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2018年01月20日

犬の散歩、その2

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●なぜ“散歩”が必要なのか

まず、人間のぶらぶら散歩と犬の散歩は違います。ワンちゃんにとって散歩は、自分の縄張りを飼い主と一緒に歩いて確認することができる、とても誇らしい行動の1つだからです。ですから、「散歩=運動するだけ」という認識は間違っています。ワンちゃんには飼い主にリードを握ってもらい、一緒に歩いてもらうことが大切なのです。誰でもよいというわけではありません。最近では犬の散歩をしてもらうアルバイトもあるようですが、こうした理由から、できるだけ飼い主が一緒に散歩をするほうがよいのです。

●庭で運動させるだけでは

「運動だったら庭でもできる」という考えも間違っています。特に小さいワンちゃんは散歩がいらないと思われがちです。しかし、散歩はしつけの一環です。基本的にはどんな種類の犬にも必要です。

犬にとって庭は自分のテリトリーなので、ほかの場所でも散歩をしなければ、外の世界に馴染むチャンスを減らしてしまいます。そうすると、臆病で神経質なワンちゃんになる確率がとても高くなってしまうのです。また犬の視覚や嗅覚はとても敏感なので、いつもと違う景色や草花などの匂いを感じるだけでもよい刺激になります。

実際に脳の神経系を活性化させる効果もあるようです。すれ違う人を眺めたり、時にはほかのワンちゃんとあいさつしたり、たくさん刺激を受けて社会性を伸ばしてあげるためにも散歩は必要なのです。

●散歩が犬にもたらす効果

育ちざかりのワンちゃんにとって、散歩は余ったエネルギーを発散させるとともに、情緒の安定にもつながります。獣医行動学の研究によると、散歩には犬の脳内のノルアドレナリンやセロトニンのレベルを上昇させる働きがあるそうです。これらが上がると、心地よさを生む物質であるエンドルフィンの放出が促される可能性があるともいわれています。

また、有酸素運動を続けることで、オピオイドと呼ばれる鎮痛作用をもたらす脳内モルヒネに働きかけることも分かっています。散歩はワンちゃんの健やかな心の成長にも、欠かせないことが科学的にもほぼ証明されています。

どれくらい歩く

犬を飼う場合は、子犬であれば、生後1年未満の成長期は慎重に世話をしましょう。少なくとも生後2週間は安静にします。これは骨に過度な負担がかかると成長をストップさせてしまう恐れがあるからです。

散歩を始める頃合いとしては、混合ワクチン接種を終え、1週間ほど体調の様子を見て、家の中で元気いっぱい走り回るぐらい元気だったら頃合いです。まず室内でリードを何度か付けて慣れさせて、バッグに入れた状態で外を見させてあげるところからスタートしましょう。この時、抱いて連れ歩くと、「飼い主がいないと何もできない」というようなワンちゃんになる可能性が高くなります。

この段階は、あくまでも自分で歩いて外の世界を見るための第一歩です。バッグからちょこんと顔が出るくらいの距離感がちょうどよいでしょう。3回目のワクチンが終わるまでは地面に下ろすことや、他の子と接触するのも控えてあげた方が良いでしょう。

最初の頃はリードを付けてうまく歩けないのが普通です。まずは外で過ごす時間を30分程度持つだけでも散歩デビューとしては十分です。行き当たりばったりで散歩すると思わぬトラブルにつながりかねないので、はじめの何度かは、飼い主がルートを事前に確認してあげられるとベストです。

●散歩の回数・時間の目安

生後1年が経ったワンちゃんには、1日2回ずつ散歩をしてあげてください。犬の散歩時間は、小型犬なら20〜30分、大型犬ならば30〜60分が目安です。ジャージを着て汗だくで1時間以上も一緒に歩いたり、走ったりする人もたまに見受けられますが、大人のトレーニングに付き合わせるような形で負荷をかけすぎないようにしましょう。毎日、決まった時間をコンスタントに確保できるかどうかといった点が、犬を飼う際の基準にもなります。

