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2025年03月02日

銀河大計画2025用原稿(その2)

銀河大計画2025用原稿の続きです


せめて夜がくる前に

筆者が一九八五年に製作した映画が「せめて夜がくる前に」です。
前年に「まいんどフレンズ」を撮っており、二年続けて監督をやろうとしましたが、脚本コンペでO氏の「未来からの挑戦」に負けました。その時書いた脚本のタイトルは、たしか「神様のピンチヒッター」でした。
映画を作りたいという気持ちが昂っていた時期だったので、SF研の分科会のひとつに「娯楽班」というのを設けて、そのチームで文字通り「自主製作」した映画がこの作品なのです。
純粋に映画を撮りたかったので、SFには拘らず、短くて分かりやすくて参加出来るメンバーでキャストを構成できる脚本を書いてみました。
SF研の映画は基本的に監督が脚本も書くのですが、実際は製作・プロデューサー(制作費を捻出したり機材をそろえたり出演依頼をしたりロケ地を選定したりとか、
制作にかかわる諸々のお仕事をする人)も兼ねているので、よくやったと自分に感心します。
この原稿を書くために、超絶久しぶりに本編を観たのですが、うわ、懐かしい。
さすがに監督二作目だけあって、多少上手くなっています。まあ、こういうのを自画自賛っていうのだと思いますけど。
シーンやカットの構成もこなれてきているし、なにより短いのが良いです。
自主製作映画はやはり一〇分ぐらいが限界だと感じました。
脚本は失くしたと思っていたら、SF研の会内誌「SFガーデン」六号で見つけました。「研究発表」という名目でまるごと収録されていました。
せっかくなので、全文転載してみましょう。なんたって著作権者が自分なので、気兼ねなく掲載できます。脚本の書き方とかが、本職のそれとは全然違いますが、気にしないでください。じゃあスタート。


静岡大学SF研究会 娯楽班製作8ミリ映画(一九八五) 

本格ハードロマンシネマ
「せめて夜がくる前に」

主な登場人物
北上翎(きたがみ りょう)
島岡由子(しまおか よりこ)
尾形怜子(おがた れいこ)
日下部直也(くさかべ なおや)

シーン1 水族館

大きな円筒形水槽の前に、十七、八歳の女の子(由子)がぽつんと立っている。
手には小さな布袋をさげ、ぼんやりと魚たちを眺めている。
円柱の反対側からゆっくりと歩いてくる男(翎)。
二十歳前後である。男は少女の隣に立ち、しばらく間をとってから話しかける。

翎 やあ
由子 ・・・やあ
翎 ・・・ 
由子 ・・・
翎 ・・・捜してたんだ、君のこと。親父さんに頼まれてね・・・
由子 ・・・
翎 戻ってこいって、悪いようにはしないからってさ
由子 ・・・
翎 由子
由子 なによ
翎 ・・・いいかげんにしたらどうだ・・・
由子 ・・・

シーン2 海岸

長い砂浜に翎と由子がいる。
由子が先を、翎がその後をついて波打ち際を歩いている。
沖には停泊中の大型船がかすんでいる。

由子 「島岡」は本気で言っているの?
翎 君の父親なんだぜ。あたりまえだろう。
由子 実の父がどうして娘の不幸を願うわけ?
翎 不幸を願っているわけじゃない。君と組のことを考えてのうえだ
由子 ウソよ
翎 ・・・そう思うのは君のわがままだ、由子
由子 ・・・ずいぶんな言いようね、お義兄さん
翎 ・・・

二人は立ち止まり、沖に目をやる。停泊しているのはタンカーだろうか。しばらく押し黙っている二人。その二人に近づいてくる者がいる。若い女(怜子)が一人とサングラスをした男が二人。

怜子 島岡由子さんですね
由子 ?そうですけど・・・何か用?
怜子 日下部直也をご存知ね
由子 !
翎 あんたら何だい
怜子 失礼、あたしは尾形玲子。尾形剣造の娘と言えば分かるかしらね。あなたのこと聞いてるわよ、島岡翎さん
翎 北上翎だ
怜子 ごめんなさい。そうだったわね。直也は何も教えてくれないものだから・・・
翎 その尾形組の娘が俺たちに直談判か!
怜子 あなたじゃないのよ、翎さん。その由子さんにお話があるの
由子 直也がどうしたのよ
怜子 待ってるんでしょう、日下部のこと
由子 ・・・
怜子 来ないわよ、彼。ううん、来させないわ
由子 ・・・
怜子 怖い眼をするのね、でもあきらめなさい。相手が悪すぎるわ
由子 ・・・あんたなんかに何が・・・
怜子 子供が火遊びすると後が大変よ

 由子、怜子に飛びかかろうとするが、翎に制止される。サングラスの男たち、とっさに二人の間に割り入る。

怜子 ふふふ・・・面白い娘ね
由子 殺してやる
男A 口を慎め
翎 口を慎むのはどっちだ!
怜子 由子さん、最後にいいことひとつ教えたげるわ
由子 !
怜子 日下部が本当に愛しているのはあたしなのよ

唇をかみしめて怜子を睨む由子。
怜子、男たちを引き連れて去ってゆく。

シーン3 海岸道路
 
 海岸沿いを走る翎の車。助手席には由子が座っている。

シーン4 事務所の一室
 
薄暗い部屋。
やつれたようにパイプ椅子に腰かけている日下部直也。
怜子がパンと缶コーヒー持って近寄る。パンと缶コーヒーを机の上に置く。

怜子 ねぇ
直也 ・・・
怜子 あの娘に会ったわ。そう、由子って娘に
直也 !
怜子 おっかない娘ね。あたしのこと殺すって言ってたわ
直也 何を言った
怜子 べつに。忠告をしてあげたのよ
直也 余計なマネだ
怜子 ・・・
直也 ・・・
怜子 ・・・ねぇ
直也 ・・・
怜子 父はあなたのこと、とても高くかってるわ
直也 ・・・
怜子 わたしもあなたのこと・・・だから、ね・・・

怜子、直也の正面に立ち、身を寄せ、首に腕を廻す。
睨みつけるような直也の視線。怜子、気をそがれて離れる。

怜子 はやく考え直したほうがお利口よ、直也さん

立ち去る怜子。ドアの閉まる音に続いてカギのかかる音がする。
直也、右腕でテーブルの上のパンと缶コーヒーを払い落す。

シーン5 海岸道路

翎の車、海沿いを走っている。
憮然とした表情で助手席に座っている由子。翎の表情はサングラスでよく分からない。

シーン6 島岡組近くの駐車場

歩いてくる翎。サングラスをしている。自分の車のドアを開けた時、後ろから男の声がする。

男B 翎さん!

