2017年04月06日
岩波文庫について
真理は万人によって求められることを自ら欲し、芸術は万人によって愛されることを自ら望む。
これが誰による言か、分かる方はいらっしゃいますか?
きっとあなたの家の中のどこかにも、この麗しき文章が書かれているはずです。
これは、岩波文庫の末尾に書かれている、岩波茂雄の「読者子に寄す」の第一文です。
岩波書店の創業者、岩波茂雄は幼い頃に父を亡くし、貧しい生活の中で母からの援助により勉学に励むことができたそうです。彼自身、真理を必死に追い求めた人であることは、彼が友人の自殺に際して、死について真剣に考えるために40日間山小屋に籠ったというエピゾードからも察せられます。その後、東京帝国大学哲学科で学を修めています。
そんな岩波茂雄の真理に対する情熱が、かの1ページに凝縮されています。その情熱はきっと、万人に届いているはずです。少なくとも私という一人の人間には十分に届いています。私の蔵書の圧倒的最多数は、他でもなく岩波文庫によって占められているのだから。
岩波文庫は極めてシンプルで、表紙に派手な絵柄などはありません。しかしそれは、できるだけ安く、真に価値のある本を私たちに提供するためなのだそうです。
私たちの懐具合まで考慮してくれていたとは!
本当に、岩波茂雄と岩波文庫には感謝しかありません。私は本屋の入り口付近に積まれている数々の華やかな本より、その片隅で静かに佇む岩波文庫のほうがよっぽどカッコイイと思います。
みなさんもぜひ一度「読者子に寄す」に目を通し、岩波茂雄のパッションを感じてみて下さい!
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