まだ小学生にはなっていなかった。
きっかけは忘れたけど、言い合いになった。
どちらがしたのかも忘れたが、物を床になげつけて壊れたり
もした。
言い合いはヒートアップした。
私の心の声「ここで負けたら、一生言いなりになる。母が父の
言いなりになったようには、なりたくない。」
という全く幸せにはならない信念でもって、何が何でも言い合
いに勝つつもりでいた。
話の内容は忘れたが、私が
「お前があかんのやろう!」
と言ったら、夫が逆上した。
「お前って言うな!」
私の心の声「え?気になるのって、そこ?」
「ここで負けたら、ずっと言いなりになる。母が父に大事なこ
とを言えなくて、陰で悪口と愚痴ばかり言ってるみたいにはな
りたくない。」
という考えが、一瞬で頭をめぐり私は再び叫ぶ。
「お前!」
夫は
「お前って言うな!」
と言って、私の顔を往復ビンタ。
暴力をふるったら、なんでも言うことを聞くと
思われてたまるか。
私「お前って言って、何が悪いんじゃ!」
往復ビンタ。
私「言われたくないなら、二度とするな!」
(何のことで怒ってたのか、今ではすっかり忘れたんだけど。)
夫。私の右腿をうち蹴り。
想像以上に、この蹴りがすごくて衝撃が走る。
夫は柔道の初段。183センチの80キロ超え。
足が痛いの前に、しびれて足に力が入らない。
立っていられない。
身体が傾く。ピサの斜塔。
往復ビンタなんて、これに比べたらなんてことない。
それでも、私は負けるわけにはいかなかった。
ずっと、父の暴力から母を守る日々だったから。
母が父の言いなりなのは、母が弱いのだと思っていた。
ああはなりたくなかった。
夫に、「俺が怒ったら、こいつは何でも言うことを聞く。」
と思わしてはいけなかった。
また一瞬でここまで考えて、もう一回!
「お前!」
うち蹴り、もう一回!
同じところ!
だめ!無理!
瞬時に戦闘モード消滅。
さっさと夫の前から姿を消して、
一人で足の痛みに耐えたい。
夫に蹴られた足が痛くて辛いなんてことは、ぜーったい
夫に知られたくない。
一刻も早く夫から離れないと、足の痛みに身もだえして
しまう。
歩きたくても足が動かない。
何とか足を前に出しても、足に力が入らない。
つま先を床につけても、ひざがくしゃあっと崩れる。
床に体がたおれるーってすんでのところを、机に手を
ついて身体を支える。
もう夫が何を言ってるか何をしようが、それどころ
ではない。
倒れずに、ダメージを受けていることを悟られずに、
夫のいない空間い行くことしか頭にない。
机に手をついて態勢を整えて、左足だけで壁まで進む。
さっさと退散する。
一人になって、自分の足の痛みに耐えながら考える。
いくら頭に血が上ったからといって、ここまでの暴
をふるう人なんだ。
父が暴力を振るう人だと思っていたけど、この足に
受けた蹴りに比べたら、あんなの暴力じゃなくね?
この時の蹴りでできたあざ。
20センチ×5センチ。
3週間ほど、まともに歩けず。
床に座れず。
洋式トイレも、両手で左右の壁に手をついて、
渾身の力で体重を支えないと、便座に座ること
ができず。
力の加減ができない人。
頭に血が上ると、自分をコントロールできない人。
決して夫を逆上させない。
私だけでなく、子供にもさせない。
そう決めた。
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