2023年08月01日
黒人ヴァイオリニストが描いた小説。 「バイオリン狂騒曲」フレンダン・スロウカム
著者が現役のヴァイオリニストなので
音楽の描写はもちろん、コンテストの
様子などもリアリティがあり、一気読み。
主人公レイは、黒人のヴァイオリニスト。
子どもの頃からきちんと音楽教育を受けて
いない彼は、天賦の才能と必死の努力で
国際コンクールの優勝候補にまで上り詰めた。
しかし大会を目前に、ルイの楽器は盗まれる。
失くしたのは、名器ストラディヴァリウス。
なぜ貧しい家庭に育った彼がそんな楽器を
持っていたのか。
物語は、バイオリンを取り返そうと奔走する
ルイの姿を縦糸に、彼の愛器がたどった歴史や
いまも根強く残る黒人差別などの横糸を織り込んで
展開していく。
ミステリーであり、音楽小説であり、
黒人青年のサクセスストーリーの魅力も
併せ持った本作。
読後、クラシックが聞きたくなる一冊です。
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