ふり返る翎。

男B これ、親父さんが持っていけって・・・

翎、手渡された新聞紙の包みを受け取る。重さを確かめてから中身をそっと調べる。
自動拳銃だ。

翎 ・・・
男B も、もしもの時にって・・・

翎、小さく頷いて車に乗り込み、包みをダッシュボードに放り込む。

シーン7 ヤングランド(遊園地)

高架の上を滑走するジェットコースター。子供の歓声が聞こえる。
その高架の下のベンチに男と女が座っている。翎と由子だ。

翎 本当にここに来るって言ったのか
由子 うん・・・
翎 もし来なかったら・・・
由子 ・・・港で待てって・・・
翎 港にも来なかったら・・・
由子 ・・・
翎 ・・・

翎、ポケットから煙草を取り出し、ジッポゥのライターで火を点ける。
風になびく紫煙をしばらく眺めてから、口を開く由子

由子 ねえ・・・
翎 なんだ・・・
由子 どうしてあたしを無理にでも連れ戻さないの
翎 ・・・
由子 直也に会わせるなって言われてるんでしょう・・・
翎 ああ
由子 いいの?
翎 ・・・昔の友達と少し話がしてみたいんだ
由子 あなたが?
翎 そう
由子 昔の友達ねえ・・・

シーン8 事務所

時計が午後6時を指している。室内には誰もいない。入り口のドアがわずかに開き、倒れている男の足が見える。扉の外では男が二人倒れている。背の高い方の傍らに直也が膝をついている。息がわずかに荒い。格闘の跡のみられる顔と手。直也は男の上着の懐を探り、なにかを取り出す。拳銃だ。
拳銃を腰のベルトにはさみ、走り去る直也。

シーン9 清水港

夕暮れが迫る港に翎と由子が車で現れる。

シーン10 怜子の部屋
 
怜子、大きなリンゴを果物ナイフで剥いている。指先は真っ赤なマニキュア。
いきなりドアがノックされる。男の声。
 
男C お嬢さん!日下部さんが!

シーン11 港 倉庫見学通路
 
大きな倉庫の二階の見学通路に立ち、工場プラントを眺めている由子。
少し離れて翎が立っている。彼の手元には新聞紙の包みが見える。

シーン12 港 倉庫街

倉庫の間を縫ってバイクが近づく。直也が乗っている。人目につかない場所でエンジンを停め、駆け出す直也。
倉庫の三つ目の角を折れたところで人影が三つ見える。
一人は女、二人は男だ。女が一歩、前に出る。

怜子 あなたはもう少し賢い男だと思っていたわ
直也 そこをどけ
怜子 私はあなたにすべてを与えたわ。お金も地位も愛情さえも・・・
直也 どけ
怜子 あなたは私のもの・・・

直也、ゆっくりと腰の拳銃を構える。
怜子、二人のボディガードを制して直也に近づく。
直也、怜子の額をポイントし、トリガーに指をかける。
怜子、一気に直也に駆け寄る。直也の銃が弾丸を撃ち出す。弾丸は怜子の肩先をかすめ、怜子は直也に正面からぶつかる。
怜子は直也に体をぶつける寸前に後ろ手にしていた果物ナイフをひらめかせていた。

シーン13 港 倉庫見学通路

見学通路で手すりにもたれていた由子が一瞬、はっとする。
声にならない呟き。

由子 直也・・・?

シーン14 港 倉庫街

怜子と直也は抱き合うように立ちすくんでいる。二人の足元に少しずつ血溜まりができてゆく。

怜子 あんな小娘なんかに、誰があなたのこと・・・
直也 ・・・由子・・・
怜子 直也、ねぇ直也・・・私のこと愛してるって言って・・・
直也 ・・・

怜子、何かを言おうとするが、涙が溢れて声にならない。

シーン15 港 倉庫見学通路

見学通路に立っている翎と由子。あたりはすでに宵闇がたちこめている。
唇をかみしめてうつむいている由子。
翎、紙包みにわずかに目をやり、ポケットから煙草を取り出す。
ジッポゥのオイルライターの灯が一瞬だけ夜を追い払った。

END



・・・如何でしょうか。
当時二〇歳だったことを考えると「若気の至り」に満ちていて死にそうになります。
基本としては「ロミオとジュリエット」の翻案ものなのですが、アラを言い出すときりがないですね。
完成した映画では、この脚本に描かれたシーンのいくつかがカット・変更されています。夏休みではなく、初秋の余暇時間に撮っているので、ロケ地を減らしたりシーンを削ったりして、いろいろとやりくりした撮影になりました。
衣装は役者さんが各自で用意、といういつものパターンでした。怜子役のU子さんが、白いコットンのセットアップにサングラスと黒手袋、という素晴らしい衣装で来てくれたので、監督的にはガッツポーズです。そのくせ翎の役で出演していた自分は、紅いボタンダウンシャツに上着も羽織らないというひどい格好で、いまだに後悔しています。ちなみに上着は演出上必要となるのですが、当時はそのことに気が付かなかったようです。ダメな監督ですね。
ダメ出しのついでに、基本的な作劇上の問題点を指摘しておきましょう。
脚本に書かれていて、本編ではカットされたシーンに関してですが、シーン6で翎が拳銃を渡される場面があります。映画ではカットされています。
この拳銃は、文字通り「チェーホフの銃」です。「ストーリーに登場するものは全て必然性がなければならない」というアレです。この場合の拳銃は、登場するからには必ず使用されなければいけません。
シーンごとカットされたので、翎は拳銃を持っていないため、結末はこれでもアリなのですが、本来の脚本通りに進行した場合は結末を変える必然が出てきます。翎に上着が必要なのは、渡された拳銃を見えないように忍ばせるためです。港に到着したシーンで、銃を上着の内側に隠すカットを入れるべきでしょう。
それを踏まえたうえで、本来ならこういう展開になるであろうという結末を、四〇年ぶりに書き直してみました。例によって脚本の書き方は不正確ですが、「幻の改訂版」としてご笑覧いただければ幸いです。
それではシーン14からご覧ください。



改訂版

シーン14 港 倉庫街

怜子と直也は抱き合うように立ちすくんでいる。二人の足元に少しずつ血溜まりができてゆく。

怜子 あんな小娘なんかに、誰があなたのこと・・・
直也 ・・・由子・・・
怜子 直也、ねぇ直也・・・私のこと(ここで銃声)

怜子が驚いたような顔で直也を見上げる。
直也、ゆっくりと怜子の視線を受け止める。
怜子、何かを言おうとするが、言葉にならずそのままずるずると崩れ落ちる。
拳銃をゆっくりとおろす直也。腹に刺さっているナイフを抜いて捨てる。
慌てて怜子に駆け寄るボディガードを無視して腹をおさえながら走り去る直也。

シーン15 港 倉庫見学通路

見学通路に立っている翎と由子。あたりはすでに宵闇がたちこめている。
唇をかみしめてうつむいている由子。

直也 由子!

