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2024年09月08日

日本昔話 福助さんの覗きめがぬ







静かな山あいの村に、福助という男が住んでいた。背は低く、いつもにこにこしているその姿は村人たちに愛されていたが、福助の好奇心の強さは誰もが知るところだった。彼は村のあらゆる出来事に興味を持ち、隣人の噂話から、何気ない日常の一コマまで、何も見逃すことなく知りたがる性分だった。

ところが、年を取るにつれて、福助の目は少しずつ悪くなっていった。遠くのものはおろか、近くの細かいものさえはっきり見えなくなってきたのだ。それでも好奇心は衰えず、福助はどうにかして世の中のあらゆることを知りたいと思っていた。

そんなある日、福助が村の道を歩いていると、古びた小さな店が目に留まった。普段は気に留めることもないほど地味な店だったが、今日はなぜかその店先に飾られている一つの物に目が引きつけられた。それは、年代物の眼鏡だった。くすんだ金色のフレームに、ぼんやりとしたレンズがはまっている。

「これは…?」

福助は不思議に思いながらも店の中に入り、店主に尋ねた。

「この眼鏡は、何か特別なものですか?」

店主はにやりと笑って答えた。

「おぬし、何でも知りたがる性分じゃな。この眼鏡は、ただの眼鏡じゃない。これをかければ、普通では見えないものが見えるようになるのじゃよ。」

福助の目は輝いた。「見えないものが見える…?」

店主はうなずきながら、さらに言った。「そうじゃ、誰も見たことがないものも、この眼鏡を通せば見えるようになるかもしれん。」

福助はその言葉にすっかり魅了され、すぐに眼鏡を買い求めた。

家に帰ると、福助はさっそくその眼鏡をかけてみた。最初は何も変わらないように思えたが、しばらく見つめているうちに、普段とは違う光景が浮かび上がってきた。

庭に咲いている花の中に、小さな妖精たちが楽しそうに踊っているではないか。福助は驚いて目をこするが、何度見ても消えない。さらに家の中を見渡すと、壁の中に隠れている小さな生き物たちや、屋根裏に巣を作る奇妙な鳥たちが見えた。

「これはすごい…!普通じゃ見えないものが、こんなにもあるとは!」

福助は感動し、その後も村中を歩き回って眼鏡を通して新しい世界を楽しんだ。誰も知らないところで、こんな不思議なものたちが息づいていることに、彼の好奇心はますます膨らんでいった。

しかし、日が経つにつれ、福助はますますその眼鏡に依存するようになった。昼夜問わず、眼鏡をかけては見えないものを探し続けたのだ。そんなある日、村の美しい娘が通りかかったとき、福助はふと「この眼鏡で彼女の心の中を覗いたら、どんなことが分かるのだろうか?」と思いついてしまった。

眼鏡を通して彼女をじっと見つめると、心の奥底に隠された秘密が見えてきた。娘が抱えていた寂しさや、誰にも言えない悩みまでが透けて見えたのだ。福助は一瞬、見てはいけないものを見てしまったかのように感じたが、好奇心は抑えられなかった。

こうして福助は、村人たちの心の中を覗き見るようになった。最初は面白がっていたが、次第にそれは彼に重荷となっていった。皆が抱える苦しみや悲しみ、裏表のある思いが見えれば見えるほど、福助の心は疲れていったのだ。

ある日、再びあの店に戻った福助は、店主に眼鏡を返そうとした。

「もうこの眼鏡はいらない。見たくないものまで見えてしまうんだ。」

店主は静かにうなずいた。「知りすぎることも、時には重荷になるものじゃ。だが、眼鏡をかけて見た世界も、おぬしの一部じゃ。忘れることはできんぞ。」

福助は深くうなずき、静かに眼鏡を置いて店を去った。それ以来、彼は以前のように何でも知りたがることをやめ、静かに村の人々と過ごすようになった。

それでも時折、福助はふと遠くの山や川を見つめ、あの眼鏡で見た不思議な光景を思い出すことがあったが、それを口にすることはなかった。

ギャグ編

静かな山あいの村に、ちょっとした噂好きの男、福助が住んでいた。小さく丸い体に大きな耳、そしていつもにこにこした顔がトレードマークの福助は、村の噂を知るのが何よりも大好きだった。しかし、彼には一つ悩みがあった。年を取るにつれ、目が悪くなってきたのだ。遠くの噂話は耳に入るが、遠くの景色は見えない。近くの村人の表情もぼんやりとしか見えず、「あれは笑っているのか?それとも怒っているのか?」と悩む毎日。

