2012年03月14日
成長する「バーゼルワールド」とスイス時計業界
成長する「バーゼルワールド」とスイス時計業界
今年もバーゼルで、3月8日から世界最大の時計宝石見本市「バーゼルワールド(Basel World)」が開催されている。スイスの時計業界からは456ものブランドが出展し、大きな存在感を出している。
同見本市には41カ国から1815の出展者が訪れ、最新の技術とデザインを披露している。
「バーゼルワールドは時計宝石産業の全分野を網羅している唯一の見本市だ」とバーゼルワールドのマネージングディレクター、シルヴィ・リッター氏は3月8日の公式オープニングセレモニーで強調した。また、今年で40回目を迎えた豪華な見本市を「業界全体における、品質、多様性、そして何よりも継続性の代名詞」と特徴づける。
スイス産業界のダイヤモンド
同セレモニーではヨハン・シュナイダー・アマン経済相も挨拶をし、「身につけている時計を見ればその人の『人となり』がある程度分かるように、時計産業はスイスの看板となっている」と述べた。そして、時計産業を「スイス産業界の樹冠に輝くダイヤモンド」に例えた。
2011年は確かにスイスの時計製造企業が大きく伸びた年だった。輸出総額は前年比19.2%増の193億フラン(約1兆7300億円)。輸出の55%はアジア向けで、中国(前年比48.7%増)、香港(同28%増)、シンガポール(同28%増)の市場は特に大きく伸びた。
微細にわたる配慮
日本におけるスイス時計の人気も根強い。2011年の輸出額は前年比12.6%増で、輸出先としては7番目だ。
日本を大切な顧客とするスイスの時計製造会社の一つに「センチュリー(Century)」がある。ベルン州ニダウ(Nidau)に本社を置く同社は今年日本進出20周年を迎える。
「日本人は、微細にわたる配慮を行う我が社の製品を高く評価してくれている。小さく、宝石として身につけられる時計が日本で好評を得た」と、マーケティング部長のナタリー・コッテラト氏は言う。
日本に続き、センチュリーは今、中国でも大きく伸びている。そのあとを追うのは地元スイスの市場だ。
日本の高級時計志向
スイス時計協会FH東京センターの所長を務める園城(おんじょう)真紀氏も毎年バーゼルワールドを訪れている。今年の印象を「まだすべて見ていないが、新素材を使ったり、さまざまな素材を組み合わせている時計が多い感じがする。また、少し前は黒一色という印象だったが、ブルーやオレンジなどの色を使った時計も多く見られる」と語る。
スイス時計協会の調べによると、日本では現在、特に30代男性の間で高級時計志向が高まっている。2012年2月にインターネットで行ったアンケート調査の結果では、「欲しい腕時計の購入予算」を30万〜50万円未満とした人がこの年代の男性に特に多く見られた。園城氏はこの傾向の理由の一つを次のように説明する。「若いときにスイス時計のことを知った人が、年齢とともに購買力を備えて買えるようになったのだろう。ローンを組んででも手に入れたいと思う人も多い」
また、震災後、消費動向に変化が表れたとも言う。「20代、30代の若い人たちは、いつ何が起こるか分からないから、今まで購入を躊躇(ちゅうちょ)していた高額品も思い切って購入しようと思うようになったようだ」
さらに、ブランド、時計関連のメディア、小売店などの業界関係者がスイス時計の良さを伝え続けていること、リーマンショック後、製品の価格設定が現実的なレベルに戻ったことなども、現在の傾向を後押ししていると園城氏は言う。「若い人にも手が届きやすい価格帯の時計ブランドがさらに魅力的な商品の提供を行っている。機械式でも手ごろな価格のモデルが増え、職場で使えるモデルも多くなった」
今年もバーゼルで、3月8日から世界最大の時計宝石見本市「バーゼルワールド(Basel World)」が開催されている。スイスの時計業界からは456ものブランドが出展し、大きな存在感を出している。
同見本市には41カ国から1815の出展者が訪れ、最新の技術とデザインを披露している。
「バーゼルワールドは時計宝石産業の全分野を網羅している唯一の見本市だ」とバーゼルワールドのマネージングディレクター、シルヴィ・リッター氏は3月8日の公式オープニングセレモニーで強調した。また、今年で40回目を迎えた豪華な見本市を「業界全体における、品質、多様性、そして何よりも継続性の代名詞」と特徴づける。
スイス産業界のダイヤモンド
同セレモニーではヨハン・シュナイダー・アマン経済相も挨拶をし、「身につけている時計を見ればその人の『人となり』がある程度分かるように、時計産業はスイスの看板となっている」と述べた。そして、時計産業を「スイス産業界の樹冠に輝くダイヤモンド」に例えた。
2011年は確かにスイスの時計製造企業が大きく伸びた年だった。輸出総額は前年比19.2%増の193億フラン(約1兆7300億円)。輸出の55%はアジア向けで、中国(前年比48.7%増)、香港(同28%増)、シンガポール(同28%増)の市場は特に大きく伸びた。
微細にわたる配慮
日本におけるスイス時計の人気も根強い。2011年の輸出額は前年比12.6%増で、輸出先としては7番目だ。
日本を大切な顧客とするスイスの時計製造会社の一つに「センチュリー(Century)」がある。ベルン州ニダウ(Nidau)に本社を置く同社は今年日本進出20周年を迎える。
「日本人は、微細にわたる配慮を行う我が社の製品を高く評価してくれている。小さく、宝石として身につけられる時計が日本で好評を得た」と、マーケティング部長のナタリー・コッテラト氏は言う。
日本に続き、センチュリーは今、中国でも大きく伸びている。そのあとを追うのは地元スイスの市場だ。
日本の高級時計志向
スイス時計協会FH東京センターの所長を務める園城(おんじょう)真紀氏も毎年バーゼルワールドを訪れている。今年の印象を「まだすべて見ていないが、新素材を使ったり、さまざまな素材を組み合わせている時計が多い感じがする。また、少し前は黒一色という印象だったが、ブルーやオレンジなどの色を使った時計も多く見られる」と語る。
スイス時計協会の調べによると、日本では現在、特に30代男性の間で高級時計志向が高まっている。2012年2月にインターネットで行ったアンケート調査の結果では、「欲しい腕時計の購入予算」を30万〜50万円未満とした人がこの年代の男性に特に多く見られた。園城氏はこの傾向の理由の一つを次のように説明する。「若いときにスイス時計のことを知った人が、年齢とともに購買力を備えて買えるようになったのだろう。ローンを組んででも手に入れたいと思う人も多い」
また、震災後、消費動向に変化が表れたとも言う。「20代、30代の若い人たちは、いつ何が起こるか分からないから、今まで購入を躊躇(ちゅうちょ)していた高額品も思い切って購入しようと思うようになったようだ」
さらに、ブランド、時計関連のメディア、小売店などの業界関係者がスイス時計の良さを伝え続けていること、リーマンショック後、製品の価格設定が現実的なレベルに戻ったことなども、現在の傾向を後押ししていると園城氏は言う。「若い人にも手が届きやすい価格帯の時計ブランドがさらに魅力的な商品の提供を行っている。機械式でも手ごろな価格のモデルが増え、職場で使えるモデルも多くなった」
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