遠く感じながら生きてきました。高校の体育祭のフィナーレでは、肩を抱き合って大はしゃぎする光景に「何でこんなに盛り上がれるんだろう・・・?」と全く共感できませんでした。共感できない自分が理解できず、いつも悩んでいます。そんな私でも面白いと思うことはこの世界に一杯あります。それが私の生きる糧でした。面白いことが増えていけば、よりたくさんの人が楽しく生きられるはず。そんな世界を夢見ています。
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