自分を呼ぶ声にはっとして声の方向に振り向く由子。
振り向くと血まみれの直也が階段から這いあがってくるのが見える。

由子 直也!

駆け寄る由子。
直也、由子の後ろにサングラスをかけた男がいることに気付き、とっさに拳銃を構える。
それに気付いて反射的に銃を向ける翎。
暗い倉庫通路にマズルフラッシュが二つ連続して光り、それに併せて銃声が二発連続して響く。
目を見開く由子。
直也が撃たれて倒れている。
由子、直也を抱き起こす。
直也、何かを言いかけるが、言葉にならない。

由子 ああああああ!

由子が叫びながら振り返る。
右肩をおさえた翎が呆然と立っている。
だらりと下がった右手に持った拳銃の銃口から血が滴り落ちる。

翎 由子・・・

言いかけたところで銃声が響く。
胸をおさえながらゆっくりと前のめりに倒れる翎。
由子が拳銃を構えたまま固まっている。
震えている由子。
夜が静かに始まっている。
ゆっくりとフェードアウト。

真っ暗な画面に銃声が一発だけ響く。

汽笛が鳴る。

END





ということで、改訂版のラストシーンでした。
これが正解、という訳ではないのですが、当初の脚本の流れから行くと、必然的にこういう展開になります。「ロミオとジュリエット」的な悲劇を演出するのであれば、やはり主な登場人物は全員死亡、というのが最悪で最適なルートだと思います。
意外性を求めるならばさらに変化可能ですが、いずれにしても翎の拳銃は発砲されなければチェーホフに叱られます。
一方で、完成した映画本編では基本的に誰も死にません。直也は刺されますが、果物ナイフで腹部を刺されたぐらいでは人はなかなか死なないので、その後はみんな幸せに暮らしましたとさ、という余韻すら感じます。
当時はどこまで考えて脚本を書いたり映画を作ったりしていたのか思い出せませんが、若さゆえに「思い切り」が足りなかったのかと感じます。登場人物に遠慮があるというか、自分の狭量な倫理観に縛られているフシがあります。
これを読んでいて、これから映画を撮ったり物語を書いたりする予定がある方は、ぜひ自分の殻やモラルを打ち破り、自分に隠された本質を掘り起こすような挑戦をしていただけると幸いかと存じます。なんてね。


最後に、オフショット的に当時の撮影エピソードや裏話などを拾っておきます。
脚本が掲載されたSFガーデン6号に掲載されていたものを一部抜粋しています。


撮影エピソードと蛇足
SFガーデン6号(1985)から一部抜粋

〇月X日 三保の海岸でロケ。強風下、吹き飛ばされたシナリオをスタッフが必死で追いかける。海は油断できない。フレームを合わせていると、アベックが入るのに気付く。平日の昼間からとてもイヤらしいコトをしている。皆で注目していたらお帰りになった。天誅である。

〇月X日 直也が小部屋から逃げ出すシーンは、済生会病院の屋上で撮られた。さて本番を、と思った時のこと、なんと看護婦さんが来てしまった。現場には変な男が二人転がり、グラサンに銃を持った男が立っている。彼女の表情がこわばった。すかさず監督以下スタッフが説明を施したが、彼女が真に理解を得たかは不明である。

〇月X日 直也がバイクで港へ向かうカットは実際に清水港の公道上で撮影された。彼が無免許・ノーヘルで水上警察の前を駆け抜けたのは知る人ぞ知る事実である。

〇月X日 怜子が後に凶器となる果物ナイフを使ってリンゴを剥くシーンを撮る。彼女がこの日のために、秘かに皮むきの特訓をしていたというのは知る人ぞ知る事実である。

〇月X日 ラストの刃傷シーンは清水港の立入禁止地域で撮られた。笑いながらナイフを刺したり、無表情で苦しんだり、絵の具のような血が流れたりと、なかなか楽しい撮影だった。

〇月X日 アフレコは雑音の問題でスタジオが長延荘から怜子嬢のお宅へと移った。そこで我々がスシをごちそうになったという事実は伏せておかねばなるまい。

〇アフレコについて補足。8ミリフィルムにアフレコで音を入れる場合、映写機にマイクを繋げて録音するわけですが、どうしても映写機のカタカタ云う駆動音がセリフと一緒に収録されてしまいます。それがイヤだったので、映写機をベランダに出して部屋を閉め、窓ガラスに映した映像を見ながら静かな室内でアフレコを行ったのです。ちなみにこの問題に関して、フィルム映像をビデオで撮影したうえで、そのビデオテープでアフレコしたものをフィルムの音声トラックに記録する、という方法が開発されました。

〇海岸のシーンでは背景音として波の音が入っていますが、撮影時に海で録ったものではありません。実際の波の音は、録音してもそれらしく聴こえないのです。あれは監督が下宿で小豆を衣装箱の蓋に入れて、左右に揺すりながら作った「擬音」です。ネットが無い時代は、いろんな効果音を手に入れるのに相当苦労しました。

〇映画のタイトルは一九七九年に公開された「白昼の死角」という映画の主題歌から引用しています。ダウンタウンブギウギバンドの「欲望の街」という曲です。

〇映画のBGMは、ジョージ・ウィンストンの「Autumn」というアルバムから「あこがれ/愛」という曲を使用しました。当時かなり流行した曲で、CMなどで多数使われました。全編このピアノ曲で通したのは、前作からの反省で、「好きな曲を節操もなく使う」という姿勢を正しました。
暴力的な作品の劇伴に静かなピアノ曲を使うのは、意外と親和性が高くて良い選択だったと信じています。ちなみにこの映画を観た北野武が後に自分のフィルムに久石譲の曲を使うことにした、というのは完全なウソです。

〇この作品が完成した直後に刊行されたSF研正会誌「シェラザード」5号には、怜子役のU子さんが手掛けた短編小説「せめて朝がくる前に」が掲載されています。内容は本映画とは無関係ですが、タイトルの遊び心が一興。世界の終末と地球の再生を描いたSFの秀作です。

〇SF研究会で、年に二本映画が製作されたのはこの時が最初で最後なのかもしれません。自分が卒業した後のことは分からないので、もしかしたら最後ではないのかもしれませんが、今にして思うと、そら恐ろしい執念を感じます。このパワーをもっと別の方向に向ければ、などという野暮なことを云ってはいけません。
やりたいことをやりたいときにやる、というのが人生を悔いなく生きる処方箋だと信じてこの稿はおしまいです。
タグ:銀河大計画
posted by ゆうすけ at 17:28 | TrackBack(0) | 同人誌

