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2024年09月20日

パール・バックの“The child who never grew”(母よ嘆くなかれ)で発達障害と執筆脳について考える3

3 作家パール・バック 

 瞳が綺麗な笑顔の可愛い赤ん坊であった。しかし、キャロルが3歳のときに、会話の習得に異常を感じ、小児科の専門医を訪ねた。医者は、子供の過去や病歴そして高熱、風邪について質問してきた。しかし、生まれてから身体の異常などはなく、健全であり、怪我もしたことがなかった。中国では、何かが悪いそれしかいえない。アメリカに連れて行けば、何が悪いのかを突き止めることができる。(The child who never grew P17)
日本成人病予防協会(2014)によると、子供の心の病気は、発達の過程が正常からずれた発達障害と生育や対人関係などに起因すると考えられる行動と情緒の障害がある。キャロルの場合、前者の症状が見て取れる。
 アメリカのミネソタ州にあるクリニックで検査を受ける。小児科の先生は、検査結果を見て、身体的な問題はないとした。彼女は、音楽に興味を示した。しかし、メンタル面の遅れについては、理由がわからない。(P22)話しは上手くなく、読み書きもできないであろう、と彼は指摘した。彼のいうことを受け入れながらも、母親として試案をつづけた。(P25)
発達障害は、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥・多動性障害といった脳機能の障害であり、その症状は、通常低年齢で現われる。
 キャロルは、確かに教会の音楽、特に讃美歌が好きである。ジャズは嫌いだが、クラシックは聞く。例えば、ベートーベンの第五交響曲に興味を示すも(P29)、趣味や関心は、特定のものに限られる。

花村嘉英(2022)「パール・バックの“The child who never grew”(母よ嘆くなかれ)で発達障害と執筆脳について考える」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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