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2018年01月17日

犬の愛情

花と夏-3.jpg




犬は愛情表現豊かな生き物です。

みなさんもご存じのとおり、犬は群れで生活をする「オオカミ」を祖先に持つ動物です。ですから、もともと家族(群れ)との生活に馴染みやすい性質を持っています。

とはいえ、硬い骨をバリバリ噛み砕いてしまえるほどの犬歯を持ちながら、その恐怖を飼い主さんに感じさせないというのは、彼らの愛情の深さ優しさだと思いませんか?

なかには、権勢症候群(アルファシンドローム)のようなワンコもいますが、大抵の場合は、愛犬のリーダーになり切れなかった飼い主さんの方に問題があります。
※アルファシンドロームの有無については諸説あります。

犬の行動や心理など、さまざまな研究がなされるなかでわかってきたことは、犬には人間社会に適応する能力があり、また飼い主さんの意向を受け入れる従順さを兼ね備えているということ、そして、犬も人間と同じように喜び、悲しみ、嫉妬し、ストレスを感じ、うつ状態にもなるということです。

人間の社会で、犬がリーダーにならなければいけないという環境は、犬にとっては災難でしかありません。

でも、ほとんどの飼い主さんが、しっかりと愛犬との絆を深めていると思います。その証拠に、愛犬は飼い主さんを噛まないし、無防備な恰好をしてお腹を見せるし、安心して眠りに落ちてもくれるのです。

そんな愛犬の心の中にあるのは、飼い主さんへの愛情と信頼と、純粋さです。

こんな面白い実験をした人がいます。

犬Aには「牛肉」を、そして犬Bには「パン」をご褒美に、お座りをさせました。はたして犬Bは、犬Aとのご褒美の落差に腹を立てて、飼い主さんのコマンドを無視したり、飼い主さんに不信感を抱いたりしたでしょうか?その答えは、どちらの犬も満足そうにお座りをつづけたということです。

人間の目から見ると、犬Bが滑稽に見えるかもしれません。でもそんな犬たちに、私たち人間は笑わせてもらって、癒してもらって、ときには健康にしてもらっているのです。そして彼らの純粋な心には、人間のような損得勘定というものがないということもお分かりかと思います。

次の項目では、そんな愛犬たちの愛情表現を細かく見ていきましょう。

犬の愛情表現

飼い主さんの口をなめる

愛犬が飼い主さんの口をペロペロなめるのには、彼らなりの感情が隠されています。その代表的なものを3つご紹介します。

愛情表現

オオカミの習性で、上位者に対する親愛の情を示しています。

このとき、飼い主さんは仰向けに寝て、愛犬をお腹の上に抱いてみてください。愛犬は口をなめるのをやめて、お腹の上から降りようとするはずです。

オオカミにとって覆いかぶさるという行動は、力の差を歴然とさせるもの。飼い主さんのお腹の上に乗っているということは、自分のほうが権力者(=上位者)であることを示していることになります。飼い主さんをリーダーと認めている犬にとっては、自分の身を危険にさらしかねない、してはいけない行為になります。慌てて降りようとするのはそのためです。ちょっと酷ですが、その仕草が可愛らしいので、一度試してみてはいかがでしょうか。もし、愛犬がそのまま覆いかぶさっているなら、あなたのことをリーダーとは認めていない可能性もあります。




おねだり

純粋に甘えている仕草です。

たとえば、散歩の時間になっても行く素振りを見せてくれない飼い主さんに散歩を催促するときや、休日になかなか起きてくれない飼い主さんを、起こして一緒に遊んでもらいたいときなど、彼らは一生懸命口元をなめて、自分のおねだりのアピールをしてきます。

ケンカの仲裁

たとえば、愛犬の前で夫婦ゲンカをしたとしましょう。愛犬にとっては、大切な群れの崩壊の危機。ぜったいに阻止しなければなりません。必死にリーダーの口をなめて、怒りを鎮めようとします。あるいは、夫と妻の間を行ったり来たりしながら、オロオロすることもあるでしょう。こんな仕草を見せられたら、怒りもスーッと消えてしまいます。

人ごみで飼い主さんを探す

愛犬を連れて、家族を駅まで迎えに行ったことはありますか?あるいは、愛犬と高速道路のパーキングエリアに立ち寄った経験はありますか?愛犬は、必死に飼い主さんを探しますよ。

たとえば夕方5時に、駅に娘さんを迎えに行ったとしましょう。すると犬は、あっちのほう(改札口)から娘さんが出てくることを覚えます。そして同じ時刻に駅に行くたびに、改札を抜けてくる人ごみの中から、娘さんを探すようになります。あるいは、夜9時にお父さんを迎えに行くと、お父さんと同じスーツ姿の男性を目で追うようになります。

不思議なことに、ちゃんと年齢を見分けるのです。40歳代のお父さんを迎えに行って、20歳代の若者に近づこうとはしません。

「えっ!それって、ニオイで嗅ぎ分けてるんじゃないの?」とも考えられますが、こんなエピソードがあります。

旅行中、高速道路のパーキングエリアでトイレ休憩をしていたところ、愛犬が70歳代前後のご夫婦を見つけると近づいて行こうとするのです。それほど人慣れしている犬ではないので不思議に思った飼い主さんは、しばらくの間、愛犬の行動を観察しました。

そして、あることに気づきました。愛犬は、自分(飼い主)の両親を探しているのではないかと。

その日、ご両親は一緒ではありませんでしたが、人ごみのなかに、もしかしたらいるのかもしれないと思ったのでしょう。それらしいご夫婦を見つけると近づいていってはニオイを嗅いで確認し、近づいては確認することをくり返したそうです。しかも、50歳代のご夫婦には見向きもせず、ちゃんとご両親と年恰好が似ている人ばかりに近づいていったということです。

愛犬のこんな行動を聞かされたご両親の喜びは、容易に想像がつきますよね。どんなときでも愛犬は、純粋に家族に想いを寄せているのでしょう。

笑う

愛犬が小さく口を開けて、舌先を前歯より前に出している表情が、愛犬の笑顔だそうです。そのときの目はディアドロップの形をしていて、目じりをちょっとつりあげています。逆に、少しでもストレスを感じていたり、不安を抱いているときは口を閉じて、舌は見えなくなります。みなさんの愛犬の表情はどうですか?

嫉妬する

犬の母親は、母性本能を一生持ちつづけることはありません。仔犬が自力で生きられるようになると、少しずつ薄らいでいきます。そして次の発情期がくるころには、確実に母性本能はなくなってしまいます。

そこで、飼い主さんが気をつけなければいけないのが、先住犬を一番に尊重してあげること。仔犬の可愛さに負けて、仔犬ばかりを抱いたり、触ったり、かまったりしていると、先住犬である母犬は嫉妬心を抱いてしまいます。人間のように、「わが子を可愛がってくれて、ありがとう!」という感情にはなりません。「自分から飼い主さんを奪った憎らしいヤツ」と敵意をむき出しにしてしまうこともあります。仔犬を攻撃してしまうケースもあるくらいです。あるいは、気の弱い犬などはストレスをためこんで、うつ状態に陥ってしまうこともあるでしょう。

これは親子に限らず、仔犬を新しい家族として向かい入れるときにも大切なことです。ご飯を上げる順番も、首輪をつける順番も、声をかける順番も、先住犬を先にしてあげないと、愛犬は嫉妬心に苦しめられてしまうのです。

それにしても、嫉妬してしまうほど飼い主さんへの愛情が深いという愛犬の健気さは、本当に愛おしいですね。





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タグ:犬の愛情
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