2018年03月06日
シンデレラ / ソーサラー
それは美しさ故に疎まれ、文字通り灰を被って生きてきた娘。生きる為に矜持を捨て、継母と二人の姉に媚びへつらい、一人みすぼらしい服を着て、一人残飯を食べて生きてきた娘。
頼れるものなど誰もいない。雨風しのげる家に置いて貰えるだけで十分だと、心を偽り生きてきた娘。人でなく喋る肉だと足蹴にされて、殴られた美しの頬を醜く腫れあがらせた娘。
憐れで美しい娘こそ、魔法で助けるに値する。心が闇に飲まれる寸前に手を差し伸べて優しく与えた奇跡にこそ、人々は称賛と畏怖を送るのだと魔法使いは密かに笑う。
美しの娘。憐れな娘。灰かぶり。与えた奇跡は誰が為?しかし娘は知っている。それが魔法使いの偽善だと。ならばやるべき事はただ一つ。与えられた権利を貪り尽くすのみ。
【このカテゴリーの最新記事】
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/8604660
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック