2015年02月17日
猫柳・ねこやなぎ
事務局の庭の柳。お正月からこのかた固く閉じていた冬芽が、赤褐色のとんがり帽子のような皮(芽鱗)を脱ぎ捨て、銀白色のきれいな毛の花穂を輝かせています。いよいよ春の到来を思わせます……と便りと共に写真が届きました。
猫柳は、ヤナギ科、ヤナギ属の落葉低木。山間部の渓流から町中の小川まで、広く川辺に自生しているヤナギの一種ですね。銀白色の毛で目立つ花穂が特徴的で、ネコヤナギという名前は、綿毛の形がネコの尾に似ているところから来ています。また、別名の狗尾柳(えのころやなぎ)は小犬の尾にたとえたものです。この他、川柳、谷川柳などの別名を持っています。
あの綿毛は花ではなく、花が咲く前の花芽です。猫柳は、雌雄異株で、花は小さい花が集まった穂をなし、外見的には雄花の花序も、雌花の花序も、さほど変わりませんね。雄花は雄しべが数本、雌花は雌しべがあるだけで、花弁は有りません。雄しべ、雌しべは、これから出てきますね。じっくり見たいですね。楽しみです。
(参考:『植物語源辞典』『植物短歌辞典』『万葉集』)
では、短歌を二首あげておきます。
坂上郎女(『万葉集』巻第十1848)
山の際(ま)に雪は降りつつしかすがにこの川楊(かはやぎ)は萌えにけるかも(訳)山のあたりに雪は降りつづけ、しかしそうではあっても、この川柳は萌えだしたことよ。(中西進)
北原白秋(『桐の花』)
猫やなぎ薄紫に光りつつ暮れゆく人はしづかにあゆむ
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