2015年05月05日
「反射炉」が世界遺産に!
ついにというか、とうとうと言うのかです。
私の住む伊豆の国市内に、「反射炉」(上写真)という幕末に作られた重要文化財があります。
幕府直轄領だった伊豆の、世襲代官「江川太郎左衛門英龍」が大砲製造のために作らせたというものです。写真では、鉄の枠が補強のために施されていますが、本来はレンガのみだったと聞きました。だとすると、写真とは印象がかなり異なっていたはずです。
私の家からは、自転車で10分ほどの韮山地区にあり、かなり身近な存在でした。そのため、反射炉を世界遺産に推す自治体や地元関係者の活動が、正直なところ、ばかばかしく思われました。しかし、何でもごねてみるものですね。世界遺産登録のために、毎年毎年少なからぬお金を投入し、どうなるかもわからない活動をしてきたようですが、とうとうほぼ確定というところまで来てしまいました。正直、意外でした。
しかし、こうなってくると多少は嬉しいという気持ちも出てくるから不思議です。
まだまだ”ほぼ”確定なのであって、決して確定ではないのですが、、、。
運も味方したのは確かな事実です。
歴史遺産主体であった世界遺産ですが、このところ近代産業革命遺産をも重視するという方針が加わったことが、ナニよりもラッキーだったのでしょう。
私はひねくれものなので、こうした外的権威に頼るやり方主体の地域おこしにはいつも失望しています。今回も、もし世界遺産になったとしても、その後が心配なのです。まあ私などが心配する権利もないのですが。
富士山の世界遺産登録後を例に見ればわかるのですが、登録まではそれこそ一生懸命でした。しかし登録後の実際を全くと言ってよいほど考えてこなかったようです。そのため、実は、今後登録が保留あるいは抹消されてしまう恐れが出てきているのです。何年も登録推進している間に、同時に、富士山の環境保護の具対策とか、観光客の受け入れ方針とか、そういった中身をなにもやってこなかったことで、今になって全てが後手後手となってどうにも追いつかない実態のようです。要するに、中身空っぽだった、のです。想定外に軽かったのです。
反射炉も同様にならなければよいと切に思いますです。”切に”とは、それだけの危惧がある、ということです。
おそらく自治体関係者は、すぐに立派な箱物などのハードを整えようとするでしょう。
心配なのはソコなのです。そうではないのです。
優先すべきは、ソフトです。人なのです。
偉そうなことを言いますが、やはり大切なのは、”心” だと思うのです。
大体、過去の偉人の遺物に頼らざるを得ない地域の実態自体と、その精神構造も問題なのではないのでしょうか・・・。
因みに、この反射炉を作らせた江川太郎左衛門英龍という方は、この反射炉の完成を見ることなく病死したのだそうです。察するに、さぞ無念だったことと思います。
完成は、息 秀敏の代で、当時の産業先進国である鍋島藩からの技術支援で完成させました。
ただ完成当初は、肝心の燃料のコークスが調達できず、このため鉄を溶かす高温度が得られないので、仕方なく旧来の青銅製の大砲を作らざるを得なかったのだと聞きます。
江川太郎左衛門という人物は、幕府側にあっても広い見識で、東西敵味方というようなせまい概念などにはとらわれず、世界の中の日本という広い視野で世の中を見ていたことがよくわかります。
余談ですが、私の祖母の実家が、江川家代官屋敷のある山木という地区にありました。この祖母の父は、その少年時、江川太郎左衛門の子秀敏が勉学のため江戸に行く際に、学友として父英龍の命で同行したのだという話を、むかし祖母から何度も聞かされたことがあります。その祖母の実家は、もう人は住んではいませんが、祖母の実家でもあり、親しみのある地域です。今回、このニュースを聞きながら、久しぶりに祖母のことを思い出しました。私が子供の頃、祖母の昔話を何度も聞かされました。同じ話でも何度も話すのですが、話がうまい上、話し方に独特のリズムがあって、飽きずによく聞いていたものです。99歳で亡くなってから、早いものでもう30年ほども経ってしまいました。
何とか、変な方向に行かないでほしいという気持ちで、今回の世界遺産推薦のニュースを聞いたのでした。
反射炉までは、車なら東名沼津インターから、渋滞してなければ30分です。
電車では、JR三島駅から伊豆箱根鉄道駿豆線の伊豆長岡駅下車、歩いても20分位かと。
もし歩いて喉が渇いたなら、反射炉のすぐ近くにある地ビール園「反射炉ビヤ」をお勧めします。コクの深いエールビールで、香りが高くとても美味しいです。
また、今は丁度、ココの山の産になる新茶が出始めていて買うこともできます。
最後までどうもありがとうございました。
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