個人(民事)再生における住宅ローン特則とは何?
個人再生の申立における最大のメリットに挙げられるのが、「住宅資金貸付債権に関する特則」(俗称、住宅ローン特則)です。
そもそも、企業に対する救済制度であった「民事再生法」を個人再生に適用するようになった理由は住宅ローンの返済に苦しむ債務者の救済です。個人再生にとって住宅ローン特則は切り離すことのできない制度になっています
個人再生で住宅ローン特則を利用すると、他の借金を減額(最大10分の1)してもらった上で、今の住宅にそのまま住み続けることが可能になります。<個人再生には「債権者平等の原則」があり、特定の債権者だけが優先的に返済を受けることは認められていませんが、再生債務者の経済的再建を支援するために、住宅ローンの除外を特例として認めたのが住宅ローン特則です。
また、ローン業者は個人再生の有無に関わりなく、担保である住宅を売却して債務を回収できる権利(別除権)を保有していますが、住宅ローン特則の効力は別除権に優先されます。
従って、車など、ローン未完済の物はローン業者によって引き上げられてしまいますが、住宅だけは残るため、今の生活環境が大きく変わることはありません。
ただし、住宅ローン債務の減額はなく、残債は全額支払わなければなりません。逆に、住宅ローン以外の債務を勝手に返済することは許されず、一部の債権者だけに返済する行為は「偏頗弁済」に当たり、最悪の場合は個人再生を取り消される可能性があります。
(最終更新日:平成28年5月18日)