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2015年06月21日

蓮・はす・はちす

蓮の花が咲いたよ、と事務局から便りが届きました。

ハスは、熱帯アジア(インドとも)原産のハス科、ハス属の多年性水生植物です。日本での自生ははっきりしませんが、鑑賞用(花バス)、食用(レンコン)として古くから池や沼、水田で栽培されてきました。

『古事記』『日本書紀』『万葉集』には、いずれも花や葉の上の露の美しさ、面白さを取り上げています。蓮葉・荷葉の風に立ち騒ぐかそけき音、宿る白玉にも風情を感じ、その枯れ姿にも寂びを受け取っています。

蓮の花、すなわち蓮華は、清らかさや聖性の象徴として称えられることが多くあります。菩提寺の和尚さんの法話にも「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という中国の成句が出て来ます、
IMG_2708.JPG

自分で栽培してみて、この蓮の花、蕾の時は赤ないし桃色かと見えたのが、咲いてみると芯に少し黄を帯びた白い花びら、そのつまが薄紅の何ともいえない高貴な姿には驚かされる、と事務局から書いて来ています。
(参考:『植物短歌辞典』『花の履歴書』『広辞苑』『万葉の花』)
IMG_2735.JPG
 
では、短歌を三首あげておきます。
作者不詳(『万葉集』巻16・三八三五
勝間田の池は我知る蓮(はちす)無し然言ふ君が髭無き如し

岡  麓(『朝雲』)
すきまなくしげれる蓮の葉の池にぬきいでて立ちひらく蓮の花

土田耕平(『斑雪』)
濠のおもて咲きうづめたる蓮の花のさかんなる気をたちてききをり


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2014年07月31日

蔓茘枝?・・・ゴーヤ

ゴーヤ

事務局から前畑にゴーヤの真盛りだという便りがとどきました。

ウリ科の一年生蔓性草本。熱帯アジアの原産です。標準和名はツルレイシ(蔓茘枝)ですが、呼び名は地域、栽培、品種でいくつかあるようです。

ゴーヤ、にがうり、にがうい、にがごり、にがごい……などなど。苦味も強いものから穏やかなものまでいろいろですね。

事務局の方では、火に炙って刻んで鰹節と醤油で食べたり、酢の物にしてり、チャンプルにしたりして、美味しく食べているようですわーい(嬉しい顔)

では短歌を三首上げておきます。

碇 千奈美(『姫由理』2013 九月号)
苗賜びて植ゑたるゴーヤの伸びはやく柿の若木を覆ひ花咲く

初生りのゴーヤの幾つ神仏へ供へて天の恵みに謝する

土田耕平(『一塊』植物短歌辞典)
道ばたの小さき畑に棚つくり蔓茘枝の実のつぶらになれる


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2014年06月26日

山法師・やまぼうし

山法師

久留米市の石橋文化センターの睡蓮の咲く池から離れ、山に入ろうとする所に満開の山法師の花があった。

ミズキ科の落葉高木。古語ではツミ(柘桑)である。秋に赤い実をつけ、くわの実に似ているところから山桑ともいう。

語源は、山の法師という意味で、木の葉の上に沢山の法師が頭巾を被って並んでいる姿に見えるところからきている。

(参考『語源辞典』東京堂出版)


山法師



万葉集 三386
この夕べ柘(つみ)のさ枝の流れ来ば簗(やな)は打たずて取らずかもあらむ


この歌は、柘枝伝説に寄せた歌です。

柘枝伝説は、吉野の川に梁を設けて魚を取っていた男「味稲(うましね)」が、その梁に柘の枝が掛かったので、手に取ると美女に化し、「味稲」はその美女と相愛(め)でて結婚・同棲したが、後に夫を残して昇天したという天の羽衣説話の型をもつもの。

この伝説を踏まえて、【柘枝(つまのえ)仙媛が化した「柘の小枝」を梁を使わないで取れないだろうか】と詠んだ歌ですね。

(碇弘毅 記)

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