2022年01月17日
オーベルチュールオオツノカナブン Mecynorhina oberthueri
アフリカタンザニアに生息する大型のメキロリーナで、オス80o、メス65o近くの大きさになります。少し古い参考図鑑になりますが、むし社発行の「世界のハナムグリ大図鑑」によると、野外ギネスはオス74o、メス64oで、日本最初の標本は黒い波紋が出たもので、170万円で取引されたとか。
ギネスサイズについては、ebayで79oの標本が販売されていましたので、80oオーバーもいるのではないでしょうか。
170万で取引された標本は、現在日本で多く流通しているキルクネリのサザナミ個体ではなく、当時は非常に珍しかった原名亜種のサザナミ個体ではないかと推測いたします。(確認できたわけではないのであしからず)
生息地はタンザニアのウサンバラ山地、ウルグル山地と、ケニアのケニア山の個体が確認されています。ケニア産は非常に珍しくナイロビ国立博物館に1メスが保管されているようです。ウサンバラ山地のケニア側ならいてもおかしくはないですが、メス1頭だけでは確信が持てないところがありますね。
同属のウガンデンシスやトルクアータとは地理的に離れた場所に生息しています。
本種の学名は、Mecynorhina oberthueriで、原名亜種のssp.oberthueri、亜種のssp.kirchneriに分類されます。
上翅(elytra)の色柄バリエーションは大きく分けて4つに分類されます。
オレンジベタ(f.unicolor)
オレンジサザナミ(f.decora)
レモンベタ(f.unicolor)
レモンサザナミ(f.decora)
野外品の標本では原名亜種、亜種のキルクネリ共にオレンジベタ、オレンジサザナミを確認していますが、鮮やかなレモン色の個体は野外品で見かけたことがなく、良く分かっておりません。
実際に飼育した原名亜種からも上記4パターンの出現を確認できています。
前胸背板(pronotum)のバリエーションは大きく3つを確認しています。
原名亜種型1パターン、キルクネリ型2パターン
図鑑上は左から1番目,2番目の2パターンの分類の様ですが、右端のパターンは亜種分けしてもいいくらいと個人的に思うのですが皆さんどう思われますか?
これ以外には、黒化型やサザナミ模様が部分的に消失した個体など、変異型の個体が見られるようです。
ブリード
ブリードは比較的簡単で、普通のカブトマットで産卵します。幼虫の飼育マットは微粒子が良く管理温度は20〜26度の範囲が無難でしょう。
写真は友人から頂いた64oの個体ですが、ブリードではなかなか出せないサイズです(やまのふもとのカブトマットで飼育)。70oを越える個体が目標ですが、野外品でも少数しかいないので、かなりハードルは高そうです。
きれいな標本の作り方
酢酸エチルを使うと上翅の色が黒ずんでしまい、亜硫酸ガスを使うとこれまた上翅の色が変わってしまう。いろいろ試して行きついたのが、生きたままプリンカップに入れて冷凍することでした。事前の処理として、エサを1週間以上抜いて体内の余計な成分(ゼリーなど)を取り除きましょう。半年ほど冷凍保存して乾燥させ、冬に取り出して洗剤で洗って展足します。
乾燥標本と違い、活き虫を〆たものは完全乾燥までに3か月ほどかかります。
薬品処理をしていないので乾燥後は早めに標本箱に収めてください。
Mecynorhina oberthueri ssp.oberthueri --- wild
Mecynorhina oberthueri ssp.oberthueri --- breed
Mecynorhina oberthueri ssp.kirchneri ---wild / breed
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/11211344
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック