2017年01月05日
衝動篇〈いばら姫〉一章
一節
ふわあ、と小さな欠伸を1つ。
眠たげな瞳を開いて、
いばら姫は考える。
……眠い。
ベッドから出たくない。
ずっとずっと微睡んでいたい。
目覚まし王子は
邪魔なだけ。
――そうだ。
それなら作者にお願いして
ずうっと寝ていられる
世界にしようっと!
その望みに必要な代償が
他人の命だとしても。
茨の城の奥深く
綺麗な姫が眠ってる。
すやすや、すやすや、寝息を立てて。
呪いの姫が眠ってる。
Normal
- 【 いばら姫 】作者さ〜ん……どこ〜?
- 【 ギシン 】作者に会いたい?ならばコロそう!
- 【 アンキ 】周りはミンナ敵!だから殺ソウ!
- 【 いばら姫 】う〜ん、眠いよ……ぐう……
- 【 ギシン 】え、アレ?寝チャッターッ!?
Hard
- 【 ギシン 】ぐっすり安眠ニ必要ナノは何でショウ?
- 【 アンキ 】ベッドに枕、アロマに音楽?
- 【 ギシン 】ウンウン、どれモ大切デスね。
- 【 ギシン 】デモ一番大切ナノは――
- 【 ギシン 】誰もイナイ静かナ環境なのデスヨ。
二節
いばらのお城は眠りの揺りかご。
みんなぐっすり寝てるから、
入る際には静かにしてね。
三節
パパとママからお休みのキス。
優しくふんわりあたたかくて、
とってもとってもくすぐったい。
四節
太陽が昇っても、お月さまが昇っても、
ぐっすりすやすや夢の中。
今日はどんな世界に遊びに行こう?
五節
夢の中ではどこでも行けるの。
お花畑に綺麗な海。緑の山に青い空!
夢の世界で、私は自由だから。
六節
夢の中では何にでもなれる。
素敵な王子さまにだってなれちゃうの。
だから、本物はいらないかも?
七節
祝福してくれた魔法使いには悪いけど、
呪いをかけてくれた魔法使いに、
ありがとうって言えたらいいなぁ。
八節
眠りを与えた糸車。
周りはとっても憎むけど、
このまま眠り続けるのも悪くない。
だから――
九節
起こさないで。眠らせて。
ずうっとベッドの中で幸せに。
その願いを破るなら――
十節:前半
ぐっすり寝ているいばら姫。
その寝顔は
まるで天使のよう。
でもね?
実は、とっても
寝起きが悪いのです。
だから、起こす時は
優しくそっと
しないといけません。
なのに、お馬鹿な
ナイトメア。
いきなり姫を起こしちゃった。
あ〜あ、どうなっても知らないよ?
寝ている相手を起こすには、
優しいキスをおでこに一つ。
決して揺り動かしてはなりません。
Normal
- 【 いばら姫 】……起こしたの、誰?ギシン?アンキ?
- 【 ギシン 】違うヨ!アノお馬鹿なナイトメア!
- 【 いばら姫 】うん、りょーかい。死刑♪
- 【 いばら姫 】あと、起こさせたあなた達も死刑♪
- 【 アンキ 】キャーッ!ナンテ見事な八つ当たり!
Hard
- 【 ギシン 】いばら姫は寝起きガ悪イ。
- 【 アンキ 】下手ニ起こセバ殺サレまス。
- 【 ギシン 】姫ニとってハ睡眠第一。
- 【 アンキ 】それ以上ニ大切なモノなどアリマセン。
- 【 ギシン 】作者スラも眠りの手段トハネ……
十節:後半
姫の眠りを妨げた
無礼な無礼なナイトメア。
夢のいばらに取り巻かれ、
グサグサ刺されて死んじゃった。
姫は、ただ寝たいだけなのです
お日様の匂いのするシーツにくるまって
柔らかな枕に顔を埋めたいだけなのです
姫の願いは可愛らしくささやかで。
だから、それすら邪魔する者は
みんなみんな死ねばいい。
睡眠
それは、いばら姫を取り巻く、
呪いの糸車。
王子のキスより何よりも
柔らかなシーツを望む声。
それは、いばら姫のかわいい寝言。
ただひたすらに眠りを願う。
-
no image
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9001132
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。