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高坂圭
フリーランスの放送作家・脚本家、コピーライター として活動し、33年目を迎えました。 最近は、物語プランナーとして、ストーリーの力で ビジネスをアップするクリエイターとしても活動しています。
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2023年05月17日

くせになる短編集 「駐車場のねこ」 嶋津輝

昔読んだ遠藤周作のエッセイに、

いつも少しだけうんこを便器に

つけていく男の話があった。

遠藤はそれを実に面白い奴だと

感心していた。

小さな変人、を認めるかどうか、

それは受け止める側の問題だ。

小説好きは、基本、世間への違和感と

多少の変態性を持っているはずだから、

受け止める側だと僕は思う。



この話に頷いてくれた方におすすめなのが、

本作だ。

とにかく出てくる人たちが少し変態でけなげで

可愛い。

たとえば、

幸田文の「流れる」に憧れる家政婦の妹と

赤ちゃんの頃に指を失くしてラブホテルに

勤める妹が織りなす日々を描いた「姉といもうと」



クリーニング店に自分の全ての服、下着まで

出そうとする女と、店主たちの淡い交流話、

「カシさん」



安いが量も信じられないくらいに少ない

弁当を売る、愛想のない店の親娘。

そんな女のそっけない態度に快感を覚える男。

「米屋の母娘」



などなど、ちょっと変てこりんでなぜか

読後あったかくなる短編が7編詰まった話。

何度も読み返したくなる作品だ。


駐車場のねこ (文春文庫) [ 嶋津 輝 ]

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