『読売日本交響楽団
第241回 土曜マチネーシリーズ』
素晴らしい演奏でした。
豊かな表現力、溶け合うようなハーモニー、アンサンブルがとても良かった。
客席を見渡すと9割は埋まっている。
緊急事態宣言が明けたとしても、感染者が減ってきたとしても、1999席の大きなコンサートホールでこの集客力は凄い。
これは惹きつける魅力があるからに他ならないだろう。
そして改めて見渡すと髪が白い方が多く目立つ。
昔、劇団時代、入団したばかりの新人に「客席にお年を召した方が多いからこの先が心配。」的な事を言われた事がある。
どうしてそう思うのか聞き直してみたけれども明確な答えがなかったのを思い出した。
新人が思うのも無理はない。単純に考えたらお客様は減ると思うだろう。ただ心配なら自分が集客力を持てば良く、そこがまた今後の活動で大切な事なのだが、そこまで考えが至らないのも無理はない。
昔、先輩に一年に何本もやっていた昔はどうだったのか伺った事がある。その答えにびっくりした。
「客層はそんなに変わっていない。」
僕は芸事、芸術的な事をヒトが理解するにはある程度の年輪が必要だと思っている。
子供の頃は感動しなかった山の風景に感動したり、結婚式やお葬式で涙したり、涙もろくなったり…。歳を重ねるにつれて子供の頃に抱かなかった感情が生まれる大人は僕だけではないだろう。
ひとつひとつの想い出がヒトを強くし豊かにする。そして芸術への理解が深まっていく。
歳を重ねるにつれて、劇場や美術館、自然に足が向くようになるのではないだろうか。
東京には色んな広告が街に溢れていて、定期的に美術展の広告が並ぶ。
最近だと会期中のゴッホ展を多く目にする。
このポスターを観て、「気になるヒト」と「全く気にならないヒト」がいる。
勿論僕は「気になるヒト」派なのだけれども、「全く気にならないヒト」は何故そう感じるのか、この理解が芸事をやる上で大切なように感じる。
日に日に深まっていく秋。
皆様の秋はどんな秋でしょうか。
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