銀河大計画2025用原稿(その1)

「銀河大計画2025」作成用の原稿です。
このブログ消滅まで一時的にアップしておきます。


胡乱げ回想シーン


まえがき

今回の「銀河大計画二〇二五」を発行するにあたり、参加メンバーがおおむね還暦を迎えるということで、なんかそれらしい企画をやろうか、ということになりました。
漫画家の島本和彦が「アオイホノオ」という作品で、八〇年代に自分が大学に入学してからプロとしてデビュー・活躍するに至るまでの軌跡を自伝的に描いています。
島本先生は我々の少し前の世代で、作品の時代性がリアルに感じられるので、「よし、これでいこう!」という安易な考えで今回の企画は始まりました。
無謀ですね。
同じ八〇年代とはいえ、赤の他人の回顧録を読みたがる読者がはたして存在するだろうか。いや、いるわけがない。
というわけで、極私的な備忘録に限りなく近い還暦野郎の回顧録が始まります。
舞台は静岡県に実在する某国立大学、時代は八〇年代半ばぐらいです。
刮目せよ。



映画製作と機関誌発行にまつわるエトセトラ

今からざっくり四〇年ほど昔。
静岡県静岡市にある某国立大学に入学した私は、なぜか「SF研究会」というサークルに入っていました。
その経緯は「少年A」という別掲のマンガに描いたとおりだと云いたいけれど、あれは創作です。本当の理由は本人にもよく分からない。
そのサークルではいろいろな活動をしていたのだけれど、今回はメインだと思われる「映画製作」と「機関誌発行」について書いてみます。基本的に自分が関与した作品や機関誌について、不確かな記憶に基づいて述べさせていただきます。


8ミリ映画製作

他の大学ではどうなのか知りませんが、S大SF研究会ではなぜか毎年夏休みを利用して映画を製作していました。
各自でオリジナルの脚本を書き、コンペで優秀作を選び、執筆者が原則的に監督となって、若手中心で配役を決めて、機材等も自前で揃えて撮影をします。
完成した映画は、秋に大学祭があるので、そこで「研究発表」の一環として上映されるのです。
じつは私が入学したときには、過去作は一本だけでした。というのも、SF研究会の設立がたぶん七〇年代終わりか八〇年代初頭なので、一九八三年に入学した時点では、映画製作イベント自体が始まったばかりだったのです。
自分が製作に携わったのは二作目からなのですが、参考までに一作目についても少しふれておきます。それぞれの作品のタイトルとあらすじ、ログライン(物語を一文で説明したもの)をざっくりとご紹介いたします。

一作目(一九八二年製作)
「ユートピアへ」
滅亡の危機に瀕した「SF研」のメンバーは伝説のユートピア「人文棟」をめざして旅立つ。多くの困難を排して「人文棟」へ辿り着くが、そこは求めていた「ユートピア」ではなかった。
(ユートピアを求めて旅に出るけどダメでした)

二作目(一九八三年生製作)
「サバイバー」
地球に不時着した異星人は、知的障害のある青年とテレパシーによる交流を得るが、ハンターの凶弾により殺されてしまう。
(異星人と友達になるけど死に別れる)

三作目(一九八四年製作)
「まいんどフレンズ」
テレパシーで通じ合うことが出来る大学生で恋人同士の紘と春奈は、それぞれに別の異性が気になり関係が崩れかけるが、紘の事故をきっかけに再び絆を取り戻す。
(テレパシーをもった恋人の痴話喧嘩)

四作目(一九八五年製作)
「未来からの挑戦」
教授の不審な死亡事件の調査で大学を訪れたSSSTのエージェントは未来人による侵略が進められていることを知り、これを迎え撃ち勝利する。
(正義のエージェントが未来人と戦って勝つ)

五作目(一九八五年製作)
「せめて夜がくる前に」
ヤクザの娘由子は敵対する組の若頭である直也と恋仲になり駆け落ちを図るが、直也を愛する敵組の令嬢に妨害され逢うことはできなかった。
(報われない運命の男女が刃傷沙汰に及ぶ)

六作目(一九八六年製作)
「ラッキーⅣ」
大学の心霊研究会のメンバーが幽霊に取り憑かれたことから、その除霊を巡ってさまざまな騒ぎが巻き起こるが、元カノだった幽霊は自分で消えてしまう。
(幽霊の除霊を巡るドタバタ劇)

七作目(一九八七年製作)
「奪還指令」
何者かに極秘のマイクロフィルムを奪われた事件にSAIチームが出動し、フィルムの奪還と悪の組織シグマとの対決に臨み、勝利する。
(正義のチームが悪の組織と戦って勝つ)


うん、わりと多いですね。一作目を除くと六本もある。
順番に少しずつ書いてみましょう。


ユートピアへ

S大SF研での8ミリ映画第一弾。ユートピアを目指すロードムービー的な何か。筆者が最初にサークルで観た作品がこれでした。
なんというか、ラスコー洞窟の壁画のような作品。新石器時代に製作された、と言われても「へえそうなんだ」と応えてしまいそうなフシがある。なにもかもが初めてだったので、手当たり次第にやってみた感に溢れています。衣装や美術にはけっこう凝っていて、意外と制作費は高かったんじゃないかと思われます。
自主製作映画というものを観たことがほぼ無かったので、いろいろと衝撃を受けました。別掲の「少年A」というマンガはその印象を元に描いていますが、繰り返しますけど創作ですので念のため。


サバイバー

筆者が初めて製作に関与した作品です。
大学一年の夏は、これを作っていました。
撮影助手とか照明とか雑用係だと思っていたんだけど、この原稿を書くためにあらためて数十年ぶりに見直してみたら、しっかり出演しています。一年生などの新入会員は原則的に出演するお約束だったので、不思議ではないけれど、完全に忘れていました。浮かれた若者の役で、昼間から酔っぱらって田舎道を歩いていたら、草むらから出てきた異星人とばったり出くわして腰を抜かします。どういう状況なんだよ。
第二弾ということで、いろいろと少しずつ進化した弥生時代ぐらいの作品です。
異星人の着ぐるみを頑張って作ってみたり、動物と心を通わせることができるという設定を見せるため、下宿に通ってくる猫を捕獲して、海岸まで連れて行って無理矢理出演させてみたりしています。
個人的にはオープニングのタイトルバックを作ったのを覚えています。
題字や役名などをせっせと黒い紙にホワイトで書きました。8ミリカメラはアナログなので、昨今のデジタル画像みたいに簡単にスーパーインポーズが出来ません。多重露光という技術を使い、黒地に白文字のタイトルなどを撮影してからフィルムを巻き戻し、もう一度風景などを撮影するのです。これで文字が合成されるのですが、撮影時に露出を上手く調整しないと綺麗に仕上がりません。この映画では、オープニングに使ったフィルムが室内用の高感度(ISO二〇〇)タイプだったので、全体に青味がかっています。
本編の撮影は、基本的に上級生の経験者がやっていたので、自分が撮ったカットはこのオープニングの合成カットだけです。ちなみに使用していたカメラはフジカのZ450だったはずです。電動4倍ズーム付きで、フィルム巻き戻しクランクもありました。
8ミリ映画製作というものを初めて体験したので、撮影から編集、アフレコまで、何にでも首を突っ込んで技術の習得を図っていました。どの工程でもやりたいといえばどんどんやらせて貰えたし、先輩諸兄もそれほど経験を重ねていたわけではないので、一緒に考えて工夫して作り上げた、という作品でした。


