## インフルエンザとCOVID-19ワクチンの同時接種に関する最新知見
新たな臨床試験結果のご報告
### 研究概要
米国Duke University School of Medicineの研究チームによる無作為化プラセボ対照臨床試験により、インフルエンザワクチンとCOVID-19 mRNAワクチンの同時接種の安全性が確認されました。
### 研究の詳細
1. **試験基本情報**
- 実施期間:2021年10月8日〜2023年6月14日
- 実施施設:米国3施設
- 対象者:335名(平均年齢33.4歳)
- 女性:63.0%
- COVID-19感染歴/抗体陽性:57.0%
- ファイザー製ワクチン使用:76.1%
2. **試験デザイン**
- 同時併用群(169名):
- COVID-19 mRNAワクチンとIIV4を同時に別々の腕に接種
- 順次併用群(166名):
- 1〜2週間の間隔を空けて接種
3. **主な評価項目**
- 接種後7日以内の中等度以上の症状
- 発熱
- 悪寒
- 筋肉痛
- 関節痛
- 非劣性マージン:10%
### 重要な研究結果
1. **主要評価項目の結果**
- 同時併用群:25.6%(43名)
- 順次併用群:31.3%(52名)
- 補正後群間差:-5.6%ポイント
- 95%信頼区間:-15.2〜4.0%ポイント
2. **接種回別の反応率**
- 1回目接種後
- 同時併用群:23.8%
- 順次併用群:28.3%
- 2回目接種後
- 同時併用群:3.0%
- 順次併用群:5.4%
3. **有害事象発生率**
- 一般的な有害事象(AE)
- 同時併用群:12.4%
- 順次併用群:9.6%
- 重篤な有害事象(SAE)
- 両群とも0.6%
- 特に注目すべき有害事象(AESI)
- 同時併用群:11.2%
- 順次併用群:5.4%
4. **QOL評価**
- 接種前:0.92
- 接種2日後まで:0.81-0.82に低下
- 3-4日後:ベースラインレベルに回復
### 当院での活用方法
1. **接種スケジュール検討への活用**
- 同時接種の選択肢を積極的に提案可能
- 患者様の希望や生活スタイルに応じた柔軟な対応
2. **患者様への説明ポイント**
- 同時接種の安全性を示すデータの提示
- 予想される副反応とその回復期間
- QOLへの一時的影響とその回復傾向
3. **モニタリング体制**
- 接種後7日間の注意深い観察
- 特に接種後2日間の症状確認の重要性
- 回復期間の目安の提供
### まとめ
本研究結果は、インフルエンザとCOVID-19ワクチンの同時接種が、順次接種と比較して安全性に差がないことを示しています。この知見は、特に流行期における効率的なワクチン接種戦略の立案に有用と考えられます。
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出典:JAMA Network Open(2024年11月6日)
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