2017年01月22日
妖精が魔力をかけるエルフ・ショットの“フリント”(火打石)
今なおケルトの妖精伝説が残っているイギリスなどには、妖精たちの使う弓矢の矢尻は、フリントで作られているという伝説がある。そして妖精たちは、人間や動物に対して矢を射たり、あるいは矢尻そのものを投げつけたりするのだという。このような妖精の行為を、人々は“エルフ・ショット”(妖精の一撃)と呼んでいるが、その結果は恐ろしいものである。妖精の矢尻に当たった人間や動物は、その場で死んでしまったり、そうでなくても重い病気になってしまうというのだ。
勿論、妖精が実際に弓矢を射る現場を目撃した人はほとんどいない。しかし、民話などには、突然死んでしまった牡牛の傍に妖精の矢尻が落ちていたとか、病気になった家畜の体から妖精の矢尻が発見されたといった話がよくある。そこで、人々は人間や動物が突然死んでしまったような場合に、それは“エルフ・ショット”のせいだと考えたのである。
ある言い伝えによると、かつてスコットランドの魔女が、妖精が人間や動物めがけてフリントの矢尻を投げつける場面を目撃したという。その話によると、彼女はあるとき妖精が棲む丘で、少年の妖精に出会った。彼は、悪魔の指示で矢の手入れをしていた。魔女は彼らと一緒に空を飛び、妖精が人間や動物たちめがけて矢尻を弾き飛ばすのを目撃した。だが、妖精の射撃は驚くほどヘタクソで、矢尻はしばしば的を外れたという。人間や動物が“エルフ・ショット”に襲われたことがない場所からもフリントの矢尻が発見されるのは、きっとそのせいなのである。
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