2019年07月20日
思い出せない家
その家を見たのは、2回だけです。
場所は都内某所。
知り合いが次に住むアパートを借りるため、あちこち見るのに付き合わされた時のことです。
そこは狭い路地が不規則に錯綜する住宅地でした。
不動産会社の人も徒歩で案内するくらい、細い道が続き、あっちに曲がり、少し戻り、といった具合でした。
見た物件に問題はありませんでしたが、道が複雑で、方向音痴の知り合いには無理と判断してボツに。
ただ、私的には、もう一つ理由がありました。
その家は、その道の途中にありました。
実は、ちょうど、その家を含めた区画をぐるりと回る道を私たちは歩いたんです。
見に行ったアパートは、その区画の真裏でした。
たぶん40坪くらいでしょうか。
表から見たところ、1メートルほどのコンクリート塀と同じ高さの金属製の門扉から、すぐに二階建の家が建っています。
ただ異様だったのは、見えてる玄関と、一階の部屋の窓と、トイレの換気扇と小さな窓。
玄関の扉は、新聞受けも含め、全部の隙間に表からガムテープで目張りされてました。
トイレも同じです。
部屋の窓は雨戸が閉められ目張りしてありました。
ガムテープは、見たところ、そんなに古い感じではなく、一ヶ所もめくれてもいませんでした。
それに、その一区画、とても暗いのです。
行きと帰りに見て、知り合いには耳打ちして、この時に見たアパートはやめました。
実は私、この近所に住んでいたことがあったのですが、ここの事は聞いたこともありませんでした。
何があったのでしょう?後日、もう一度、と思ったのですが、行き着けませんでした。
不動産会社に聞いてみればいいんでしょうが、なぜか、私も知り合いも、会社の場所も名前も思い出せないのです。
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posted by 暇つぶしに読める話のまとめ at 07:00
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