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2024年10月14日

胸には銀の空挺記章を付けていた

空挺教育隊は、通称馬小屋と呼ばれる隊舎にある。
空挺教育隊の科目は私が知っているのは、基本降下訓練、自由降下訓練、レンジャー訓練の三つだ。
基本降下訓練は、落下傘を自動開傘させる為の自動索の付いた落下傘で、輸送機やヘリコプターなどから降下する為の訓練を行う。
自由降下訓練は、フリーフォールと呼ばれるモノで、高高度の飛行機やヘリコプター等から降下して、高度計を見て自己判断で開傘して地上に降りる訓練だ。
レンジャー訓練は、各種想定の任務を完遂する訓練だ。





基本降下訓練は、地上訓練と効果等訓練、飛び出し塔訓練、実機からの降下訓練などがある。
また、空挺団特有の体力検定に合格しなければならない。
屈み跳躍(教官が屈んだ姿勢と跳躍した時の姿勢を見て、納得しないとカウントにはならない)75回だったか、1分以内に終了させるとか、鉄棒での懸垂(胸まで身体を持ち上げるのだが、教官が見て納得しないとカウントにならない)を20回以上行うとか、腕立て伏せ(教官が地面と隊員の間に手を入れて、教官が認めた回数だけをカウント)を50回だったかを行うとか、かなりキツい項目に合格しなければならない。
体力検定は基本降下訓練の間に何回か行われるが、基本的に一回目の検定では合格しない。地上訓練の基本は体力の増強だ。
また、地上訓練で着地方法を徹底的に行う。
降下して地上に接地したときの受け身の練習だ。
両足を揃えてつま先、体側部を接地させる様に脛、大腿部、臀部、体側部、最後に両足が浮き上がるようにして倒れ込む。
とにかく、この受け身を徹底的に行う。
次に落下傘の制御動作の訓練。
落下傘の装着帯を付けて、訓練用の器具に吊される。
そして腕力のみで、空中姿勢を想定して操縦索を引く。
教官がどの操縦索を引っ張るのかを指示する。
この訓練は腕力が無いと全く出来ない。
空挺降下は、当時は川崎C-1と言う輸送機で行われていた。
その輸送機から飛び出す事を想定した訓練が飛び出し塔訓練だ。
人間が一番恐怖を感じる11メートルの高さに飛び出しの設備が作られている。
高さを感じさせる為か、直ぐ側に杉の木が植えてある。
飛び出し塔の訓練は、飛び出す時の姿勢を見られる。
飛び出した後は、滑車で滑りながら着地点まで行く。
私は高所恐怖症だったので、飛び出し姿勢が悪く、お化けなどと言われて、他の隊員より多く、訓練が出来た。





実降下の前に、降下塔訓練がある。
80メートルの高さまで落下傘を開いた状態でつり上げられて、落下傘で降下する訓練だ。
飛び出し塔も怖かったが、降下塔の訓練も怖かった。
私は二階くらいしか体験しなかったが、吊り上げられて落下傘で降りる途中、下から教官が指示を出して来るので、それに従って落下傘を操作する。
そして、着地するときの受け身がキチンと出来ていないと、やり直しだ。
降下塔の訓練が終わると、最後は実降下訓練だ。
実降下は最初は何も持たずに降下をする。
合計3回か5回の降下をする。
だんだん装備を増やして行き、最後は重武装で実降下訓練を行う。
降下した後は、演習場で突撃演習を行い、部隊に帰る。
空挺団では、最後の基本降下訓練が終わると、駐屯地の部隊全体で祝福する。
駐屯地司令に敬礼して訓練は終了する。
実降下訓練の前日、教官は我我に8o映像を見せてくれる。
其れは、米軍の空挺部隊が降下に失敗して死んでしまうような映像だった。
落下傘が開かずに地面にめり込んでしまった米兵を、スコップを担いで掘り出しに行く。
落ちた米兵は、足が胴体にめり込んで瀕死の状態だ。
明日、初降下の新隊員には恐怖を倍増させる映像だ。
私は基本降下訓練を終えて、晴れて空挺隊員になった。
胸には銀の空挺記章を付けていた。



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サダー・パリブータ
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