「このままじゃ、肝心の噂を聞き逃してしまう!」

そう嘆く福助の前に、ある日、ふと現れたのは村外れのボロボロの店。「こんなところに店なんてあったか?」と首をかしげながらも、好奇心が勝って店の中に入ると、そこに座っていたのは妙に怪しい店主だった。

「おぬし、見えないものが見たいじゃろ?」

「えっ、なんで分かったんだ?おれの心まで覗かれたのか?」とびっくりする福助に、店主はニヤリと笑いながら言った。

「おぬしにぴったりのものがあるぞ。」そう言って、店主が取り出したのは、くすんだ金色の眼鏡。「これをかければ、普通では見えないものが見えるようになるのじゃ。」

「マジで?そんなスゴい眼鏡があるのか?」

「うむ。ただし、見たくないものまで見えるかもしれんぞ…。」

「まあ、そんなの大丈夫だろう!どんな噂でも大歓迎だ!」福助は即座に飛びつき、眼鏡を購入。早速家に帰り、ワクワクしながら眼鏡をかけた。

眼鏡をかけた瞬間、福助の世界は一変した。まず、自分の庭を見ると、小さな妖精たちが草の間でダンスパーティーをしているではないか。「おいおい、まさか庭がこんなに賑やかだったとは!これは村中に自慢しないと!」と大笑いしていたが、それはまだ序の口だった。

村を歩いていると、屋根の上に座る狸や、井戸の中でボートレースをしているカエルたちが見えた。さらには、村長の頭の上に小さな天使と悪魔が言い争っているのも目撃。「こんなに面白いこと、毎日見逃していたとは!」と福助は大興奮。

ところが、調子に乗った福助はある日、村一番の美人、おたえさんを眼鏡越しに見てしまった。「この眼鏡でおたえさんの心の中を見たら、何が分かるかな?」と悪ノリした結果…。

おたえさんの心の中には、びっくり仰天の秘密が!なんと、彼女は毎晩こっそり家でスナック菓子を食べながら、猫と一緒に相撲観戦をしていたのだ。それも、猫が負けるたびに真剣に悔しがるという、なんとも微笑ましい(というかちょっと変わった)光景。「ああ、こんな一面があったとは…!」

しかし、それでも懲りない福助は、次第に村人全員の秘密を覗き見るようになった。おばあさんが若い頃のラブレターをまだ隠し持っているとか、大工の吉さんが実は歌手デビューを夢見ているとか…。村中の秘密がすっかり丸裸になり、福助は「この村、なんかすごいことだらけじゃないか?」と驚き続けた。

でも、楽しさは長く続かなかった。あまりにもいろんな秘密を知りすぎて、福助は次第に頭を抱えるようになった。村長がこっそり夜中に踊っているとか、八百屋の主人が果物に顔を描いて話しかけているとか、もう噂話というより、見たくないものまで山ほど見えてしまったのだ。

「これはもうダメだ!知りすぎた…!」とうとう福助は眼鏡を外し、元の店に急いで戻った。

「な、なんとかしてくれ!見たくないものまで見えすぎる!」

店主はニヤリと笑い、「だから言ったであろう。見たくないものも見えてしまうかもしれんと。」

「もう噂話だけで十分だ!こんな眼鏡、二度と使いたくない!」

店主は大きくうなずき、「まあ、おぬしも懲りたようじゃな。眼鏡は預かってやるが、見たものはもう忘れられんぞ。」

福助は深くうなずき、静かに眼鏡を返した。それからというもの、彼はもう秘密を知ることには慎重になり、村の皆とも無理に噂話をしなくなった。

それでも時折、福助はふと村人たちの顔を見るたびに、「ああ、あの人、またあの奇妙なことしてるんだろうな…」と思わずにはいられなかった。



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