まいんどフレンズ

うわ出た。
筆者の初監督作品でございます。
あらすじは前述のとおりですが、五作目の「せめて夜がくる前に」も監督しています。
ふたつの作品に共通しているのが、テーマの抒情性です。言葉を選んでいますが、なんというか、やけに恋愛とか色恋とか情念に偏っていませんか。筆者の嗜好なのでしょうか。
敢えて否定はしませんが、もう少し掘り下げて考えてみると、「SF研」と「映画」のアンビバレンツな状況が見えてきます。
昔からよく言われている説に「SFは人間が書けていない」というものがあります。
空想科学的なアイディアや設定、ギミックなどに執心して、肝心の登場人物からリアリティが欠落している作品を揶揄したアレです。すべてがそうとは言えませんが、思い当たるフシもあります。
SF研で映画を作るのだからSF作品を作るべきだ。という前提に、当初から疑念を抱いていた筆者は、SFの風味をできるだけ薄くして、かわりにもっと「映画らしい」作品を撮ってみたくなっていたのです。
「SF」と「映画」とは相性が悪いわけではないのですが、多少なりともリアリティのある映画を撮ろうとすると、SFから離れてゆく気がしたのです。
特撮とか光学合成、宇宙人とかUFOは無しにして、大学生がそのまま大学生の役を演じる無理のない設定で、ゆるいSF作品にしようと考えました。
それではと、テレパシー能力をもった大学生カップルの恋愛劇の脚本を書き上げました。
監督になって、大学二年の夏休みをつぶして、がんばって撮影や編集をしました。
出来上がりました。
観てみましょう。
・・・うわ、なんだこれは。
自分でも驚くぐらい痛い作品に仕上がりました。
これを書くために、死ぬ気で数十年ぶりに見直したのですが、ざっくりと三つぐらい指摘できる部分があります。
ひとつめは演技。
役者の経験がない学生が出演するわけなので、素人臭いのは当然ですが、監督がきちんと演出していないので、キャラクタの性格や役割がぼんやりしています。
責任者は誰か。あ、オレか。
ふたつめは脚本。
物語、とくに映画の物語については、別の言葉で言い換えることが出来ます。
それは「変化」です。はじまりから終わりに向けて、何かしらの変化が生じるのが物語なのです。
この作品、じつは物語になっていません。
ニューウェーブやポストモダンを狙っていたかというと、べつにそんなことはなくて、単に脚本作りがヘタクソだった、というだけです。
恋人同士がちょっと浮気してヨリを戻す、というだけの話なので、出発地点から全然動いていないわけです。
古典的な「行きて帰りし物語」でも、宝の獲得とか主人公の成長などがあるわけですが、この映画には特にそういうものが存在しません。
責任者は誰か。あ、オレか。
三つめは編集。
映画製作でいちばん要になる作業は、ポストプロダクションの中の編集です。
撮影は重要というか、これがないと映画自体が存在できないので省きますが、その撮影した素材を活かすも殺すも編集次第なのです。
なんというか、観ていてイライラするぐらい間延びしている。
作品が四〇分ほどあり、自主製作映画としては長尺なのですが、どう考えてもあと一〇分は縮められる。縮めなさい。
無駄なシーンや冗長なカットが多い原因は明らかです。
撮影した本人が編集をやっているからです。
「せっかく苦労して撮ったんだから使わないともったいない」
という貧乏臭さが作品をダメにしてしまう典型例ですね。
従前の作品に比べれば編集の技術もかなり向上しているのですが、まだまだ思い切りが足りません。編集はできるだけ第三者にやってもらうのが宜しいかと存じます。

といった感じで初監督作品を振り返ってみました。
これを読んでいて、映画本編をご覧になっていない方もあろうかと思いますが、べつに観なくて良いですからね。むしろ観ないでそっとしておいて欲しい。
そんな恥ずかしい気持ちもすぐに忘れて、じつは二本目も監督しているのです。二作目の「せめて夜がくる前に」は、一作目よりもさらに開き直り、すでにSFはやめております。
SF研究会制作の、本格ハードロマン映画なのです。
長くなるので別稿として記述してみました。
なんかいろいろとすみません。


未来からの挑戦

四作目です。
本作は「銀河大計画」の主筆であるO君が監督を務めています。
この時期から映画製作の近代化が大きく前進しました。オープニングにヘタクソな多重露光を使うのをあきらめ、CGを使用しています。といってもCRTモニタを直撮りしているだけですが、それでも当時は観る人をビビらせるのに充分でした。
この年は筆者も脚本コンペに出馬したのですが、あえなく落選しました。クレジットには「総監督」というような肩書になっていますが、とくに何をしたというわけではないのです。大学三年で、ぼちぼち就活を始めていた頃です。
あらすじにあるとおり、S大学を舞台にしています。裏山(S大学は裏山を含めると全国でも最大級の広さを誇るキャンパス?があります)で撮影をしているときに助っ人でカメラを廻した記憶があります。
未来人とSSST(科学特捜隊)とが戦うシーンで、裏山の木立の中を隊員に走ってもらい、逆光の流し撮りでアクションらしいカットになったはずです。
O監督は筆者と違って抒情性を排したクールなダイナマイトガイなので、映画もそんな感じに仕上がっています。自主製作映画は、監督の趣味・嗜好がモロに出てしまうので、そのあたりを味わうのも一興かと存じます。


せめて夜がくる前に

夏に製作している公式なSF研映画ではなく、筆者が「分科会」を利用して撮った番外編。四作目の「未来からの挑戦」が終わった後、秋に撮影されました。
SF研映画は毎回夏に撮影しているので、たまには秋とか冬とか、Tシャツ姿じゃない映画を撮りたい、という気持ちも強かったのは本当です。
詳しくは別稿に書きましたので、そちらをお読みください。


