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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2023年05月18日

親になるとは、子を持つとは? 「漂う子」 丸山正樹



「デフ・ヴァイス」を書いた著者の

第二作。前作に続いてこれも

深く良質な小説。



テーマは、「居所不明児童」。

住民票などには記載されているのに

居場所が分からず、就学が確認できない

小中学生のことだ。

親が多額債務を抱えて一緒に逃げている、

母が夫のDVから逃れ、身を隠すなどが

要因のひとつとして挙げられる。

いずれにしろ、親の犠牲になった子どもたちだ。



この小説を読んで僕は初めて知ったが、

そんな子が全国に1500人以上もいるらしい。



物語は、一人の少女が失踪したことを知り、

主人公二村直(32歳・カメラマン)が、

彼女を探すはめになったところから始まる。

直に捜索を頼んだのは恋人の祥子(35歳・教師)。

失踪した少女は祥子の教え子だった。

捜索の途中でどんどん明らかになっていく、

虐待や棄児、援助交際などの社会の闇。



果たして教え子は見つかるのか。

家族とは、親になるとはどういうことかを、

何度も問いかけてくる物語だ。



主人公の直のキャラクターがあまりにも

自分に近いので、僕はお尻がむずむずし

落ち着かなくった。

彼は子どもを持つことはひどく恐れている。



「自分の子供をー自分が作り出した分身の

ような存在を、この世に生み出すっていう

ことが怖いんだ。

本当にそんなことをしていいのかって、

そんな神様みたいなことを俺なんかが

してもいいのかってー」



結婚を、子供を持つことを選ばなかった

僕としては、彼のこの台詞が誰よりもよくわかる、

気がする。

いくつになっても大人になれない、バカな自分を

突き付けられたが、この小説は最後の最後に

少しだけ希望の光を魅せてくれる。



丸山正樹。

いやー、素晴らしい作家です。





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