天気が悪い時には、散歩を控えても大丈夫です。雨の日は水たまりなどに、ほかの犬の尿や糞便がとけてしまっていることも多いので、ウイルスに感染する危険性が高まります。散歩の時間はきっちり決めないほうがよいでしょう。時間をきっちり決めてしまうと、犬が時間を覚えてしまって融通が利かなくなります。飼い主に急な用事ができて散歩の時間がずれてしまった時などに「散歩だよ! 忘れているの?」とワンワンと吠え出してしまうきっかけにもなりかねません。

時間でいえば、暑い日は涼しくなるのを待ち、寒い日は暖かくなるのを待ってあげるくらいのスケジュールを組んであげるとベストです。犬は人間とは体感温度が違いますし、犬のほうが地面により近い所を歩くので熱いコンクリートなどは苦痛に感じると思います。常に、細かな心くばりは欠かさないようにしましょう。





犬の散歩のマナー

散歩のマナーとして気をつけたいのは、飼い主の行動にきちんと従わせることです。一番危ない散歩のしかたは、犬が先に走って飼い主があとからついていく形です。これでは飼い主以外の人間にちょっかいを出したり、ほかのワンちゃんとケンカをしたりといった、犬が何かトラブルを起こした時に、飼い主が即座に対応できません。そうならないためにも、飼い主が先に歩き、犬がそれに従うという図式をしっかり自分のワンちゃんに教えなければなりません。これが散歩のしつけである「リーダーウォーク」です。以下、具体的に説明します。

■リーダーウォークの方法

<リードの持ち方>
右手でリードの端を持って、左手でリードの中間を持ち、そのまま腰のあたりまで持ち上げます。その際、犬の両足が地面に着く状態まで左手のリードの長さを合わせます。歩き出す時に手を下げると、リードがちょうどよく少しだけたるみます。
慣れてきたら、右手でリードの端を持って2〜3回ほど小さな輪を作ります。それをへその位置までずらして、左足側にいる犬のリードがピンと張るように長さを調節すればOKです。また行動を制限しすぎてしまわないよう、少しだけたるませてください。

<リーダーウォークの仕方>
1. 犬の散歩を行う際、犬が先に行こうとしたり、リードを引っ張ったりしたら立ち止まる
 →「どうしたのだろう、何が起きたの?」と犬が飼い主の様子を気にするようにします

2. 飼い主が歩く前に、自分の膝を叩いて声がけをします
 →「これって行っていいってこと?」と、犬が合図を覚えるようになります

3. 犬が何か飼い主を無視してほかに気をとられたら、声をかけます
 →「何? どうしたの?」と飼い主に注意が戻ったら、褒めてあげます。
  「無視!」という場合は、リードをちょっと引っ張って教えてあげます

4. 犬が飼い主の行動をきちんと意識するようになったら、「座れ」「伏せ」「待て」が適時できるように指示を加えていきましょう。慣れてくると「停止」や「左回り」「右回り」ができるようになります

これらはすぐにできることではありません。ワンちゃんに無理をさせずに、時々目を合わせたり、なでてあげたりとコミュニケーションをとりながらゆっくり気長に覚えさせていきましょう。あまり厳しくすると、散歩嫌いの犬になってしまいます。お互いの呼吸をぴったり合わせることが大切です。

しかし、抱きかかえたりして甘やかすと犬が関係を勘違いして自立心が育ちません。やむを得ない場合は、バッグに入れて運びましょう。また、自転車にリードをつなぐことは、お互いのペースがずれてしまうので避けましょう。

●散歩前にトイレは済ませる

リーダーウォーク以外でも気をつけるべきことがあります。それがワンちゃんのトイレです。野外は犬のトイレではありません。外でもよおしてしまわないよう、トイレはきちんと家で済ませるものだときちんと教えてあげましょう。しかし、動物の生理現象を全てコントロールするのは難しいこともあるでしょう。雨でいつもの散歩の時間がずれてしまったとなると、もしものことも考えられます。万が一の時のために、トイレグッズはきちんと持って歩きましょう。