ラッキーⅣ

S大SF研映画のエポック。「サバイバー」以降、わりとシリアスな映画ばかり製作していた反動なのか「タガの外れた映画」が出来てしまいました。
幽霊が「ゆーれい」と書かれたプラカードを持って、自分の除霊にテクテクとついていくような映画です。
ものすごく胡乱な記憶ですが、元々はシリアスな内容だった脚本を、監督を再登板したO君が書き直し、ギャグというかドタバタ劇に仕立てたはずです。
筆者は四年生だったので流石に現場にはほとんで入らず、ときどき進捗を聞いていました。かなり楽しい現場だった、らしいよ。
一度だけ撮影を任されたところがあって、冒頭で心霊研が記者を追いかけるシーンがそれです。カメラを目いっぱい低い位置に据えて、追手の足元を狙って迫力が出るような絵にしました。久しぶりにカメラを廻して楽しいひと時でした。
ちなみに筆者は監督の好意により、アフレコでカメオ出演しています。
召喚されて「オレがカントクだあ」と言っている声は、本当の監督ではなくて、オレです。


奪還指令

この映画が製作された時期には筆者は卒業して社会人になっていたはずなんだけど、なぜか撮影を少しだけ手伝った記憶があります。
じつは某日、部屋の片付けをしていたら、その原因がわかりました。古い冊子に混じっていくつか手紙が出て来て、その中に総監督のO君から「合宿で映画の撮影をするから必ず手伝いに来てくれ」という指令があったのです。
うん、なんか誘い出されたらしいね。
そんなわけで、雄大な富士山の西麓に広がる朝霧高原へ出かけました。
S大学の合宿施設があるので、昼間は撮影、夜は宴会です。
卒業してすぐだったので、わりとOBの参加率が高い合宿でした。
施設の近くで、マイクロフィルム強奪犯とSAIの隊長とが、金の引き渡しをするシーンを撮ります。ちなみに要求金額は十億円です。そのお金はOBが乗ってきたスズキのアルト・ワークスに積んである、という設定。トランク十個分が軽自動車の荷台に乗る訳ないだろう、と考えた方は素人です。現金は十万円金貨で用意されていたのです。知らんけど。
筆者は当日に脚本を読んで、絵コンテなしでぶっつけ本番の撮影に臨みました。役者の二人は女性でしたが、どちらも芝居が出来る人だったので、あまりカットを割らずに長回しでいこうと考えました。
二人の緊張感がある場面を、狭い車内から手持ちでゆっくりパンをさせて撮ります。なんかすごく映画らしいカットが出来ました。
このほかにも敵組織の首領と対峙するシーンなどを撮って、撮影合宿は無事終了しました。その後完成したフィルムを観る機会があったのですが、すっごい特撮シーンとか、すっごいラストシーンが加わって、すっごい感動しました、はい。

じつは作品ラインナップに入れていないものがひとつあるのですが、それは「予告編」だけ作ったものです。たしか大学四年の秋から冬ぐらいの製作です。
「ヴァリアント・ブリッツ」というタイトルで、謎の活劇映画になるはずでしたが、そんな元気も時間もなかったので、それっぽいカットだけ細切れに撮って、三分ぐらいの予告編になりました。
寒い時期の映画が撮りたかったんじゃないかな。
毎回出て頂いているU子さんに無理を言って、県立美術館の外苑でちょっとおめかしした格好でPV的映像を撮っています。せっかくなので自分もドレスアップして、モノクロフィルムでスチル写真も何枚か撮りました。晩秋の天気が良い日に、8ミリカメラを抱えておデートしたかっただけかもしれません、


ということで、八〇年代半ばに行っていた8ミリ自主製作映画について、曖昧な記憶を辿って記してみました。やはり自分で監督した作品についてはいろいろ思い出せますが、そうでないものは忘れがちです。当時のフィルムはビデオというか、DVDにおとしてあるので、今でも観ることはできるのですが、こういう機会でもないと見直すことはないですね。
タグ:銀河大計画
posted by ゆうすけ at 16:54 | TrackBack(0) | 同人誌

2024年12月31日

銀河大計画annex閉館のごあいさつ

こんにちは、「銀河大計画annex」管理人のゆうすけです。

ファンブログのサービス終了に伴い、このブログは本日をもって終了することにいたしました。
多くの方々に支えられながら、6年間も続けてこられたこと、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

ブログを始めた頃はいつまで続けられるか特に決めていなかったのですが、ここまで続けることができました。ありがとうございます。
とりとめもなく、週に1回ぐらいの更新でしたが、おつきあいいただけた読者の皆さんに、心から感謝しています。
ここのブログは終了しますが、別のサービスで静かに新装開店しております。
ひっそりと続けて参りますので、ご縁があればまたお会いできるかと思います。
その時はどうぞよろしくお願いいたします。

ゆうすけ「銀河大計画annex」20241231

2024年12月29日

コミティア30thクロニクル(コミティア実行委員会編)

comithia01.jpg

コミックマーケット105が開催された2024年12月29日です。
管理人は自宅でのんびり過ごしています。
年越しに当たり、近所の図書館で何冊か本を借りてきたのですが、そのなかのひとつが標題の「コミティア30thクロニクル」です。
コミティアの30年の歴史を紐解くような名作・傑作・実験作が全3冊にまとめられています。

「コミティア」というのはマンガ同人誌の展示即売会です。
他と違うのは「オリジナル作品だけの同人誌即売会」であるということです。
参加は自由で、プロ・アマを問いません。
1984年に第1回が開催され、2014年に30周年を迎えました。今年は2024年なので、もう40周年ですね。
30周年を記念して編集されたのがこの「クロニクル」で、30年間に集められた見本誌から選ばれた作品が、ぎっしりと詰まっています。
管理人が好きな作家のかなり多数がコミティア出身だと分かり、驚きを隠せません。
各巻600頁超で、全3巻。電話帳ぐらい(この比喩って分かります?)のボリュームです。

