初版発行は2023年12月25日。メディアワークス文庫から発行されています。
第8回カクヨムWeb小説コンテストの恋愛部門特別賞受賞作です。
じつはこの小説、先日ひとから頂いたもので、有難く読ませてもらいました。
本をくれたのは昔からのご友人で、そのご友人はこの作者の父上です。
はい、「身内の宣伝案件かよ!」と言わないように。デビュー作をご家族が支えるという美談なので、心をふるわせてください。
個人的には自分の創作物が親バレ・身バレしたら嫌だなあ、とは思うのですが、それはたぶん自分が「見られたら困るようなモノ」しか創作しないからでしょう。この作品は、きわめて健全なので、親御さんも安心ですね。
あらすじはこんな感じです。
「家族を養うため田舎から皇帝廟の採用試験を受けに来た雨蘭。しかし、良家の令嬢ばかりを集めた試験の真の目的は皇太子の花嫁探しだった!
何も知らない雨蘭は管理人として雇ってもらうべく、得意な掃除や料理の手伝いを手際よくこなして大奮闘。なぜか毒舌補佐官の明にまで気に入られてしまう。しかし、明こそ素性を隠した皇太子で!?
超ポジティブ思考の雨蘭だが、恋愛は未経験。皇帝廟で起こった毒茶事件の調査を任されてから明の態度はますます甘くなっていき――。」
いちおう1冊できれいにまとまっています。
冒頭のご老人を助けるイベントが「課長・島耕作」を彷彿とさせる流れで、その後も美形糸目(CV:石田彰)のキャラが出てきたり、ライバルや意地悪をするモブ子さんたちが登場したりと、いろいろと伝統芸能を味わえる明朗恋愛小説です。
ヒロインがとても前向きで性格が良いので、読後感が爽やかです。
ちなみにヒロインの造形ですが、「鬼滅の刃」の主役3人を足して3で割ったような子です。
正直で前向きで家事に強い炭治郎と、畑を耕しまくる善逸、行動が猪突猛進な伊之助が合体しています。
まわりからのいじめや嫌がらせにも毅然と耐えられるのは、たぶん長男だからだと思います。
設定上は病気の兄や弟妹がいますが、「精神的に長男」なお嬢さんです。
読み進むと、ところどころに妙に可笑しいところがあるのですが、個人的にいちばんツボにはまったのは本文186頁。
(まさか・・・・・・この俺がな)
という主人公のモノローグ。
超絶美形にしか許されていない伝説のセリフを久方ぶりに拝見しました。長生きしてよかった。
宣伝チラシには「恋愛」「ときめき」「ハラハラ」のタグが付いています。
10代から50代ぐらいまでの男女問わず、ご満足いただける1冊と存じます。
皇帝廟の花嫁探し 〜就職試験は毒茶葉とともに〜 (メディアワークス文庫) [ 藤乃 早雪 ] 価格:770円 |
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