韓国消費者金融は日本の5年前?韓国の借金事情
11月17日付、ビジネスジャーナルでこんな記事がありました。「韓国、消費者金融で借金苦&自己破産者急増 また「日系企業が悪い」の大合唱」この記事を読んでみると、今の韓国は消費者金融からの借り過ぎで借金苦となり、自己破産件数が上昇、個人再生の件数は5年で2倍にも増えたとのこと。以下はビジネスジャーナルからの引用。
消費者金融を利用した挙げ句、自己破産する人が増えている韓国。2009年からの5年間で申請された自己破産の件数は38万4000件に上っており、個人再生の申請受付数は5年間で2倍近くも増えた。
【引用元:韓国、消費者金融で借金苦&自己破産者急増 また「日系企業が悪い」の大合唱】
この記事は韓国の貸金業界で日系企業が利益を上げており、反日の韓国では日系企業が不満の元にあるとの内容なのだが、自分が読んで感じたことは、韓国の消費者金融(貸金業界)は一昔の日本と同じ道を辿っているのではないか?ということです。
日本でも多重債務者問題は韓国同様にありました。その当時の消費者金融は今とは違い、ほとんどが独立系で貸付残高もトップの武富士、アコム、プロミスは1兆円を超えていた時代です。
金利はまだグレーゾーン金利で、出資法の29.2%(その前は40.004%)が上限となっていた時代です。確かにその当時の消費者金融はいかに融資残高を伸ばすかに力を入れており、各社とも自動契約機を全国に出し、都心ではサラ金ビルと言われる、消費者金融しか入居していなビル(ほとんどは無人店舗)が至る所にありました。
今と違って総量規制など無く、融資するかしないかは消費者金融の審査次第であり、仮に年収500万円で借金が300万円近くあっても、中堅以下の小さい消費者金融では10万円や、5万円などの非常に小さな限度額で融資している会社は多くあったのです。
言葉を悪く言えば、いくら借金が多くても信用情報上、他の支払いが遅れていなければ10万円以下で貸付をし、他の消費者金融会社よりも早く回収を行う。そして顧客が潰れる前に自社だけは回収をするという、過剰貸し付けは確かに存在していたのです。
大手が貸せない多重債務者は中小や地元密着の消費者金融が融資するケースが多く、それは上限金利40.004%という高金利だからできる融資でもあったのです。
多重債務者問題で自己破産が激増
そんな過剰貸し付けをしていたら、当然に自己破産件数はうなぎ登りで増えていきます。事実、日本では平成14年の自然人による自己破産件数は年間で20万人を超えました。
先ほどのビジネスジャーナルでは、韓国では2009年からの5年間で申請された自己破産の件数は38万4000件とのことですが、一時期の日本では2年で韓国以上の自己破産申請があった時期があるのです。
ここまで自己破産が増加した経緯の一因に消費者金融の過剰貸し付けは確かにあったことですが、多重債務者問題が大きくなってくると、矛先が違うところに向けられることがあります。日本では消費者金融の過剰貸し付けを批判する根底に、消費者金融会社の儲けすぎという言葉がちらほら出ていました。
大手の消費者金融会社の利益は右肩上がりで増えていた時代で、高額納税者には創業者の人たちの名前もよく見かけました。日本では儲けすぎるのは良くないという風潮がどこかにあり、それが高利貸しの消費者金融だったことが、批判を加速させた原因だと思われます。
この自己破産の増加、多重債務者問題によって上限金利の改正、そして総量規制導入までになるのですが、今の韓国はこの一昔前の日本の消費者金融のような気がします。
韓国に日系企業が多い理由
韓国での消費者金融は日系企業が多いのは事実です。それは日本でのノウハウがあり、韓国での上限金利は日本よりも断然高かったことから(今でも高いです)、日本は規制強化によって金利が下がっていく中、韓国で貸金業をやった方が儲かるのは明らかなことです。
信用情報もまだ韓国では整っていなかった時期に、日本の企業は韓国へ消費者金融を設立しました。日本では上限金利が40.004%から29.2%に引き下げとなり、その後貸金業法によって、グレーゾーン金利は廃止、過払い返還が嵐のように請求され、金利は利息制限法と同じ20%まで引き下げになりました。さらに年収の3分の1までしか貸付を禁止とした総量規制が作られ、日本の消費者金融市場は一変しました。
最大手の武富士(一部上場会社)は倒産となり、プロミス・アコムに関しても銀行との資本提携ができなければ生き残れない環境となり、銀行の傘下に入り、大手ではアイフル以外は全て銀行系の消費者金融になったのです。
そして過払い返還は平成18年度から平成22年度の5年間だけで返還された金額+元本相殺(金利引き直し計算によって元本が減った又は無くなった)金額は合計4兆4267億円と、とんでもない数字となっています。
韓国消費者金融の未来は日本と同じになる?
韓国の消費者金融の上限金利は06年当時66%から低水準で推移していき、今現在は34.9%になっています。日本でも過去を見れば54.75%→40.004%→29.2%→20.0%と段階的に下がっています。
韓国の多重債務者問題が注目を集めれば、必ず金利は下がっていくことでしょう。今現在韓国では34.9%ですが、これは一時期の日本の40.004%近くの金利です。日本の歴史を辿るのであれば、これからもう一段階金利が下がることが予想されます。
仮に韓国の金利が25%~29%台に下がったとき今の日系消費者金融会社はどうなるのか?きっとまだその程度の金利であれば日本に比べれば全然高いので、そこまでのダメージは無いと思いますが、これからの韓国の消費者金融市場がどうなっていくのかに非常に興味があります。
今の日本では消費者金融で利益を出していくのはかなり難しいことです。利息制限法と同じ金利が上限金利となっており、同じ金利で競争する中には銀行もいます。銀行は豊富な資金力で低金利で融資をしてきますが、銀行系ではない、独立系の消費者金融では上限金利いっぱいで貸付をしたとしても10万円以上100万円未満は18%の金利しかとれません。
しかも、総量規制によって貸付できる金額が制限されており、申し込みに来る客層は銀行や大手消費者金融に断られた層ばかりなのです。ある意味、貸付不能な顧客が中堅以下消費者金融に集まっており、その中で一握りの貸付できる層に対して融資をしていくことしかできないのが今の中堅以下消費者金融なのです。
韓国も金利が下がった時、日本のように銀行との提携によって経営をしていくのか、倒産・廃業してしまうのか、日本の消費者金融の繁栄と衰退を見ている管理人は、今後も韓国消費者金融に注目していこうと思います。
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