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2021年09月04日

ザ・ファブル(by 南勝久)

映画や小説やマンガなどを楽しむ人は多いと思いますが、意外と個人の許容範囲は狭いと感じています。
好みのジャンルというか、固有の傾向があり、全方位的にカバーしている人はごく少数かと思います。
管理人はよくマンガを読みますが、基本的には「少年誌」「青年誌」がメインで、いわゆる少女漫画系には疎い人です。また、ネットで配信されるマンガは追いきれないので、紙のコミックスで出版されなければ知らずに終わる作品も多数です。
その守備範囲である「少年誌」「青年誌」に関しても、全ての雑誌を網羅的に読んでいるわけではなく、特定の雑誌の特定の作品だけを時間の許す限り読んでいるだけです。
だって、日本のマンガコンテンツって、とてつもない量があるんだものー。

そんなわけで、管理人が日頃読まない雑誌、読まないジャンルを、今回、わざわざ読んでみました。
選んだのは、管理人が読まない雑誌の筆頭である「ヤングマガジン」の人気作「ザ・ファブル」です。
作者は南勝久。1971年生まれなので、2021年現在50歳かな。ベテランですよ。
「ナニワトモアレ」を2000年から「週刊ヤングマガジン」で連載開始して、「ザ・ファブル」は2014年からスタート。
ちなみに「ザ・ファブル」は2017年に第41回講談社漫画賞一般部門を受賞しています。

作品のあらすじはこんなかんじ。
「その伝説的な強さのため、裏社会の人間から「寓話」という意味を持つ「ファブル」と呼ばれる1人の殺し屋がいた。組織のボスからある日「1年間大阪に移住し、その間は誰も殺さず一般人として平和に暮らせ」と指示を受ける。「佐藤明」という名前を与えられ、付き合いのある暴力団「真黒組」の庇護の元、一般人として大阪での生活を始めるのだった・・・。」

マンガに登場する主役級の殺し屋は、ほぼ例外なく「伝説の殺し屋」なのですが、このマンガでもそのセオリーは踏襲されています。「伝説」にもいろいろなバリエーションがありますが、この作品ではストレートに最強です。本人風に言うと「プロとしてー」という強さです。
絵柄はがっつりと青年誌・劇画タッチですが、「大阪」の空気が作品全体を支配していて、コメディパートはもちろん、シリアスパートでもひたひたと可笑しさがこみ上げてきます。セリフ回しはすべて関西弁で、読者側もイントネーションなどを脳内で調整して読む「努力」が求められます。

「ものすごくヤバイやつ」がその正体を隠してひっそりと暮らしている、というシチュエーションはそれほど目新しいわけではないのですが、主人公のキャラクターが秀逸で、その「天然」っぷりが人気の秘訣かと思います。さらに言えば、主人公を取り巻く関係者、「妹」「ヤクザ」「仕事関係者」「組織の人間」など、どれも個性的で、キャラクターの面白さとストーリー展開の上手さで、累計900万部は伊達じゃないのです。
コミックスは全22巻で完結していますが、人気があってすぐに第2部が始まっています。
掲載誌はやはり「週刊ヤングマガジン」です。
この雑誌、かつては大友克洋の「AKIRA」を連載していたので、その当時はちょくちょく読んでいましたが、全体のカラーとしては「若くてヤンチャな男のヒマつぶし雑誌」というイメージが強く、だんだん遠ざかっておりました。
どんな雑誌にも面白い作品は載っているので、ときどきは自分の守備範囲から外れた作品を覗いてみるのもいいかも、っていうお話でした。
個人的には「BL(ボーイズラブ)」ものに何か素敵な出会いがありそうな予感がするんだけど、あのジャンルはどこから攻略したらよいのかが分からない。

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銀河大計画別館の管理人。 「銀河大計画」は、1993年から細々とやっている同人誌です。 ゆうすけが書いたネタや没ネタなどを、別館で細々と掲載します。どうぞよろしく。 アイコンコピーライトマーク卵酒秋刀魚さん。
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