2017年01月04日
衝動篇〈グレーテル〉一章
一節
少女は呟く。
ここはどこ?私は誰?
ああ――私は私。
愛しい兄様、御機嫌よう。
あら?なぜ武器を持たせるの?
これで殺すの?
誰を?どうして?
作者を復活に必要だからと
言われても、私には何もわかりません。
でも、兄様がそう言うのなら殺します。
絞った贄の甘い血で
とろけるお菓子を作りましょう。
迷い込んだ森には危険がいっぱい。
ほら、見てごらん。
また一人、
魔女の手により贄となる。
Normal
- 【グレーテル】兄様がそう仰るなら私、頑張ります。
- 【 ギシン 】兄様?兄様。首だけ兄サマ!
- 【 アンキ 】鳥籠兄サマ、お喋りスルノ?
- 【 ギシン 】するわけないジャン。だって兄サマは――
Hard
- 【 ギシン 】兄様兄様、ひたスラ兄様。
- 【 アンキ 】あの子の世界には兄様ダケ。
- 【 ギシン 】きっと私達の姿モ見えてイナイ。
- 【 アンキ 】多分ワタシ達の声モ届いてイナイ。
- 【 ギシン 】アの子のココロは深い深い森の中――
二節
まっくらの森。怖い森。
けれど大丈夫。
繋いだ手があたたかい。
三節
お弁当のパンを食べましょう?
けれど兄様は、
パンをちぎって捨てていくのです。
ああ、なんてもったいない。
四節
ちぎったパンは帰り道の目印に。
兄様は頭が良いけれど、
気持ちには驚くほどに鈍感で。
親の心子知らずとはよく言ったものでした。
五節
気づきました?
私と兄様は捨てられたのです。
でも構わないの。
私は兄様さえいれば……
六節
ちぎったパンは小鳥に食べられて、
帰り道はわかりません。
でも、それでいい。
だって2人でいられるから。
七節
2人で過ごす夜の森。
遠くで狼が鳴いています。
いっそのこと一緒に食べてもらえたら、
この上ない幸福だと思いませんか?
八節
ねえ兄様。
お腹がすいたら私を食べてくださいな。
だから、私も兄様を食べますね。
九節
兄様、兄様、二イさま、にいさま。
愛しい私の兄様。
私達は何があっても一緒です。
だから、答えて兄様。
十節:前半
あれはお菓子の家かしら?
どう思われます?ヘンゼル兄様。
ねぇ、お返事をしてください……兄様。
呼びかけても呼びかけても
兄様は答えない。
少女はとても悲しくなって、
兄様を入れた鳥籠を
激しく叩きつけました。
ころりと転がる兄様の頭。
兄様、兄様?
いいえ、あれは――
お菓子の家は魔女の家。
砂糖菓子の甘い誘惑。
一口食べたら、待つのは地獄。
Normal
- 【グレーテル】あ、あ、あ。
- 【 ギシン 】兄サマの首、コロリンコ!
- 【 アンキ 】ヒドイ妹!人でナシ!!
- 【グレーテル】あ、あああ!兄様、兄様ごめんなさい!
- 【グレーテル】私は僕は悪い子でだから僕は私は
- 【 ギシン 】アハハッ!意味ワカンナーイ!
Hard
- 【 ギシン 】首ダケ兄様、喋レルノ?
- 【 アンキ 】喋れるワケがないデショウ。
- 【 ギシン 】首ダケ兄様、聴こえてるノ?
- 【 アンキ 】聴こえるハズがナイでしょう。
- 【 ギシン 】ナノにあの子ハ兄様ニ必死で謝ってイル。
- 【 アンキ 】デモ、本当ニ謝りたい相手はダレ?
十節:後半
2人は一緒にいられれば、
ただそれだけで満足で。
あら?なのにどうして
作者の復活を望むのでしょう?
何の為に?何の為に?何の為に?
何の為に?何の為に?何の為に?
それは××をKasをkぎゃp
虚妄
それは、少女の首を絞める、
柔らかな真綿。
虚妄を見て少女が微笑む。
優しげな瞳は、愛おしさに満ちている。
それは、虚妄に捕らわれた夢の囚人。
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