管理人は1993年頃から細々と同人誌を出していました。
というのはウソで、じつは中学生ぐらいから漫画の同人サークルに所属していたので、同人誌歴は40年以上です。コミティアより長いんです、なんかすみません。
ただし、それほど熱心にマンガを描く人ではないので、描いた作品はほんのわずかです。
ただ、こういう作品集を読むと「もっと必死にマンガ描いてたらよかったかも」という気持ちが湧いてきますね。
いや、漫画家になりたかったわけではなくて。マンガを描く、という行為が尊いのです。
ひとりでお話を考えてキャラクタを作り、背景の美術から人物の衣装・小物に至るまで用意して、演出や効果も全部やる。小説などに比べて、圧倒的に情報量が多いので、作るのもそのぶん手間なのです。
日本のマンガが世界で注目されるのも、こんなめんどくさいことを自発的にやる人々が驚くほどたくさんいるからです。この分厚い作品集は、いわばコミティアの頂点に近い部分なので、その裾野はものすごく広大なのです。
図書館で借りてきた、と書きましたが、じつはこの本は図書館に寄贈するプロジェクトがあったのです。
なかなか素晴らしいアイディアだと思います。
希望があった全国の図書館や学校の図書室に贈られたようです。
これを読んだ若い人たちが、自分も何か描いてみようと思ってくれたら嬉しいですね。
マンガは読むけど一度も描いたことがないという人は、料理を一度もしたことがない人と同じぐらい人生を損していると思うので、何歳からでもチャレンジしてみるといいですよ。
posted by ゆうすけ at 15:53 | TrackBack(0) | 同人誌

2024年12月28日

コミケ105に参加します

2024年もあとわずかですね。管理人のゆうすけです。
2024年12月29~30日に開催されるコミックマーケット105(コミケ105)にサークル「大滝組」は参加予定です。
日時は12月30日(月),二日目です。東ウ-43bです。
会場は東京ビッグサイト。入場は有料になっていますのでご注意ください。
今回も新刊は出ていないので既刊の「銀河大計画2023」が並びます。
管理人は「静岡異聞」「AIメイドギャラリー」という2稿を書いています。
いずれも生成AIに関する内容です。ご興味があって当日ビッグサイトへお立ち寄りの方は是非。
「銀河大計画」は次は2025年に新刊発行予定です。
メンバーがほぼほぼ還暦を迎えるので、還暦記念号です。昔話だらけになりそう。
年末寒波が予想されますのでお出かけの方は防寒とインフルエンザにご注意を。
posted by ゆうすけ at 07:23 | TrackBack(0) | 同人誌

2024年12月21日

道草屋(by桃色CODE)

狐の親子がまた明日 夕焼け小焼けに手をふった
お宿は小さな軒の下 明日も笑っていますように.

童謡のような歌ですが、誰の何という曲なのかは知る人もない。
創作なのかもしれないし、どこかのわらべ歌かもしれない。
「道草屋」という音声作品シリーズでよく謡われます。
ほかでは聴いたことがないので、この作品でのオリジナルなのかな。

ということで「道草屋」です。
「道草屋」は、2013年11月から発売されている安眠用音声作品のシリーズです。
サークル名は「桃色CODE」で、作家、シナリオ、イラストは「桃鳥」氏が手掛けています。
いわゆるASMR(autonomous sensory meridian response)作品群のひとつで、人が聴覚や視覚への刺激によって感じる、心地よい、脳がゾワゾワするといった反応・感覚を励起する「聴くドラマ」です。

どことも知れない片田舎の、さらに奥まった場所にひっそりと佇む旅館「道草屋」。
そこで個性豊かな女性達に癒されるひとときを描いています。
膝枕で耳かきをされたり、マッサージをされたり。
なお、従業員の名前のほとんどは「春の七草」から来ています。
michikusaya01.jpgmichikusaya02.jpg

管理人がこのシリーズの存在を知ったのは、わりと最近です。
とあるきっかけで知ることになって、多数ある作品を少しずつ聴いています。
また、桃鳥氏による「舞台裏」を描いたマンガも、併せて読んでいます。
作品自体は、ちょっとHな内容もありますので、お子様は大人になってから聴くようにね。

「道草屋」シリーズは、安眠を誘うものだけに、とてもゆったりしています。
1.3倍速で録画を観るタイプの人には耐えられないかもしれない。
セリフもぽつりぽつりと間が開いていて、ときどき席を立って、環境音(カエルの鳴き声や鳥の囀りなど)だけがずっと流れることもあります。
人生で最大の価値である「時間」を、惜しげもなく消費する作品です。
ものすごく贅沢。
単なるお金持ちでは味わえない愉しみがあります。

ちなみに管理人がいちばん好きな鑑賞法はこんなかんじ。

①午前中に自転車等で2時間ぐらい運動する
②帰ってからお風呂か熱いシャワーを浴びる
③お昼ご飯をたべる(ビールを呑んでも可)
④陽の当たるベッドにクッションを置いて横になる
⑤お腹にネコを載せて「道草屋」をのんびり聴く
⑥気が付くと昼寝している

個人的には稲さん(画像右)のぼんやりした語りがお気に入りです。
この世界に本当に「道草屋」があれば、昼間は稲さんと散歩やお昼寝をして、夜ははこべらさんかすずしろさんに夜伽のお相手をしてもらいたい。
寝る前には「狐の親子」の歌を静かに歌ってほしい。
posted by ゆうすけ at 10:33 | TrackBack(0) | 映画・TV

2024年12月19日

銀河大計画annex閉館のお知らせ

「銀河大計画annex」管理人のゆうすけです。

2024年12月17日にこのブログのサービスを提供しているA8.netから、「ファンブログサービス終了のお知らせ」が出されました。
2025年4月22日(火)をもって「ファンブログ」のサービスは終了、とのことです。

このブログは2018年9月に開設しておりますので、6年間続いてまいりました。
長いような短いような6年でした。記事数は462件。多いような少ないような。
ブログサービスは来年の4月に終了ですが、この「銀河大計画annex」はもう少し前に閉館します。
きりが良いので、たぶん今年(2024年)の終わりまで。
あと2週間もないですね。
お別れは突然にやってくるのです。
移転先は特に考えてはいません。
じつは比較的最近、こことは別のところでブログ的なものを始めています。
とくにリンクも宣伝もいたしません。いつもどおり、ひっそりと開店しております。

こちらのブログでは、だいたい週に1回ぐらい更新をしていました。
読んでくれている方がどれぐらいいたのか不明ですが、あらためて御礼申し上げます。
管理人の駄文におつきあいいただきまして、ありがとうございました。
今までの記事にはコメントをできないように設定していましたが、間もなく閉館となりますので、最後のご意見や感想などがございましたらお寄せください。

それでは皆様、閉館まであとわずかですが、最後までおつきあいください。

2024年12月14日

年賀状攻略法

あけまして、じゃないですね。管理人のゆうすけです。
今日は2024年12月14日です。
先ほどまで年賀状を作っていたので少し混乱しています。
今年は令和6年で、来年は2025年で令和7年。巳年だな。よしよし。
じつは自宅の郵便番号を盛大に間違えて20枚ほど印刷していました。
まあ、たぶんだれも気付かないと思うので、あえて修正しません。
自分の郵便番号を間違えるのはヤバいかもしれない。ボケてきたね。

