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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2023年05月18日

人情小説の傑作 「小説浅草案内」 半村良

何度読み返しても、著者の

名人芸に唸る。

半村良が終の棲家で選んだ

浅草を舞台に、実際に体験

したであろう、人との繋がり、

エピソードなどを虚実混ぜながら

粋な日本料理を食べたときの

ような味わいをもたらせてくれる逸品。

とにかく文章がいい。

あちらこちらに名文あり。

少し長くなるけど、ひきます。



だいたい浅草というものは少し歩きにくい町田。

参詣人や観光客が集まってくるのだから、みんな

気をゆるめて歩き方も遅くなる。

左右に並んだ商店を丹念にのぞき込み、

まっすぐには歩かない。

でも土地の人たちは、そういう人々のおかげで

繁昌しているのだという意識をしっかり持っていて、

いくら心急いでも決して人の肩に触れるような

歩き方はしないのだ。



下駄をはくたび死んだおふくろや親類の顔を

思い出すのは、足の裏から子供の自分がよみがえ

ってくるせいだろう。

下駄をはいて浅草をうろつく私は、ひと足ごとに

過去を踏んづけて歩いているわけだ。



浅草に吹く風と、私の揺れかたがよく合っている。

この町の人たちの気のきかせかたが、私のと

まるで同じなのだ。

押しつけがましく相手をいたわることをしない。

遠慮していることさえ相手に気づかせまいとする。



しかし、それでもここは徹底した庶民の町なのだ。

私の中には、この年になってもまだ、依然として、

金持ちぶる奴を毛嫌いする精神が残っている。

いい格好をしたがる奴をさげすむ心がある。

それは戦前の下町の、基本的なものだった。

晴れ着を着せられたときの恥ずかしさ、スカして

いる奴という最悪の軽蔑の言葉。



……もうキリがないのでこの辺で止めますが、

素敵なおっさん、おじさん、大人たちに会いたく

なったら、半村良の人情小説を開くといいですよ。


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