また、女の子のワンちゃんの場合、生理を迎えた場合には散歩の時間をずらすなどの工夫が必要です。ワンちゃんと接触してお互いに興奮させてしまわないように、ほかのワンちゃんがあまり散歩しない時間帯にしましょう。






犬の散歩で役立つ持ち物

●基本は「首輪」「リード」「迷子札」

いくらしつけが行き届いていても、ふとした瞬間に犬は興味を惹きつけるものに対して、興奮してしまうことも大いにありえます。突然道路に飛び出してしまったり、通行人に飛びついたりしたら大変です。「首輪」と「リード」はどんな時でも飼い主が一緒にいてワンちゃんを守る、責任を取るという一種の愛情の証しであると心に刻んでおきましょう。

また不意にリードが外れてしまった時に、身元を証明してくれる「迷子札」は首輪に付けておきましょう。保健所や警察署では、首輪だけでは身元を確認するのには不十分で、もしワンちゃんが迷子になってしまった場合、誰かに譲渡されるかもしれませんし、最悪の場合には処分されてしまうこともあります。考えたくない事態ですが、可能性はゼロではないのです。ぜひしっかりと、ワンちゃんと自分の関係性を第三者に分かるようにしましょう。

●トイレグッズは必ず持っていく

散歩中にふと犬が粗相をしてしまったという時のために、ビニール袋やティッシュペーパーを持っておくとよいでしょう。普通のビニール袋を使っても大丈夫ですが、最近では消臭効果の高いものや、そのまま土に埋めて返せるもの、燃えるゴミに出せるものなど、さまざまな種類があります。今では小型犬におむつとおむつカバーを履かせて散歩する飼い主も珍しくなくなりました。おむつやおむつカバーを使う場合には、ワンちゃんの大きさや性格と相談して、最適なものを選びましょう。

●のどを潤すお水も忘れずに

「犬は汗をかかないから、大丈夫かな」と思っている人は大きな勘違いをしています。散歩中にワンちゃんは大量の水分を舌から発散させているので、水分不足になってしまうことも大いにありえるのです。だから散歩の時には必ずお水を持って行きましょう。万が一、外にオシッコをしてしまった時も、持っている水で流して処理することもできます。


犬を散歩させることのメリット

●飼い主の健康促進とストレス発散になる

ワンちゃんにとって、飼い主と一緒に縄張りをチェックしながら主従関係を深める時間でもあり、外から刺激を受けて脳を活性化させ、ストレス発散の時間でもある散歩。たった30分〜1時間ですが、実は飼い主側にもメリットがあります。

まず、第一に健康促進になります。毎日決まった時間に運動する機会となり、犬の散歩で得られる飼い主のダイエット効果や、心理的なリフレッシュ効果も大きいと考えられます。特に日頃部屋の中で過ごす時間の多い人にとっては、よいストレス解消になるでしょう。

●ワンちゃん・飼い主にお友達ができることも

犬が好きな人との交流が生まれるのも散歩の楽しさです。毎日散歩する道ですれ違い、あいさつを交わすうちに気づいたら話をするようになったという飼い主は少なくないといいます。犬好きの人と知り合いになれば、ワンちゃんを通じておしゃべりを楽しんだり、お互いの困りごとに対するアドバイスなどを聞いたりすることもできます。またワンちゃん同士もお友達ができます。散歩は飼い主、ワンちゃんともに仲間を見つけられる絶好の機会になるのです。

ワンちゃんとの散歩とは、簡単なことのように思えて実は奥深いことが、おわかりいただけたでしょうか。散歩では飼い主が把握しておかなければいけないことがたくさんあります。しかし、そのことを理解していれば、ワンちゃんとの散歩は、とても楽しい時間になるはずです。

そして、散歩の時間をぜひ大切にして、1回ずつの変化にも気をくばっていけたら最高でしょう。1日2回程度のわずかな時間ですが、お互いによい影響を与えながら長く信頼し合える関係を築けるようにしましょう。




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タグ:犬の散歩
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