郵便料金が値上がりしたので、はがき1枚が85円になりました。
全国どこでも均一料金なので、安いといえば安いんですが、たくさん出すとやはり負担が大きい。
管理人が会社勤めをしていた頃は、毎年50枚以上出していた気がする。
最近は仕事関係の年賀状はゼロなのだけど、それでも30枚ぐらい出している。
「年賀状終い」する人も多いと思います。
管理人も、特定の友人同士では「もうやめよう」という意思統一をして止めたグループもあります。
遠隔の友人や親せきは、なかなかやめられない。年1回の生存確認みたいになっているのもあるし。
5年後には日本全体として今の半分以下になるんじゃないかな。
儀礼として出すのはやめた方が良いと思います。
じつは管理人は年賀状がわりと好きなのです。だから作るのは苦にならない。
文字通り「年始のご挨拶」だと思って出しているので、あまり悲壮な義務感は無いですね。

管理人の年賀状は基本的なパターンがあります。ネタに困らないというか、いつもだいたい同じ。
1 ご家族の集合写真
2 前年の個人的なお気に入りや活動記録

1は、自宅の玄関ポーチに座って家族とペットを写真にとります。コドモが小さい時から同じ構図です。
だんだん子供がでかくなったり、家を出て人数が減ったりしますが、定点観測的近況写真です。
ペットも入れ替わりがあるし、玄関わきの木がどんどんでかくなってるのが分かる。

2は親しい人向けの年賀状限定のオプション。前年のお気に入りのキャラとか作品をそっと貼りこむ。
著作権の問題をクリアしていないので、良い子はマネしちゃだめ。画像編集ソフトでサクサク作ります。
スマホで撮った活動記録的スナップを入れることもあります。

年賀状はサイズが小さいので、あまり色々と盛り込むとごちゃごちゃするので、だいたいこれぐらい。
干支などの無料素材をネットで集めて、2~3パターンをだいたい1時間位で作ります。
いまはPC上で画像を簡単に編集できるので楽ちんです。
いまでも「プリントごっこ」を使っている人はいるのでしょうか。
タグ:年賀状

2024年12月07日

シュマリ(by手塚治虫)

2024年もあと24日となりました。寒いですね。管理人のゆうすけです。
備忘録的に最近読んだマンガの記録をしておきます。

「シュマリ」は手塚治虫のマンガ作品です。
『ビッグコミック』に1974年6月号から1976年4月号まで連載されました。現在でも文庫などの形で読むことが出来るはずです。あらすじはこんなかんじ。
「大月祥馬に妻お妙を奪われた和人シュマリは、東京と改名されたばかりの江戸から北海道へ渡ってきた。アイヌの族長から狐を意味するアイヌ語のシュマリという名前を与えられ、過去と決別してシュマリは北海道の原野をさまよい続ける。ひょんなことから、五稜郭の戦いで隠された黄金3万両の隠し場所を知ったシュマリは、太財一族から土地を買い受け開拓を始める・・・。」
明治初めの北海道を舞台にした壮大なドラマです。なんか「ゴールデンカムイ」に似ているという説もありますが、当然こちらが先です。囚人に財宝の隠し場所を刺青で記して、というネタも出てきますが、わりとあっさりとそのエピソードは終わります。つぎつぎといろいろな事件が起こりますが、基本的にシュマリの腕力とか暴力とかで解決していきます。
個人的に思うのは、このマンガは、原作:手塚治虫、作画:石川賢でやってみたら良かったかなと。
シュマリのキャラクターが、石川賢の描くアウトローに被ります。
派手なバイオレンスシーンもありますので、手塚・石川先生は、天国で合作してほしい。

管理人はこのマンガを図書館で借りて読みました。
昭和63年に購入されて、ハードカバー版なんだけど、ものすごくボロボロになっている。
いったい何人がこれを読んだのか。本が歪むぐらい使い込まれている。
現在は開架書庫には置かれてなくて、収蔵されていたのをピックアップしてもらいました。
手塚治虫はいまでもマンガ家としてはビッグネームですが、じつは最近ではほとんど読まれていない気がする。
「ブラックジャック」「火の鳥」ぐらいなら入手できるけど、「シュマリ」「奇子」ぐらいになるとなかなか本屋でお目にかかれない。昔のマンガはみんなそうですね。
ああ、電子版を読めばいいのか。
そういう時代なんだね。

シュマリ(1) (手塚治虫文庫全集) [ 手塚 治虫 ]

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2024年11月24日

大迫力! 異常存在SCP大百科(監修 朝里 樹)

管理人宅の近所には1件だけ本屋があります。
個人でやっている本屋さんはどんどん廃業している昨今ですが、その本屋さんはがんばっています。
ときどき散歩のついでに立ち寄るのですが、最近そこで見つけた本がこれです。

scp01.jpg大迫力!異常存在SCP大百科  2023/11/6
朝里 樹 (監修)
西東社 1430円(税込)


SCPとは、アメリカで生まれた共同創作サイト「SCP財団」の投稿から誕生した創作上の存在です。現代では説明のつかない生物や事象など“異常存在”のことを指します。
「SCP財団は未知の異常存在から人類を守る秘密組織」という設定のもと、世界中のクリエイターが財団と異常存在についての作品を「財団職員による報告書」という形で日々投稿しています。作品はWEB上で誰でも読むことができます。ものすごい数があります。
「大迫力!」シリーズは、この他にも都市伝説や妖怪、危険生物などを図鑑形式で紹介している児童向けの人気単行本です。とうとうSCPに手を出してしまいました。
小学生などに人気が出たので、じつは第2弾も出ています。すごいね。
1巻が2023年10月発売で、2巻目が2024年7月発売。けっこうハイペースだ。
1巻では、特に人気の高いSCP-076「アベル」やSCP-096「シャイガイ」をはじめ、約100件のSCP記事を大迫力のカラ―イラストで紹介しています。
児童向けなので、SCPの内容をかなりざっくりと紹介しています。
立ち読みしただけなのでアレですが、分かりやすいですね。
ただ、オリジナルのペダンチックな雰囲気は失われています。
イラストがメインなので、映像化しにくいものはパスです。
管理人が好きなSCP「ねこです」は1巻に、「終わりなき英雄譚」は2巻に収録されています。
個人的には大人向けのSCP図鑑が欲しいのですが、いずれ刊行されるというか、たぶんコミケで見つかると思います。
できればご近所の本屋さんで買いたいですね。

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銀河大計画別館の管理人。 「銀河大計画」は、1993年から細々とやっている同人誌です。 ゆうすけが書いたネタや没ネタなどを、別館で細々と掲載します。どうぞよろしく。 アイコンコピーライトマーク卵酒秋刀魚さん。
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